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転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
二章 シンシア七歳

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31 離縁おめでとう&歓迎パーティー

 ◆


 王宮からの依頼も、ひと段落がついた翌週。

 エリカさんがマナーを教えにくる日になった。

 エリカさんは現在、火の日、水の日、木の日の毎週三日、マナーを教えに来てくれるのだ。

 

「エリカ、アンディ君。今週の金の日、空いている? その辺りにエリカ離縁おめでとう&アンディ君の歓迎会をしようと思うの〜」


 授業後、師匠が顔を出した。

 最近バタバタしててお疲れっぽい。

 ちなみに、王宮内の小型盗撮盗聴魔動装置の設置事件は、現在も調査中だ。


「金の日ですか? そうですね。午後なら大丈夫です」


「僕もです」


「なら、その日にデリッシュ食堂を予約しておくわね!」


「良いんですか? ありがとうございます」


「ありがとうございます」


『お、うまいって噂のとこか!』


 というわけで、離縁おめでとう&ようこそパーティーの開催が決定した。

 そういえば、私とお父様がルビア伯爵家から離縁した時も、後日デリッシュ食堂でお祝いしたな〜。

 懐かしい。

 

 あ、連鎖的にに実母(ヘザー)の事思い出しちゃった。忘れよ!


 ◆


 それから、パーティーの日になった。

 私も手伝ってお父様の仕事を早々に終わらせ、師匠もなんとか時間を空けた。

 

 ちなみに、この世界、というかこの国では、月の日から金の日までは前世の日本でいう平日で殆どの人が仕事をし、土の日は予備日と呼ばれ仕事が残っていれば仕事をする。無ければ休む日で、陽の日は基本的に休日となっている。

 なのでこの国は、頑張れば週休二日制となっている。

 もちろん、それに当てはまらない職業も多いけど。


 そうして、各々なんとか仕事を終わらせ、身支度を少し整え、デリッシュ食堂へ向かった。

 この日の夜は貸切にしてもらったので、他のお客を気にする事なく騒げるのだ。


 一同がデリッシュ食堂に着いた少し後、エリカさんも到着した。

 馬車で来たらしく、いつもよりも華やかなドレスを着ている。

 夜会とかに着るようなボリューム満点なガチのドレスではなく、マーメイドラインで、裾が床につかないタイプの動き易そうなドレスだ。


「遅くなりました」


「ちょうど良い時間よ〜。それ、エリカの叔母様の最新作?」


「ええ。コルセット無しで一人でも着れて、それでいて華やか、がコンセプトのシリーズです」


 普段は貞淑な動きやすいドレスを着ているエリカさんだが、意外と結構スタイルがいい。

 いや、エリカさんと結婚しておいて、白い結婚貫いた元夫は何を考えていたのだ? 男の方が好きだったのか?


 お父様もうっとりとエリカさんを見ている。

 美人だから仕方ないね。

 

 そんなわけで、パーティー開始。

 大人はお酒で、子供はジュースで乾杯。

 そのあとは料理を楽しむ。

 ネロもたくさん食べてご満悦だ。ちなみに、飲み物はジュース。酒に嫌な思い出があるらしい。


「そういえば、王宮の盗撮盗聴装置の件は、解決したんですか?」 


 お父様が言った。


「ああ、今大変らしいですね、王宮」


 と、エリカさん。


「それがまだみたい。受信元はわかったらしいけど、犯人までは特定できなかったらしいわ〜」


 と、師匠。


「現在、探索系スキルを持つ魔法使いがプロ・アマ問わずに集められているらしい」


 ジョニーさん。


「ああ、うちの実家もその依頼きたそうですよ? 私の商会も手伝うことになりそうです」


「そうなんですね。僕たちも王宮からメンテ依頼された魔動ランプから装置が見つかって、色々騎士団に聞かれましたよ。僕たちが取り付けた訳じゃないのに、厳しく尋問されました」


「それは災難ですね。騎士団は憲兵よりも怖いですから」


 この国では騎士団は軍隊、衛兵団は警察みたいな立ち位置だ。

 ぶっちゃけ、騎士団の方は容赦がない。なので、あの日私が第一発見者だけど外にお遊びに行かされたのだ。

 

 騎士団には大きく分けて赤、白、黒、青の四種類がある。


 白の騎士団は王族を守る、騎士団の花形。実力以外に家柄と見た目も重視される。

 前世でいう、アイドルみたい。

 なので他の騎士団よりは、親しみやすい。


 黒の騎士団は特殊部隊。

 戦闘のプロフェッショナル。対人、対魔獣・魔物など敵を徹底的に叩きのめし、殲滅煤のが仕事。滅多に表舞台には出てこない。王家の影はここに所属しているらしい。戦闘のプロ、エリートって感じ。


