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転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
一章 シンシア五歳

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19/86

19 それから



 ◆◆◆


 それから私とお父様は、無事ルビア伯爵家から完全に離縁することができた。

 書類が受理され、その控えが送られてきたのだ。

 私はシンシア・ルビアから、シンシア・レオパルドプランタになった。

 お父様の方は、元の姓に戻った訳だ。


 レオパルドプランタ子爵は、正式にチランジア公爵の寄子となった。

 伯父様は師匠とチランジア公爵の協力の元、記憶水晶の採掘を事業にする為奔走している。

 師匠の理想都市計画は、記憶水晶の事業が安定して、資金に余裕ができてから始めるらしい。

 魔女様が協力しているので、数年後には凄い都市になりそうだ。

 記憶水晶の採掘には精霊達に配慮し、転送採掘という形をとるらしい。


 転送採掘とは、範囲を設定しその中にある欲しい物質をこちらに転送し、その代わりに崩落しな様に別の物と置き換えるといった採掘方法だ。

 周りの状態を大きく変えない為、一応は自然に優しい採掘方法とされている。

 元はとある盗人魔法使いが編み出した魔術の応用らしく、現在では資格がないと使用できないので、大規模な施行は禁忌術扱いらしい。

 今回は魔女である師匠が中心となって行うので、使用許可が降りたという

 その結果、双子山とその周りには仰々しい魔法陣と施設が設置される事となる。


 今更だけど、国は自分達で勝手に鉱脈創るのは許しているのだろうか?

 師匠に訊いたら、まだ取り締まる法律がないのと、魔女のような存在の協力がないと出来ない事なので、バレても黙認されているらしい。今の所は国益にもつながっているから。

 

 離縁後、私とお父様は改めてレオパルドプランタ領に向かった。

 伯父様の奥様のマイナさんと娘のシャノンちゃんに改めてご挨拶する為だ。

 この時にはマイナさんも説明を受けていたみたいで、私は泣いて抱きしめられた。

 シャノンちゃんも私と仲良くしてくれていて、たまにお手紙のやり取りをするようになった。

 あの時のドレスのお礼に、エリカさんの商会の系列店で買ったブローチを送ったら、大変喜ばれたので良かった。


 その後、私とお父様は師匠の工房に身を寄せつつ、師匠のお仕事を手伝う事ととなった。

 仕事内容は魔動具や魔術装置の修理が主だが、昔からやりたかった魔動具に携わる仕事ができて、お父様は以前よりもイキイキしている。

 自身の特異魔法である分析も、大いに活躍しているらしい。

 そして、なんとお父様、光属性の魔法も大体使えるらしい。

 光の糸で魔動具のパーツをを固定し、その隙に不良箇所を直したりできるそうだ。

 そういった仕事に使えそうな光属性魔法は使えるけど、生き物の治癒系の魔法は使えないらしい。

 もしや、私が治癒系の魔法が使えないのは、お父様譲りだったのかしら?


 受付もこなしているけど、ほとんどの人がお父様を女性だと勘違いしている節がある。

 エリカさんと言う、男装(女性用の礼服だけど)の麗人がいるので、無理もないかもしれない。

 お父様に変な虫が付かないよう、気をつけないと!

 ルビア伯爵家みたいな悲劇は、二度とごめんだからね。


 私は師匠の弟子として、修行に明け暮れる日々。

 魔法の使い方も上達してきているので、たまにお父様の仕事を手伝ったりもしている。

 最近では、魔動具についても勉強している。


 魔動具の仕組みはとても面白い。

 魔動具の動力は魔力。それを結晶化した魔力石を電池として使っているのだ。前世でいう電力の代わり。

 それは大型の魔動具や家に設置されている灯りも一緒。こちらの場合は家自体に大きな魔力石を設置して家全体の魔動具を動かすこともある。貴族の屋敷などの、お金のあるところはそんな感じ。

 なので、この世界。発電所的な物やガス会社的な物も無い。

 水だけは管理する所があるらしい。前世の水道局的な所とは少し違うらしいけど。

 そしてその魔力を使い魔動具を発動させるために必要なののが、魔法術式。魔術式、術式ともいう。

 例えば水を沸騰させる術式とか。

 これを記憶水晶に組み込み、魔力石と繋ぐとスイッチ一つで誰でも魔動具を使えるのだ。

 詳しくはないが、多分前世の家電と似たような仕組みかも。全てを魔法で置き換えて。

 そうやって、どんどん魔動具にのめり込んでいった。

 これはお父様の血筋かもしれない。

 

 同時に、マナーも教わっている。

 ルビア伯爵家とは離縁したが、私はまだ子爵令嬢でもある。なので、マナーは必須なのだ。

 講師はエリカさん。時間のある時に教えてくれるようになった。

 魔動具と反してこちらはかなり苦手。

 前世の知識が一切役に立たず、その上、前世の記憶が反発心を生んでしまうため、なかなかうまくできない。だから苦手意識がある様だ。

 というか、マナーって意外と体を酷使する。

 慣れないうちは筋肉痛で体がバキバキになる。

 エリカさんが講師でなければ、速攻投げ出していた。

 でも、修復師としてバリバリ稼ぐなら、上位貴族や王族とのやり取りは必須。

 借金返済、がんばりますよ……。

  


 あれからルビア伯爵家では、すぐにアーロンを迎え入れたらしい。

 しかしこの国では女性は離縁後、半年間は再婚ができない為、婚姻はまだみたいだ。

 その後、ヘザー達は領地に移り住み、意外にも彼女は真面目に仕事をしているらしい。アーロンはそれを支えているという。

 本当の家族と過ごせるようになり、ヘザーも心を入れ替えたのかもしれない。

 世間では、お父様と私を追い出し、愛人を迎え入れたという噂が立っているので、ヘザーの新たな醜聞が増えているが、領地で愛する本当の家族達と一緒に過ごせるなら、どうでもいいことなのかもしれない。

 まあ、本当の親子三人、仲良く暮らせば良いんじゃないだろうか。

 もう関わることもないだろうし、そうである事を願う。


 ◆


「シンシアちゃ〜ん、はいこれ。あげるわ〜」


 今の生活に慣れてきた頃、師匠に小さな箱を渡された。

 なんか見たことあるな。


「これは?」


「開けてみて〜」


「はい」


 中には花のモチーフのブローチが入っていた。

 銀で花を模っており、ところどころに黒い宝石が散らばっている。シンプルだがとても質が良い物だとわかる。

 これも見たことがある。


 ──あ、ルビア伯爵家から離縁する前に修行で直したブローチだ。あの後、ちゃんと師匠に渡したんだった。


「これを、私に、ですか?」


「そうよ〜。弟子になってくれて〜、離縁が成功したりして〜、いろいろなお礼とお祝い的な?」


「あはは、色々詰め込みすぎですね。しかも、直したの私ですし。でも、ありがとうございます。大切にします」


「お守りだから、ここぞと言う時に付けると良いかもだわ〜」


「では早速」


 胸元につけてみる。

 シンプルなので、どんな服装にも合いそうだ。


 こうして、お父様を救うために走り続けた一ヶ月が終わった。

 終わってみれば、ポーラの誕生日から一ヶ月くらいしか、経っていなかった。

 まあ、これからは余生みたいなものだと思って、まったり生きていけるだろう。

 借金はあるけど、めでたし、めでたしで良いんじゃないか?



 しかしこの時の私は、これが始まりに過ぎなかったなんて、思いもしないのだった……。






実父救出RTA、完走!

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