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4話目 執筆者---聖魔光闇---

 クサリイチゾクの『クサリ』とは、鎖の意味もある。『鎖』は束縛を意味し、一族の結束を意味する。

 また『クサリ』は不老不死の意味あいを持つ、クサリイチゾクの『クサリ』は『腐り』の意味も含まれる。成人を迎えた時点で不老不死の能力が開花し、身体の『腐り』が停止する。腐る事のない身体は、新陳代謝機能が停止し、成人のまま生き続ける。

 特徴は、身体の何処かに現れる鎖のような入れ墨に似た痣、一生消える事なく、身体に残り続ける。

 しかし、一族を抜けようとする者も後を絶たない。一族を抜ける方法は至って簡単で、身体にある入れ墨のような痣を消すだけだ。

 そうする事で一族から隔離され、一人の人間として生を全うする。不老不死の能力を失い、一族の結束も失う。

 しかし、何百年、何千年を生きる不老不死に比べれば、人間らしい一生を全うできるという考えなのである。

 ここに一人の青年がいる。名を草離くさり 八雲やくもという。年齢は、通常ね人間であれば523歳。しかし容姿は20歳のままであった。

 彼もまた、一族から抜け出す計画を立てていた。

『かれこれ5世紀以上を生きてきた。しかし、知り合いになった者達は歳老いて、自分だけが取り残される。こんなの、もう嫌だ!』

 彼は決意を固め、一族の痣を消しに行った。

 一族の入れ墨のような痣は、一族の者にしか消せない。

 長老に理由を話し、痣を消す決意を固めた。

 しかし、一族に代々伝わる痣を消す事は容易な事では無かった。

 不老不死だけでなく、一族個々に継承される特殊能力(一般的には超能力というらしいが)も取り除く為、痣の消去だけでなく、精神面への処置も施される。

 身体的苦痛と精神的苦痛を半日以上耐えつづけ、疲労困憊で家に帰った。

「ただいま……」

 家に入ろうとした瞬間、家に入る事を家族から拒まれた。

 クサリイチゾクは、一族のみの結束を律儀に守る一族。

 その為、一族から抜けた八雲は一族として認められなくなっていたのだった。

「これからどうすればいいんだ……」

 ふと口から出た愚痴を溜息まじりに言うと八雲は、一族の集落を立ち去った。


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