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転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
三章 シンシア十歳

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83 結末

 ◇


 裁判長が場を静め、マルシアル殿下が話を続ける。


「では、精霊オレオール。貴方がヴェネッサ様と契約していた時の事を教えてください」


「わかりました」


 オレオールは、ヴェネッサとの出会いから話し始める。


 出会いはヴェネッサが十歳の頃。

 黒猫の姿で人間の世界を見学していた彼は、怪我を負って王宮の庭園に迷いこむ。

 それを保護して助けたのは、ヴェネッサだった。この時に彼女と契約。

 以降、彼は飼い猫として周りに認識されていたらしい。


 当時は心優しい少女だったが、彼女が十一歳の時に前王妃が懐妊。妹を出産した。

 しかし家族の、特に兄達の愛が妹に向かうのが耐えられなかったヴェネッサは、オレオールに妹の殺害を命令。

 契約している精霊にとって、主人の命令は絶対。

 オレオールはそれに従った。

 次の年にも全王妃は懐妊。それもヴェネッサの命令で、妹が生まれてくることはなかった。


 その後、学園に入学してからもオレオールはヴェネッサの命令で手を貸し、『十二令嬢事件』の時には令嬢を攫うことと、監禁場所である箱庭の提供に協力した。

 

 カッライス王国では国王陛下の寵妃に『十二令嬢時間』と()()()()()()()が、その際に寵妃の誘拐と、ならず者の引入れを協力した。


 マグノリア公爵家一家の襲撃には闇の眷属を貸し出して襲わせ、私の誘拐にも協力した。


 その他、闇の眷属の支配権の一部を貸し与えていた事、十六年前の被害者で生き残りのブットレア夫妻と使用人の殺害等々。


 オレオールの話が終わり、前国王陛下は真っ青お通り越して真っ白になり、前王妃殿下は憎しみのこもった目でヴェネッサを睨んでいた。ついでに、前国王も。

 現国王陛下は絶対零度の目で無表情にべネッサを見ており、隣にいる王妃殿下は、表には出していないが恐らくドン引きしている。


「なるほど。ヴェネッサ様はなぜ、ここまでのことをしたのでしょう?」


「ヴェネッサ様は、実の兄であるフィランダー様とクェンティン様を異性として愛していました」


「タッカ!! やめなさい!!」


 ヴェネッサの叫びを無視して、オレオールは続ける。

 彼の名前はオレオールだからね。

 そもそも、ついさっき自分の口から実の兄と結ばれるべきとか言っていたのに、何を焦っているのだろう?


「しかし、それは決して叶わない思いです。その不満と嫉妬を、幸せそうな男女にぶつけていたのでしょう。八つ当たりや逆恨みですね。

 そして、五年前にマグノリア公爵家のタウンハウスに通い詰めていたのは、クェンティン侯爵に関係を迫っていたからです。しかし、拒否され激昂し、一家を襲ったのです」


 オレオールは一呼吸置いて続けた。


「以上が、ヴェネッサ様の罪であり、私の罪です。いかなる裁きも受けましょう」


 そう言って、オレオールは貴族式の礼を取る。


「我が国、カッライル王国の法律は人を裁くもの。故に精霊を裁く法律はありません。クリムゾン王国ではどうですか?」


 と、マルシアル殿下。

 ちなみに、この()というのは魔族、獣人族、人間などの総称となる。


「我が国も同様です。言葉は良くありませんが、精霊はあくまで魔力を維持する存在であり、仕組みと考えております。その精霊と契約し、その力を用いて悪事を働いたとしても、精霊自体を罪には問えないでしょう。

 人を刺したナイフを罪には問えないように。道具や仕組みを罰することはできないのです」


「なるほど、ありがとうございます。オレオール殿、貴方は現在は誰かと契約しいていますか?」


「現在は、シンシア嬢と仮契約を結んでいます」


「それは何故?」


「今回、ヴェネッサ様の罪を告発する為です。もし、私の言葉に不信感があれば、記憶を観てもらっても構いません」


 そう、私とオレオールは仮契約中。

 仮契約なのは、私の適性が光属性魔法のみだから。精霊と契約してしまうと、その属性しか使えなくなってしまうのだ。それだと、これまでの私の努力が無駄になるからね。

 猫は飼いたいけど、それは避けたいのだ!