 青の騎士団は海や大河専門の騎士団。

 前世でいう海上保安が仕事。その他海を経由して入ってきた物品の監査も仕事。この国の南側が海に面しているので、彼らも大活躍だ。


 赤の騎士団は、それ以外。

 一番人数が多く、新兵は特別な技能やスカウトがない限り、まずはここに配属されるという。辺境などにも支部がある。有事の際には他の騎士団の下について行動するので、さまざまな技能を叩き込まれる修行の場でもある。


 その他、聖騎士というのもいて、彼らは聖女がいる神殿に所属しているらしい。


 衛兵は、騎士団とは組織が違い、平民でも試験に合格し資格を得ればなる事が出来る。

 貴族でここにくる人は、何か問題があったのだと勘繰られることがあるらしい。

 もちろん、騎士団とも連携している。


「……」


 ふと、アンディ君を見ると、少し暗い顔をしていた。


「アンディ君、大丈夫?」


「え? ……あ、いや、大丈夫! あ、このスモークサーモンでチーズを巻いたやつ、美味しいよ!」


 あからさまに話題を逸らされた。

 まあ、言いたくないこともあるか。


『ウェ〜イ、腹一杯〜』


 ネロはたらふく食べて、テーブルの上でゴロゴロしている。


「デザートです〜」


 女将のマーシアさんと犬耳お料理ゴーレムのペパー君が、ワゴンでデザートを運んでくる。

 ちなみに、ペッパーではなく、ペパー君だ。


 デザートは、女将さん特製フルーツババロアのホール。

 ゼリーケーキっていうのかな?

 上部はフルーツが固められたゼリー。下部は白いババロアになっている。

 それを女将さんが切り分け、ペパー君がそれぞれ配膳する。


「ネロ、デザートはいらないの?」


『食べるが!』

 

 コロコロしていたネロが、ガバッと起き上がる


「フフフ」


 ネロの現金さに、思わず笑うアンディ君。

 どうやら元気になったらしい。

 

 まあ、本当の両親は亡くなった上、養子に入った先も魔剣のせいで出なくてはならなかったんだ。寂しく思うこともあるだろう。


「アンディ君、何かあったらすぐ、姉弟子の私に言うんだよ!」


「う、うん。ありがとう?」


 切り分けられたババロアが乗った皿が、目の前に置かれる。

 ババロア。

 前世でも存在したスイーツだ。でも前世では食べたことがない。

 だってケーキ屋に来て、わざわざババロアを選ぶ人は少ないと思うのだ。大好物とかなら別だけど。

 そもそもケーキ屋で見たことがないし、スーパーやコンビニでもあまり見かけない類のスイーツだ。

 パンナコッタに似ている? いや違う? いやパンナコッタ自体、どういうスイーツだったか覚えていない。

 でも、美味しいのは確か。

 これも、先人の転生者達が広めたのだろうか? それとも元からあった? だとしたら、違う世界で似たような料理がある事になる。それってすごくない? 料理の収斂進化やー!?

 どちらにしろ、グッジョブと言わざるを得ない。

 これを機に、前世でもあったお菓子を探求するのも良いかもしれない。

 

 ちなみに、前世の私は、一応料理はできたがそれは前世日本の優秀な調味料があってこそだ。

 それらを一から、いや、ゼロから作れるような知識も気力も無い。料理以外も同様。

 なので、前世知識を利用した無双などできないし、やるつもりもない。


 私にあるチートといえば、前世の記憶によって多少心に余裕があるくらいだろう。

 後この世界が『リザンテラ』という、物語の世界と似ているというのを知ってる事ぐらいだ。

 お陰で、お父様の命が救われて、胸糞悪いルビア伯爵家から離縁できたので、それは良かったけど。

 まあ、最近、その辺りは忘れてたけど。

 どうせ、私たちに関係してくるのは、学園に入学した頃なので今はまだ特に気にする必要はないよね〜? 


 その後デザートも食べ切って、パーティーはお開きとなった。


「エリカさん、送って行こうか?」


「馬車が迎えに来るから、大丈夫ですよ。私より、帰りに一人になってしまうショーンさんが心配です」


「そ、そうですね……」


 そんな会話を、お父様とエリカさんがしている。

 うん。エリカさんの言う通りなので、お父様は暗くなってから出歩くのはやめてほしい。

 バツイチ、子持ち、成人男性とはいえ、お父様の見た目は美少女なんだから。


 そうして、エリカさんを見送ると、私たちも魔女工房へと帰った。



 エリカさんの商会が何者かに襲撃されたのは、その日の深夜のことだった。 






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