火を操る青年の正体
トーチバーナーを買って料理の質が上がったので記念に書きました。拙い文章ですがよろしくお願いします。
彼を見た者は皆口を揃えてこう言う。
「あんな火は見た事がない!」と。
ある人は、「なぜあんな勢いのある火を連続で放つ事ができるのか?」と。
またある人は、「なぜあれ程までに小さな火を常時放つ事ができるのか?」と。
どうやら、彼は、火を自在に操れる魔法使いなのだろう。この世界に火魔法を使える人間はそう多くない。だからだろうか、火を使える彼を求める者は多い。
とあるA級冒険者は、魔物に襲われているところを彼に助けてもらったらしい。
そして冒険者はこう言った。
「あんな美味いものを食べたのは生まれて初めてだった!」と。
どうやら彼は、火を自在に操りなおかつ料理まで長けた人でありそして、魔物を料理する「変わり者」だということだ。
私たちの世界では、魔物を食べるということはほとんどない。そして魔物は私たち人間にとって恐るべき存在、つまりは、天敵である。過去何度も人間と魔物の衝突はあり、その度に甚大な被害をもたらした。私たち人間側も日々成長し魔物を倒す手段を探している。だが、圧倒的に魔物の方が強すぎるのである。
だからだろうか…彼が魔物を倒し料理をするということに大きな興味を持ってしまうのは。
彼は、たまに町に寄ることがある。道具屋の店長に聞けば調味料と油をいつも大量に買うらしい。多分料理に使用するのだろう。
町に寄った彼は、ギルドに向かい魔物の毛や牙などを売り、再び森に入っていく。
彼のおかげで魔物討伐の依頼が無くなりクエストの安全性が高まり、一躍人気ギルドとなった。
ギルド長は、感謝の気持ちとして謝礼金をと彼に言ったが、彼は「全ては自分の生きるためのことですので」と謝礼金を辞退したという。
自由気ままに生きる彼の姿に憧れる人は多い。私もその1人だ。しかし今の私には彼と話す度胸がない。だからこそせめて彼の使う火をその目で見て彼の魔法を理解したい。そう感じた。
ある日、町に巨大な竜が現れた。町の塀と同じぐらいの竜は今にも町に攻撃を加えようとした。もうダメかと思った瞬間彼はやってきた。
彼は俊敏な脚力を生かし竜の周りに水を撒き、そして、竜自身にも大量の水をかけた。そして次の瞬間彼は火の魔法を唱えた。
ついに私の目の前で彼の魔法が見られる!どんな火を見せてくれるのか!?ワクワクが止まらなかった。
彼は、何か道具を持ち濡れた水に向かって魔法を放った。
次の瞬間、濡れた水から火が現れ一瞬で火が竜を囲んだ。囲んだ火はやがて竜にまとわりつき竜は全身火に覆われるようになった。
私はその時こう思った。
「あれは、火なんてものじゃない…全てを燃やす業火だ」と…
その業火に飲まれた竜は瞬く間に活動を停止した。彼は黒焦げになった竜の固い衣を剥ぎ火魔法で竜の身を焼き食べ始めた。そして天に手を挙げ「うまい!」そう言った。
彼は流石に食べきれなかったのだろうか町のみんなにも食べるように勧めた。魔物の肉を食べるのは初めてだったが彼が食べてうまいと言っているのだからと何の躊躇もなく私は手渡された竜の肉にかぶりついた。
彼のおかげなのだろうか、魔物の肉は他の肉を凌駕するぐらい美味しかった。
そして町では、これまでの彼の功績を讃え「業火の魔法使い」という二つ名が誕生した。
彼は今でも魔物を狩っては食べ、素材をギルドに売りに来ているらしい。
私もはやく一人前の冒険者になって彼の魔物狩りをその目でもう一度見てみたい。そして出来たら一緒に旅をしたいそう思っている。
「あぁ…業火の魔法使い様、もう一度お会いしたいです。会って、あの火魔法や料理を私に教えてください」
私は、彼を興味という対象から好意という対象に変わってしまったのだと感じた。
町から少し離れた森の中、業火の魔法使いと呼ばれる人間が1人倒した魔物を喰らっていた。
「やっぱ、魔物を炙るとうめぇなぁ!トーチバーナーだけ持ってこの世界に飛ばされた時はどうしようかと思ったけど、毎日美味い飯が食えてるからこれはこれで楽しいな!」と業火の魔法使いこと、鴨居勝馬は再びトーチバーナーのスイッチを押す。
これはトーチバーナー片手に魔物を炙り倒し食うただそれだけのお話である。
これからもよろしくお願いします。




