29/41
29
「事情は分かった。任せな」
ママそう言って私にもう寝るように言った。
その後にお風呂もまだって事に気が付いて誤魔化すように笑って、つられて笑ってしまった。
冷えきった心はどうやらお風呂では温まらないらしい。
新しい発見だ。
『お風呂でスマホを触るなんて危険ですね』
いつものようにほとんど蓋をした状態でスマホを見ていると、アイが怯えるような仕草をしている。
「落とさないよ。落ちてるのは気持ちだけ」
『一応、試合会場までのルートを調べておきましたよ』
アイはまた勝手にスマホの画面を動かして電車、バスを使ったスタジアムまでの案内を出してくれる。
正直一人で行くとなると怖い。
一人で遠くへ行ったことがないから。
ハッとする。家からスタジアムまででこんなに不安に襲われるのに、千ちゃんはもっと遠い場所へ行こうとしたんだ。
不安は私の比じゃなかったはずで、なんでもっと寄り添えなかったんだって後悔がおしよせる。
『まだ間に合います』




