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【ゆっくり寸劇】マイクロプラスチック【台本】

作者: 三木香泣

霊=霊夢

マ=魔理沙

その他・「」=ナレーション


マ「はあ~~……お邪魔するんだぜ。」


霊「……魔理沙? うわっ、何であんたそんなベタベタしてるの!?」


マ「コンビニでレジ袋が有料化してお金足りなくて。そのまま持って帰ってくる途中で、手が滑ってこうなったんだぜ。」


霊「まあとりあえず、タオルで拭いてから上がってね。」


マ「それにしても、国も余計なことをしてくれたもんなんだぜ。」


霊「何のことよ?」


マ「今までだとレジ袋を貰えるのが当たり前だったんだぜ。それを有料化なんかして……そこまでして私達のお金を徴収したいものかと腹立たしいんだぜ。」


霊「て言っても3~7円くらいでしょ。それほど政府の税収増に貢献はしないと思うわ。」


マ「だったらなおさら、こんな意味のないことは即刻中止するべきなんだぜ。セクシーと言うよりフィルシーなんだぜ。」


霊「その英語の意味は分かんないけど、レジ袋有料化の義務付けに期待されている本質は税収では無いわよ。」


マ「その本質って何なんだぜ?」


霊「日本では予てからプラスチック製品の使用量を減らすための取り組みを進めていて、レジ袋はマイクロプラスチック問題と関係があるとされているわ。」


マ「……マイクロプラスチック? プラスチックにマイクロもミリもあるのか?」


霊「マイクロという呼称は便宜上のもので、実際は5mm以下のプラスチック粒子や断片のことを言うわ。」


マ「そんな小さなプラスチックなんてどこに使われているんだぜ。」


霊「スクラブ洗顔料って知らない? 顔を洗う時に使ったことない、粒みたいなのが入ったやつ。」


マ「えっ、あの『つぶつぶ』ってマイクロプラスチックだったのか!?」


霊「今はそれが問題になってるのよ。洗顔料は直接水に流すからマイクロプラスチックが河川を汚染してしまうって。」


マ「私は今までプラスチックの粒で顔をゴシゴシしていたのか……。」


霊「だけど、環境問題に関心が高い企業は行動が早かったわ。例えば資生堂やマンダムは洗顔料に入っているマイクロプラスチックの代替材料を利用して、製品からマイクロプラスチックを取り除くことに成功しているわ。」


マ「おお、さすがは安全な日本企業なんだぜ。」


霊「あと皆が使ってる歯磨き粉とかヘアカラー等、他にも多くの商品にマイクロプラスチックは使われている、あるいは使われていたわ。」


マ「……そもそも、プラスチックって何なんだぜ? 石油?からできてるって聞いたことがある気はするが。」


霊「よく知ってたわね。プラスチック製品の大半は石油が使われているわ。」


マ「でもおかしくないか? 自然から採れる石油が何で環境を汚染するんだぜ?」


霊「それはプラスチックの製造過程で二酸化炭素や有害物質が排出されるからよ。プラスチックは石油そのものじゃなくて、化学的に合成された人工物という認識をするのが正しいわ。」


マ「ふーん、二酸化炭素や有害物質をバラ撒くなら、そりゃ環境に悪いって言われるか。」


霊「それに加えて、プラスチック自体も自然に還りにくいとされているわ。」


マ「ああ、それもどっかで聞いたことある気がするんだぜ。」


霊「プラスチックは自然分解されないから、何百年も分解されることなく環境中にとどまり続けると言われているわね。」


マ「けど数百年で駄目でも数千年で分解されるなら、別に問題なくね?」


霊「あるわよ、大有りよ。まず魚等の海の生物がプラスチックを餌と間違えて誤飲すると、消化器官に詰まり命に関わることになるわ。そしてその魚を餌とする鳥やより大きな魚に、食物を通じてプラスチックが蓄積されていくわ。そうして食物連鎖を繰り返していった結果、最終的に私達人間が食べる食事に濃縮された有害物質が含まれるようになるかも知れない。」


マ「それは私も嫌なんだぜ。」


霊「環境省の報告書によれば死んだ海鳥の胃の中から誤って食べたプラスチックが多く見つかり、魚の胃の中からも細かいプラスチックが見つかったりしているわ。」


マ「鳥もお魚さんも可哀想なんだぜ。」


霊「世界中で排出される海洋プラスチックごみは膨大な量で毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているらしいわ。」


マ「800万トンって想像も付かない量なんだぜ……。なんとか減らしていけないのか?」


霊「減らせればいいけど、1950年にはわずか200万トンだった生産量がわずか70年で4500万トンに増加。2050年には年間11億2400万トンのプラスチックが生産されるだろうと推定されているわ。」


マ「いくらなんでも、インフレし過ぎだろ……。」


霊「生産量の爆発的増加に伴い、プラスチックごみが大量に流出するのはもはや不可避な流れね。」


マ「絶対このままじゃあヤバいんだぜ。私達が食べている魚がそのうちプラスチックだらけになって食べられなくなったり絶滅したりするような気がするんだぜ。」


霊「もちろん、人間も自分達に累が及ぶとなれば行動を起こすしか無いわ。2018年、国連環境計画(UNEP)が『海洋プラスチックごみ問題に関する国際的な協定』を採択し、プラスチックに関する規制を強化することを目的として動き始めたわ。」


マ「プラスチックの生産とかゴミを少なくしようという取り組みだな。」


霊「2021年には日本も『プラスチック資源循環促進法』が施行されて、国際的なプラスチック削減運動の波に協調し、環境への取り組みを進めているわ。」


マ「私達の日本も無関心ではなくてホッとしたんだぜ。」


霊「イタリアでは『マイクロプラスチックを含み、洗い流すことのできる化粧品の製造・マーケティングを禁止』をしたし、フランスでも『使い捨てプラスチック容器を原則使用禁止』を決定したわ。EU圏を中心にプラスチック規制はこれからも進んでいくでしょうね。」


マ「でも、アメリカとかはどうなんだ? もしアメリカとかに無視されたらプラスチックが減るとは思えないんだぜ。」


霊「2022年にカルフォルニア州で『プラスチック汚染防止および包装の生産者責任に関する法案』が成立したわ。あくまで州単位ではあるけど、この風潮がアメリカ全体に広がるといいんだけどもね。」


マ「前もって手を打っておくのが重要なんだぜ。」


霊「そうね、こう見るとプラスチックという有用過ぎる資源がもたらす負の側面、その諸問題に関して世界は決して無策ではない。だけども、まだまだ危機感が足りていないというのが現状ね。」


マ「手遅れになってから行動しても後悔するだけだぜ。」


霊「プラスチックという資源の便利さと、環境という失ってはならない資源を天秤にかけて、人類がそれらを両立できる方法を世界全体で考え続けて、社会が持続できる方法を模索していくことを期待しているわ。」


霊・マ「ご視聴ありがとうございました。」


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