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ワルイユメ組のスロー?ライフ  作者: いつもニコニコ白色君
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命の悩みの巻

命は悩んでいた。

だって、なんか自分だけ取り残されてる気がして。

そうだろう!?回りはだんだんカップルが出来てきて、色めき立ってるというのに!

自分はいわゆる主人公の親友ポジなせいで、未だに彼女いない歴=年齢なんだ!

・・・まぁ、自分がモテないっていうのもあるんだけどさぁ。

孝弘くんはいいよなぁ・・・すごい力を持ってて、イケメンで、紳士で・・・。

それに引き換え、自分はイケメンでもないし、変人だし・・・。

はぁ、辛い。

雨宮先生もいいよなぁ、大企業の令嬢と幼なじみで、そっから学生と結婚とか・・・。

日向くんに至っては、あんな純正カップルみたいな付き合いが出来て・・・。

全く、どいつもこいつも青春してるなぁ!ちくしょう!




「環、なに呆けてる。とっととこの問題に答えろ。」

「あ、すみません・・・」

そう。上記の考え事、授業中にしていたのだった。







「おい、今日どうしたんだ?元気ねえけど。」

授業が終わると、孝弘が聞いてきた。

「ああ、なんでもないよ。ただ、憎らしいほどに幸せそうだなぁと思っただけさ!」

「あん?なんの話だよ。」

「やっぱり孝弘くんには皮肉は通用しないか。まぁ、君は知らなくても良いことだよ。」

「そうか?でもなんかあったら、迷わず俺に相談してくれよな。」

「心得た!」

そんな会話をして、孝弘と別れた。










その日の放課後。命は一人、帰路についていた。


「はぁ。鈍感な孝弘くんにまで心配されるなんて、まだまだだなぁ。」


うわ言のように呟く命。すると。


「ん?あなたは、命さん?」


「え?」


振り返ると、そこには碧が立っていた。


「ええと・・・碧ちゃん、だっけ?」


「はい!姉がお世話になってます。」


「これはこれは、ご丁寧に・・・。」


今まであまり接点がなかったせいか、気まずい空気が流れる。


「ね、ねぇ。」


「はい?」


「碧ちゃんは、どうしてここにいるの?」


「ああ、これから買い物に行こうと思ってたんですよ。」


「ほぇー。」


「よければ、一緒に行きますか?」


「え?」


「私、命さんと仲良くなりたいんです!」


「え、あ、あぁ・・・。まあ、いいけど・・・。」


「本当ですか!?じゃあ行きましょう!」


「あ、えっと、その前に荷物を家に置いてきてもいいかな?流石に学校帰りに買い物ってのは・・・さ?」


「あ、わかりました!ついていけばいいですか?」


「まぁ、それでもいっか。じゃあ行こう。」





数分後・・・。


「えっと、碧ちゃんは、中学三年なんだよね?」


「はい、もう受験も終わって、そろそろ卒業式ですね。」


「そっかぁ、自分もそろそろ卒業式になるなぁ。」


「私、命さんが卒業したあとに入学なんで、必然的に会う機会少なくなっちゃうんですよねぇ・・・。」


「え?うちの高校受けたの?」


「はい!姉もいるので丁度いいかなって思いました。」


「それでうちを受けられるんだ・・・。すごいなぁ。」


命が感嘆の声を漏らすのも無理はない。なぜなら命たちの通う高校は、平均偏差値が65をオーバーするなかなかの難関校。割とガチな人たちが集まってくるのだが・・・。


「ああ、主席だったみたいですよ?入学式での新入生代表の発表を任されちゃいましたし。」


「それは・・・すごいなぁ・・・。」





そんなこんなで、ショッピングモールについた二人。


「さて、何が買いたいんだったっけ?」


「ああ、とりあえず夕飯の材料と、新しい服ですかね。どうせなら、命さんに選んで貰おうかな♪」


「え!?自分そんなセンスないよ!?」


「せっかくなのでいいじゃないですか!」


「ま、まぁ・・・。でも、あんまり期待しないでよ?」


「わかりました!じゃあ早速行きましょう!」












服屋にて・・・。




「こっちと、こっち。どっちが良いですか?」


「ええっと・・・。」


碧が手に持っているのは、落ち着いた色でチェック柄の長袖Tシャツと、白を基調とした明るい色の、花柄のTシャツだった。


「・・・碧ちゃんは何着てても似合うから、わかんないなぁ・・・。」


「もう!嬉しいですけど決めてもらわないと困りますよ?」


「うーん・・・。」


その場で2分くらい悩んだ命だったが、やがて結論をだした。


「・・・やっぱり碧ちゃんって明るいイメージがあるから、明るい色のそっちかな!」


「これですか?わかりました!」


そういって、即決でレジに向かう碧。


「すぐ動いたなぁ・・・。こういうのって、少しは悩むもんじゃないのかな・・・?」




数分後、買い終えた碧が帰ってきた。


「さ、行きましょう!」













所変わって食材エリア。


「今日は唐揚げにしようと思うんですよね~。」


「唐揚げかぁ・・・。」


最近、久しく手料理を食べていない。そもそも、買い物なんて行為自体久々だ。なんというか、懐かしい気持ちになるなぁ。


・・・ん?


