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日本書紀のミステリーに挑む 十五

「この時に中臣宮地連烏摩呂なかとみのみやどころのむらじをまろ大河内直糠手おおしこうちのあたいあらて船史王平ふねのふびとおうへいをもって、接待の司とした。

 妹子の臣は奏上して言った。『私が帰国の時、唐の帝は私に書を委託しました。けれど百済を通過しようという日に、百済人が探って掠みとりました。それで書を上げることができません』と。これを聞いて群臣達は協議して言った。『使いの人は死んでも、その目的を達成せねばならない。妹子臣はなんで義務を怠って大国の書を失ったのか』と。そして流刑に処すことを決めた。これに天皇はおっしゃった。

『妹子に書を失う罪があったといっても、安易に罪に処してはならない。これが、唐の客人に聞こえても外聞がわるいではないか』と。それで許されて罪とされなかった。

 

 八月三日 唐の客、京に入る。この日に飾り馬七十五匹を遣わして、唐の客を海石榴市つばきち(現在・奈良県桜井市金屋(かなや))の道に迎えた。額田部連比羅夫ぬかたべのむらじひらふは礼の言葉を述べた。十二日に唐の客を朝廷に召して、使いの言葉を奏上させた。安倍烏臣あべのとりのおみ物部依網連抱もののべのよさみのむらじいだきの二人を客の案内とした。

 

 大唐の客は国の産物を庭の中に置いた。その時に使主裴世清は自ら書を持って再拝を二度して何故今回使いとしてやって来たかを述べてから書を読んだ。

『皇帝より倭のすめらみことに挨拶をおくります。汝の使い人の長、大礼蘇因高らが我が国を訪れて良くその意を伝えてくれた。自分は天命を頂いて天下を治めている。治世において徳化をすすめ、万物に及ぼそうとしている。人々に恵みを施そうという気持は、どの国においても替わりはない。使いの言葉によって、天皇は海の彼方にありながらも国民を慈しみ、国内の平穏をもって人々の心を穏やかなものとし、さらに至誠の心を持って遠く朝貢されたことを知った。時節はようやく暖かくなり、私は安寧である。そこで掌客しょうきゃく(接待の官吏)である世清を遣わして送使の意を述べ、あわせて贈り物をお届けする』

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