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22話 調査再開

 (略)

 無事にギルドカードを受け取ったレスティアナさんとスクルドを肩にのせた俺は迷宮へとやってきた。

 昨日はおっさんに新しいバスタード、バスタレイドのことを聞いてみたんだけど、使い手を操るような剣は魔剣だろうが呪いの剣だろうが存在しないらしい。

 つまり、この間俺の体が勝手に動いたのはこの剣が原因じゃあないといことだ。

 だったらなんで? って疑問はあったんだけど、スキルとかにもそれらしいものはなく、原因は不明。

 時間もないし、現状では何か問題があるわけでもないので迷宮へと行くことになったわけだ。

 ちなみに、レスティアナさんのレベルは98だった。

 一緒に迷宮調査を行う上で、形式上パーティ登録をする必要があったから登録した時に見たギルドカードの本人情報はこんな感じだった。


Name:レスティアナ・ブロウティア<Restiana Browtia> Lv.98

Race:エルフ族

Age:15

Job:追跡者 弓士 冒険者

Title:Stalker


Ability

魔力:Lv.200

格闘:Lv.18

弓術:Lv.197

肉体強化:Lv.52

弓士:Lv.181

精霊魔法(風):Lv.187

精霊魔法(水):Lv.153


Passive:風の大精霊(シルフ)の加護Lv.4 水の大精霊(ウンディーネ)の加護Lv.3 天才Lv.3

Action:大精霊魔法(風) 大精霊魔法(水) 大精霊召喚(風)


 いろいろと突っ込みどころが満載だ。

 ちょっと普通じゃない数字が並びすぎている。

 特にパッシブのレベルがやばい。パッシブのレベルは上限が5だけど、レベル5のパッシブを持っていたのは歴史上でも1人だけだから実質の最高は4だ。

 エルフは精霊の加護を得やすいらしいけど、大精霊の加護を2つ、それも3とか4とかのレベルで与えられているのは異常以外の何ものでもない。

 天才とかいうふざけたパッシブも持っていて、総合的な判断はキューマさん曰く「まさしく天才。現状で能力だけ見ればSSランクにも引けを取らない」だそうだ。

 年齢を考えればエルフということを差し引いても化け物クラスで、遠くない未来にどんな分野かは別にして確実に歴史に名前を残すだろう。ってレベルだ。

 いや、15っつったら俺よりも2つも年下ですよ。自分のステータスと見比べてへこむなって方が無理な話だ。

 こんだけふざけた強さなら人の話を聞かないで自分勝手なのも納得……できないでしょ。

 レベルと性格は関係ないじゃん。

 閑話休題。

 とりあえず、レスティアナさんと一緒に俺たちは迷宮に来たと言う点が重要だ。

 そして問題がある。

 迷宮でセーブした場所にはセーブした人間しか行けない。と言うことだ。

 つまり、前回セーブした30階に行こうとしたら、レスティアナさんだけが1階から挑戦する必要が出てくる。

 俺の調べてる迷宮が、この迷宮と同じなのかがわかっていない以上は、別々になってしまうのはまずい。

 と言うわけで、1階から再挑戦することになった。のは、いいんだけど、やっぱりと言うかなんというか、モンスターがいなかった。

 前回同様に5階には俺が一か所にまとめた冒険者の遺体。通りがかった時に腐臭がしてちょっと気分が悪かったのは秘密だ。

 そして、30階に到着。どうやらギガースパンダは別の階に移動したみたいで、見当たらなかった。

 最初にパンダを発見したホールには誰もおらず、俺たちが逃げ出した移動紋章に乗って31階に飛ぶ。

 っていうのが大まかな流れだ。

 こっからが本題。

 31階に到着すると同時にモンスターの大群が……いなかった。

 やっぱりぜんぜんモンスターがいない。

 ちなみに、レスティアナさんは後ろからついてくるだけだし、話しかけても返事をしてくれない。

 正直つらい。

 前回と同じくスクルドは寝るし、レスティアナさんは無言でストーキングしてくる。

 仲間が増えたはずなのに前回より気分が重いってどういうことだ?

 とりあえず、そのまま探索を続けて、現在は53階に到達した。

 おわかりだろうか、レンドの迷宮は52階までしか到達した人間はいない。つまり、ここが漆黒の迷宮だとしたら俺たちが到達記録を更新したってことになる。

 まぁ、キューマさんが言っていた可能性として、ここがレンドの迷宮じゃないって可能性はありえるだけに単純に喜べないわけだけど。

 しかも、ここに来るまでもモンスターは0。

 前回みたいに途中でパンダが現れることもなかった。

 まったくもって迷宮の謎が深まるばかり。

 なにせ、モンスターも現れないし、何の手がかりも見つからない。

 そもそもこんな状態じゃ、何を手掛かりにすればいいのかもわからない。

 このままだと、一番下まで潜んなきゃいけないんじゃないのか?