命はふと、何か違和感に気づいた。


「あれ?碧ちゃんって都ちゃんの妹さんなんだよね?」


「え?はい。それが何か?」


「それなのに自分でお買い物してるの?」


「え?ああ、家が金持ちだからってことですか?まぁ、確かにお金持ちではあるけど・・・。それに甘えないで一人立ちできるようになりたくて。だから今私、一人暮らししてるんですよ。実家のすぐ近くでですけど!」


「ひぇぇ・・・。」


言葉が出なかった。なんというか、しっかりものの極みじゃん。なにそれ。神々しすぎて眩しいんですけど。


「えーっと、玉ねぎに本つゆに・・・あ、なんか今日はモモ肉が安い!じゃあ久々にモモ肉にしちゃお♪」


「家庭的過ぎる・・・。」


まさかのこれで中学生。ママさん感がやばすぎて、ついポロッと口に出た。


「こんな人を嫁に貰ったら、さぞ幸せなんだろうなぁ・・・。」


その言葉に、碧の目の色が変わった。


「・・・この買い物終わったらもうひとつ、ちょっと付き合ってほしいことがあるんですけど、いいですか?」


「ん?いいよ~。どうせ帰っても暇だし。」


「ありがとうございます。」


その後の碧の行動は早かった。というか、異常な速さだった。


ここからショッピングモールを出たまでの時間、実に3分。




「ちょっと、いきなり早すぎじゃない!?店員さんがびびってたよ!?」


「仕方ないです。大切な用事なので。」


「は、はぁ・・・。」







そしてたどり着いたのは、碧の家だった。


「さ、上がってください。」


「え!?流石にそれはマズイんじゃ・・・。」


「いいから。詳細は追って話すので。」


そういう碧の目は、恐ろしいほどに命の目をしっかりと見据えていて。


「じ、じゃあ・・・。」


断ってはいけない気がして、渋々上がることにした。


「はい、いらっしゃい♪」







そうして、彼は彼女の部屋に通された。


そして、その光景に言葉を失った。





もちろん、彼が初めて女の子の部屋に入ったというのもある。


しかし、そんなことはもはやすっかり抜け落ちるほどの衝撃的な光景がそこにはあった。


「どうですか?この、命くんでいっぱいの私の部屋は!」


「え・・・何これ・・・。全部盗撮だよね、これ・・・。」


「はい!お父様の部下の方に、あなたの行動は随時、監視させて頂いています!」


「・・・は?え?監視・・・って?」


「ああ、実感湧かないですよね、すみません。」


そういって彼女が指を鳴らすと、黒服グラサンで強面の屈強そうな男達が、そこかしこから現れた。


「この人達に、ずっと監視しててもらったんです。すごいでしょう?このステルス技術。これに関しては、自衛隊もかくやというレベルなんですよ?」


もはや、いろいろなことがおこりすぎてもう理解の範疇を突破していた。


「え、えっと・・・もう何を言えばいいか分からないんだけど・・・。なんで、自分なんて監視していたのか、聞いてもいいかな・・・?」


「えぇ~?それ聞いちゃいます?」


そういって、碧は赤くなった顔を手で隠した。


そんなことされても、今はかわいいよりも先に怖いが出てくるんだけどね


「実は、あのとき・・・。夢の中に姉さんを探しに行ったとき。ヒュプノスと戦っていた命さんを見て、かっこいい人だなって思ったんです。そして、あなたの顔を見て、思い出したんです。あなたが、私を救ってくれた人なんだって。」


