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第14話 ゾンビ軍団



 しばらく歩くと、腐敗したような酸っぱい匂いが鼻を刺激してくる。



 さらに近づくと奥の広い空洞から低く唸るような叫び声が聞こえてきた。



 目を凝らすと、そこには無数の腐敗した身体で歩くゾンビたちが群れをなしており、その中心にはグールと呼ばれる緑色の光る長い爪を持つ強力なモンスターが立っていた。



 見つけた……。ゾンビ軍団だ。



 すぐに姿勢を低くして、物陰に隠れる。



 相手はまだこちらを認識していないようで、危険察知の輝点は黄色のままだった。



 ゾンビもゴブリンたちと同じように奇襲をかけられそうだな。



 ロックバグに魔法を使わなかったことで、かなり魔力が回復した感じもするし、先制攻撃で数を減らせてもらうぜ。



 その前に『狂化』と『硬化』も発動させておかないと。



 効果時間が設定されてる2つのスキルを発動させると、身体が一回り大きくなり、肌が岩のように固くなる。



 武器をしまっていた背負ってきた毛皮も解き、戦う準備を終えた俺は「火球」とつぶやいた。



 ターゲットマーカーをゾンビたちが集まっている地点に設定し、指先を向けると、発生した火球が弧を描いて飛んで行く。



 着弾を見届けることなく、次に放つ火球を発動させる。



 2つ目も弧を描いて、ゾンビの集団に飛んで行った。



 着弾と同時に爆風がゾンビたちの腐った肉体を吹き飛ばしていく。



 肉の焦げる匂いも一気に強くなった。



「これが最後だ。火球!」



 3つ目の火球を発動させた時は、ゾンビたちの多くが火に包まれていた。



 最後の3つ目は、グールに向けて放つ。



 放たれた火球は、グールに直撃して、その身体を炎で包んだ。



「燃えろ! 燃えろ! 燃え尽きちまえ!」



 手にした粗末な槍と鋭利な石の斧を炎上して動き回るゾンビに向け、思いっきり投擲する。



 危機察知の警告音が鳴り響くと、黄色だった輝点が一斉に赤く変化した。



 相手はこちらに気付いたようだ。



「かかってこいよっ! 全員、俺の糧にしてやるからよっ! 喰わせろ! お前らのスキルを! 俺に!」



 槍や斧を身体に受けたゾンビたちが、吹き飛んで地面を転がっていく。



 ありったけの投擲武器を投げ尽くし、数は多少減らせたが――。



 ちっ、ゴブリンたちとは違って、身体が火に包まれても混乱せずに、こっちに向かって来やがるか。



 グールも火には包まれてるが、慌てた様子は見られないし、ゾンビたちはばらけもせずに集団で近づいてきてるな。



 残りはぶん殴って、やるしかねぇ!



 木の棍棒と盾を構えた俺は、迫ってくるゾンビ軍団の前に飛び出した。



「ヴァボボボ」



 火に包まれたゾンビたちが、俺の周りを囲み、爪を立て、嚙みついてくるが硬化した皮膚には傷一つつかないでいる。



 ゾンビの身体を包んでいる火に炙られる方が、よっぽど痛かった。



 それらの痛みも自己再生スキルの力ですぐに痛みを引いていくので、俺の動きを制限するものではない。



「おらよっ! 脳みそぶちまけて死ね!」



 思いっきり振り下ろした木の棍棒が、ゾンビの頭蓋骨を粉砕し、中のものを周囲に飛び散らかす。



 絶命したゾンビから奪ったスキルが身体に取り込まれた。




【スキル名】腐敗毒 LV1


【効果】敵単体のDEF能力を低下させる




 検証は全滅させてからすればいいな。



 とりあえず、数を減らしていかないと



「ヴァボアア!!」



 硬化スキルが効果を発揮し、硬くなった皮膚でゾンビの攻撃を防ぎながら、木の棍棒や盾で殴打を続けていく。



 炎に包まれていたゾンビたちは、次々に脳天を粉砕されたり、骨を折られ、地面に倒れ、そのまま絶命していった。


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