 この空気でこの退屈なまま100階以上も下まで迷宮調査とか……発狂するわ。


「なぁ、しりとりでもしないか?」


 さっきから無視され続けてきたし、ダメもとで俺は言った。

 もはや退屈とか寂しさで気が狂う寸前だからだ。


「な、何を突然! この変態」

「え、なんで?」

「い、いきなりわ、私のお尻に触りたいだなんて、変態以外の何物でもないじゃないですか、この薄汚い下郎!」


 内容はともかく、返事をしてくれたのは嬉しいけど、しりとりを知らないのか……

 軽くカルチャーギャップ。


「いや、レスティアナさんの尻に触る遊びじゃなくて……しりとりってのは、言葉の最後の文字を最初に持ってくる言葉をつなげて言う遊びだよ。パスカドゥ、で『ど』だから、ドメドメ草、で『う』の次は宇治金時みたいな」

「……宇治金時ってなんですか?」


 あ、この世界にはさすがに宇治金時なんてないわな。

 でも、誤解は解けたみたいでよかった。


「宇治金時ってのは、お茶と小豆っていう甘い豆を細かく砕いた氷にかけて食う菓子みたいなもんだ」

「へぇ……人族は面白いものを食べるのですね。氷の菓子などなかなか目にしたことはありませんが」


 そういえば、この世界にかき氷なんてあるのか?

 魔法で氷は作れるだろうけど、かき氷機とかなさそうだし……


「それで、その言葉遊びをする必要があるんですか?」

「いや、ただの退屈しのぎの遊びだけど」

「何が面白いんですか?」

「完全な暇つぶし。一応、語句を多く知らない子供にたくさんの言葉を覚えさせるって意味はあるだろうけど」


 10年以上生きていれば、しりとりなんてしなくても新しい語句は覚えられるし、しりとりは完全な暇つぶしに成り下がるけど。


「ルールは、言葉の最後を使うだけですか? それでは永遠に終わらないじゃないですか」

「ん、が最後に来る言葉を言った方の負け」

「なぜですか?」

「ん、で始まる言葉なんてないから」

「? ンジャロベス、ングレフィリ、ンドレアの実、いくらでもあるじゃないですか」


 ……この世界にはそんなもんがあるのか。

 しりとりとして成り立たないじゃん。

 しかも、この世界のものの名前をそこまで知ってるわけじゃい俺にはレスティアナさんの言ったものが本当にあるのかわからないし、俺の言うこともレスティアナさんはわからないだろう。

 ダメダメだ。


「まぁ、何にしてもやるつもりはありませんが」

「じゃあ、今までのやり取りはなんだったの!?」


 ルールの確認までしといて、やらないってどういうこと!?

 そんなに俺をおちょくって面白いんですか?

 たぶんおそらくメイビー、俺の経験からくる予想では、この世界の女性は絶対Sしかいない。

 アリアさんは肉体的に、レスティアナさんは精神的に俺をいじめて楽しんでいるに違いない。


「でも、迷宮探索だって言うのに、モンスターがぜんぜん出ないって言うのは退屈ですよね」

「………………」


 え、シカト?

 さっきまで話してたじゃないですか。

 突然無言になるとかやめてくれません?


「……そんなバカなことを言っている場合ではありませんよ」

「へ?」


 レスティアナさんは言いながら弓に矢をつがえた。

 モンスターでも現れたのかと思って正面を凝視するが、それらしいものは影も形もない。っは、まさかアリアさんだけじゃなくてレスティアナさんまで肉体的に俺をいじめるつもりか!?

 バッと勢いに任せてレスティアナさんの方に振り向くと、まさに矢を放とうとしている瞬間だった。

 あんなものが刺さったらやばい。

 痛いじゃすまないかもしれない。

 俺は慌てて剣に手をかけると、操られるがままに剣を抜き、振るった。

 そして、地面に落ちる2匹の巨大な蝙蝠のようなモンスター……って、モンスター!?

 どこにいたんだこいつら。

 正面にも背後にもそれらしい影はない。

 ならば横かと視線を巡らせるが、やはり影も形もない。

 するとあり得るのは下か上。下にはいるわけないし、上だろう。と、思って視線を上げると10匹ぐらいの蝙蝠が天井に張り付いていた。

 天井からぶら下がるような形じゃなくて、天井にその体を広げて張り付いているんだ。薄暗い迷宮の中じゃあなかなか気づけないのも仕方がない。

 って、仕方がないじゃすまないよ。

 気づかないで襲われてたら、軽くやばいって思えるぐらいにデカいんだ。

 羽を広げた大きさはたぶん1メートル近い。ぎろりとこちらを睨んでくる目は、赤く爛々と輝いている。

 蝙蝠って暗闇に住むから目が退化してるもんじゃないのか?