「救った・・・?」


「はい。覚えていませんか?その顔の火傷を負った理由・・・。」


「え?まさか!?」


命の脳裏に、忘れ得ぬ記憶が甦る・・・。












「嘘つきだ!」「どっか行けよ!」「気持ち悪い・・・。」


彼は幼い頃から、魔法やオカルト系統など、常人には感じ取れないものを過敏に知覚する能力を持っていた。


しかし幼い頃の彼には、それが理解されない存在であると、わかるはずがなかった。


友達にその事を話していると、そのうち彼は、嘘つきの烙印を押されるようになってしまった。


しかしそんな彼にも、優しく接してくれる人がいた。


彼女は当時、3つも下の4歳だったが、彼のまわりの同級生なんかより、何倍も大人びていた。


しかし、彼の話を聞いているときは、その瞳をキラキラと輝かせていた。


「ねえねえ、ぼくのはなし、うそだとおもわないの?」


「うーん。おもわないな!」


「なんで?みんなうそつきっていうのに。」


「だって、うそでこんなにほんとうみたいなおはなしできないよ!それに、ほんとうだっておもってきいてたほうが、とってもたのしくなるとおもわない?」


「・・・そういうものなのかな?」


「うん!」


そんな名前も知らない彼女の言葉に、彼は救われていった。







しかし、その事をよく思わない者もいる。










「お前みたいなやつ、燃えちまえばいいんだ!」「嘘つきがうつるまえに焼いちゃえ!」


彼女は、命をいじめている男の子達に押さえつけられていた。


そして、グループの一人がライターを取りだし、火をつけた。


「死んじゃえ死んじゃえ!」


そういって、ライターの火が彼女の顔に・・・。












「ああああああああああああ!!!!」


その悲鳴は、彼女のものではなかった。


「う、嘘つきがきた!!」「なんでいんだよ気持ち悪い!!」


命の目は、黒い光をたたえていた。


「この子には、傷ひとつつけさせないぞ!」


「っ!行こうぜ・・・!」


そういって、彼らは去っていった。


「なんで来てくれたの?」


「なんか、焦げるような匂いがしたんだ。あのときとおんなじ・・・。」


彼の言うあのときというのは、彼のもうひとつの悪夢。


彼は4つの頃、両親を亡くした。それも、今とほぼ同じような手口で。


彼の両親もまた、不思議なものを知覚する能力を持っていた。そのため、付近の人からは気味悪がられていた。


そして、凍てつくような冷たい冬のある夜。


彼の家は焼き付くされた。


奇跡的に生き残った彼だったが、身体中に火傷の跡が残ってしまった。


そのときに嗅いだ、焼けつくような匂い。


それを彼がもう一度嗅いだのが、彼女の危機を察知するきっかけとなった。


「やっぱり、うそじゃなかったんだね。」


「え?」


「みんなはうそつきっていうけど、こうやってきてくれたよ?これって、うそじゃないっていうあかしだよね!」


「・・・そう、かな?」


「そうだよ!」
















「あのときの女の子って、碧ちゃんだったの!?」


「はい!あのあと家庭のゴタゴタでここから離れてしまいましたが・・・。片時も忘れることはありませんでしたよ?」


「じ、じゃぁ、自分と仲良くなりたいっていうのは・・・。」


「はい!あのとき既に、あなたが好きになってました!」


「え、えぇっと・・・。」


「だから、いいですよね?さっき、私みたいな人がお嫁さんなら幸せだって言ってくれましたもんね?」


「あぇっ!?あれ口に出てたの!?」


「はい!バッチリ録音してありますよ!」


「なんという用意周到さ!?」


「さっきSPさんに録音してもらいました!」


あまりに衝撃的展開が連続しすぎて何がなにやらという感じの命。


「あれ?なんで黙っているんですか?」


「・・・え?それは「もしかして、私じゃダメってことですか?そんなことないですよね!?ね!?」


顔をズイッと近づける碧。


「あれからとっても頑張ったんですよ?あなたにふさわしい女になるために、たくさん努力して、お料理も、お掃除も、いっぱい頑張ったんです!生徒会にだって入って、生徒会長にまでなれました。それでも足りないってことですか!?じゃあ、私には何が足りないんですか!!?」


その剣幕に一瞬怯んだものの、命は彼女をしっかりと見て、微笑んだ。


「もう、十分すぎだよ。」


「え?」


「確かに写真だらけっていうのはびっくりしたよ。これ、いわゆるヤンデレってやつなんだろうね。」


「でも自分、ヤンデレだろうが守備範囲内故、何の問題もナッシング!」


「・・・ほぇ?」


「本当に、自分にはもったいないくらいにいい女性に育ってしまって・・・。」


「いい女性!?!?」


「そうさ!というかこっちから言わせて欲しい!」


そういって、彼女に手を差し出す。


「自分と!結婚を前提に!付き合って下さい!!!」



















「今日はご機嫌だな?命。」


「あ、バレた?」


「おう。何だ?彼女でも出来たのか?」


「そうだね、君とおんなじだよ。」


「おお!おめでとう!」


「・・・ありがとう!」








fin・・・

孝弘くんのやつと構成が似てしまったw

でも書いてて楽しかったからよし!

次のお話はリクエストにお答えする感じになります!他の皆さんも、もし何かリクエストあれば、ツイッターのDMで送って下さい!

じゃあ、またいつか・・・。

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