 

「ありがとうございます。以上がヴェネッサ様の罪でございます。これからはその処遇についてお話ししたいと思います」


 その後、ヴェネッサはカッライス王国に身柄を引き渡され、罰を受けることになった事を改めて発表する。

 理由は彼女の離縁はまだ成立しいておらず、国籍はカッライス王国のままになっているから。この辺りは、()()通りだ。

 これには国同士のあれやこれがあるので、こちらの国は折れるしかない、というのもあるらしけど。

 それで国同士の仲を修復できるなら、仕方がない。

 

 そしてヴェネッサに下された刑は、〝再現刑〟。

 近年では多くの国で特別な理由がない限り、拷問はほぼ禁止となった。

 理由は肉体的苦痛を与えても、それで得た反省や後悔、謝罪は苦痛から逃れる為の物でしかないから。

 また、必要以上の苦痛は、むしろ与える方が悪という風潮があるからだ。


 再現刑は受刑者がこれまで侵してきた罪を、被害者の立場になって一つ残らず追体験するというもの。

 これなら、やりすぎと言われる事もないし、被害者の溜飲も下がる。

 そして死刑ではないのは、結果的に死ぬ可能性が高いので、あえて付けないこともあるのだとか。

 なので近年では、各国で純粋な死刑は珍しくなった。

 

 ただ、我が国ではまだそこまで普及してはおらず、北東の辺境に送るのが最大級の罰則らしい。

 かなり危険な場所らしく、一年以上生存するのはかなり困難らしい。なので、ここに送られるのは事実上の死刑となるそうな。


 ちなみに、この再現刑は冥界で誰もが受ける刑でもあるらしく、冥界だとその本人を全ての被害者が許すか、忘れるかすると、その魂は解放され輪廻転生できるらしい。

 なので罪が重い罪人は、ほぼ永遠に転生できないとか。

 悪い事は、なるべくしない方がいいね。


 なお、再現系には意識()の中で再現するものと、現実で実際に再現する物の二種類があるらしい。

 ヴェネッサはどちらを受けるのだろうか?


「なお、このまま、カッライス王国で彼女の刑が執行されるのでは、納得できない方もいるでしょう。なので、我が国カッライル王国では、旅行ツアーを企画します。

 ご希望の方は()()()()()()()()もできるように手配します。どうぞ希望者はどしどし、お申し込みください!!」


 それに歓声が上がる。


「静粛に。──陛下、最後に何かありますかな?」


 裁判長の言葉に、現国王フェランダー陛下が口を開く。


「……ヴェネッサよ、お前は私やクェンティンを、男女の仲として愛していたのだな?」 


「は、はい! お兄様、ワタクシは──!!」


 一縷の望みをかけて、ヴェネッサは国王陛下に媚びるような仕草と表情を見せる。


「私が貴様を愛することはない」


「え」


「生まれて間もない妹と、生まれてくるはずだった妹。それに我が半身たるクェンティンとその妻を殺したお前を、なぜ愛すると思う?」


「あ、ワタクシは、この国で、最も高貴で敬われ愛される女性だから……」


「だがその地位は、既にない。貴様自身の所業によって、すべては失われた」


「あ、ああ……」


 ヴェネッサは、その場に崩れ落ちる。

 

 自分がしてきた事の結果を、ようやく理解したらしい。


「──十六年前、正しく罰せられていれば、ここまでの被害にはならなかったであろうにな……」


 国王陛下はチラリと前国王を見る。


 前国王はもはや倒れそうだ。

 

 でも、現国王陛下の言う通りだよね。もし十六年前にヴェネッサをちゃんと罰していれば、少なくともアンディ君の両親と、カッライス王国の寵妃さんは死ななかったはずだ。

 しかも、最近までヴェネッサを庇い、事件を調べた者を罰していたっていうし、最悪ヤローだよ!


 そうして、裁判は終了となった。


 ◆


 その数日が後、ヴェネッサの護送の準備はすべて整い、マルシアル殿下とルイスは一緒に向かうことになった。

 ルイスは彼女のことを最後まで見届けるらしい。

 

「お土産買ってくるぜ!」


「スパイスとかおすすめですよ?」


「子供のお土産に?」


「スパイスを使った甘いミルクティーもあります」


「それ、俺が淹れ方覚えるやつじゃないか?」


「いいじゃないですか」


 なんだかんだと仲が良くなったらしい、二人。


 協力者のハドリーさんとドルフは協力金が出たらしい。

 ハドリーさんは、社会貢献がしたいとそれを全額町の医療員に寄付して、そこの手伝いをするらしい。

 ドルフさんは、それを元手に新たにバーを開くとか。


 そして、私とアンディ君は魔女工房に戻ってきた。実に一ヶ月ぶりだ。

 

 闇の精霊オレオールは私が引き取ることになった。

 アンディ君は、とても不服そうだったが……。


 そんなアンディ君は、成人するまでは、今までの生活とは変わらない。

 この国の成人は十六歳なので、その歳になったら、公爵を継ぐ予定だとか。

 本人はあくまでも予定だと強く主張していたが。


 そうなると、少し遠い存在になってしまうかもな〜。それは少し寂ししかも。


 そして、魔女工房の自室でまっったりしていると、ドアがノックされた。


「シンシア、ちょっといい?」


 相手はアンディ君だった。


「アンディ君、どうしたの?」


「話したいことがある」


 その目は、いつになく真剣だった。



 

 



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