 そんなことはどうでもよくて、この蝙蝠の一番の脅威はおそらく牙だ。

 デカい。

 スクルドの頭ぐらいなら口に入れて噛み砕けるんじゃないかってぐらいにデカい。


「ダークネスバットですね。里の近くの森にもいます」

「へ、へぇ~……ちなみに強いの?」

「大したことありません。10匹程度ならギガースパンダより少し強いぐらいです」


 やばくない?

 たかが蝙蝠なのにあのパンダより強いの!?

 たとえ単体としては驚異じゃないとしても、今目の前にいるのは間違いなく群れだ。

 レスティアナさんの言う通りならパンダよりも強い敵が目の前にいるってことだぞ?


「おしゃべりしている余裕はないですよ。さっさと始末するなり、やられるなりしてください」

「は? 一緒に戦うんじゃないの?」

「なんでですか? クレイ様に脅威が迫っているならまだしも、あなたを助ける道理はありませんよ」

「だ、だってレスティアナさんが手を出さなかったら、スクルドだって危ないじゃないか」

「安心してください。ダークネスバットは大きい獲物から先に仕留めます。あなたを食べ終わるまでクレイ様に手出しはされません」


 安心できないし……

 つまり、俺がやられたらスクルドを助けるために戦うけど、俺がやられるまでは手出ししないんですね。

 勘弁してくれよ。というか、この蝙蝠の習性やめてくれよ。

 どうせなら小さい方からってことにしてくれれば、レスティアナさんも手助けしてくれたのに……


「それで」

「はい?」

「よそ見しててもいいんですか?」

「っげ」


 蝙蝠のかみつく攻撃。

 ガイは攻撃を回避した。

 って、ポケ○ンかっ!

 あぁ、もう。よそ見とかどうでもいいこと考えてる場合じゃない。

 連続して襲い掛かってくる蝙蝠の攻撃を避けつつ、剣の動きに身を任せてこちらも攻撃を繰り出す。

 1匹、2匹と羽を切り落とし、地面に落ちた蝙蝠に止めを刺そうとしなかったので、仕方なく頭を踏み潰してやった。

 剣の動きも万能ってわけじゃないのか、時々蝙蝠の攻撃が俺の鎧に傷をつけたが、おっさんの店で買った鎧は頑丈で、へこんだ様子もなさそうだ。

 4匹目の頭を踏み潰したところで、次の蝙蝠が正面から迫ってくる。


「キュイ」


 スクルドの鳴き声に反応して一瞬だけ後ろを見れば、後ろからも迫ってくる蝙蝠。

 同時攻撃ですか。

 ぎりぎりまでひきつけてから、蝙蝠の突進をしゃがんで避ける。

 さすがに正面衝突して自滅するほど馬鹿じゃないらしく、前後の蝙蝠はそれぞれが高度を変えてすれ違おうとする。

 その一瞬を狙って下から剣を突き上げ、2匹の蝙蝠を串刺し。

 さぁ、これで残りは4匹まで減った。

 剣を振るって剣に残った蝙蝠の体を落とすと、次に迫ってきた蝙蝠を下から切り上げる。

 それとほぼ同時に足元から迫ってきた蝙蝠には蹴りをプレゼント。

 基本の攻撃は剣の動きに任せてればいいし、俺には全体を見渡す余裕がある。

 もしも前のバスタードでこいつらと戦うことになったら、最初の1匹を倒す前にこっちがやられてただろう。

 掘り出し物の剣をほとんどタダでくれたおっさんには感謝するほかないな。今度なんか買いに行こう。

 最後の1匹の頭を踏み砕いた俺は、ポケットに入れていた布で剣についた血をぬぐって剣を鞘に戻す。

 これで一安心だな。


「なんで、あなたは無事なんですか?」


 レスティアナさん。ようやく安心って胸をなでおろしてる俺にそんなひどいこと言わないでください。

 あからさまに残念そうな顔とかマジでへこむから。

 でも、モンスターを倒し終えたのはよかったけど、この階に来てモンスターが現れたってのはどういうことだろう。

 前回の30階の次は53階。

 何か共通点でもあるのか?

 共通点と言えば、3のつく階ってことだけど、33階や43階には現れなかったし……

 次にモンスターが現れるのはどこの階なのか予想することも出来そうにないな。

 まぁ、見つかるまで進むしかないけど。


「とりあえず、先に進もう」

「………………」


 あの、返事してください。


7月5日

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