叶美ちゃんとデート!?の巻 後編
もう何書いてるかわかんなくなった。
とりま、本編どうぞ。
火曜日。
日向と叶美は、遊園地にいた。
「…ええっと。」
叶美が、日向の隣にいる光凛を見て。
「なあんでこの子がいるの?」
「ああ~。説明してなかったですよね…。」
光凛がビシッと指を指す。
「星川先輩!先輩がお兄ちゃんの彼女に相応しいかどうか、見定めさせてもらいます!」
「か、彼女!!?」
「まだ彼女じゃねえっつうに…。」
いちいち彼女という言葉に反応する叶美。
「なあお前。わかっててやってるだろ。」
「なんのことやら~。」
いつものように左手を口元にあてがいながら、へらへらとしている光凛。
「彼女じゃない…。いやでも、さっき『まだ』って言ってた。てことは…!」
こういうところは目ざとい叶美だった。
「先輩?まずはどこ行きます?」
珍しく自分の世界に入っていた叶美が、日向の言葉に少しむすっとした。
「学校は仕方ないけど、休日くらいは名前で呼んでよ。夢の中では名前呼びだったでしょ?あと、敬語も禁止!いい?」
その言葉に、少し恥ずかしそうに頭を掻いて。
「…わかったよ。叶美ちゃん。」
「うん!日向くん!」
「ハァ。これで付き合ってないとかバカなのかな…。」
いちゃつく二人を尻目に、呆れ声で呟く光凛。
「ん?なんか言ったか?」
「…なんでもない。で?結局最初はどこ行くの?」
「そうだね…ジェットコースターとか?」
叶美の提案に、露骨に青ざめる日向。
「え、どうしたの!?具合が悪くなったの!?」
「あー。お兄ちゃん、絶叫マシン無理なタイプなんですよ。」
「え!?そうなの!?」
「でも、行くよ。叶美ちゃんが行きたいなら、一緒に行きたい。」
「そんな無茶しなくてもいいんだよ?」
「無茶なんてしてない。俺が行きたいだけだから。」
「ならいいけど、ほんとに無理はしないでね?」
「肝に銘じておくよ。じゃあ行こう!」
「…あたし、こん中に入ってける自信ないわ。」
約一名、うんざりしたような顔で呟いていたが、張り切ってジェットコースターに向かう三人。
数刻後…。
「うげええええええええ…。」
「あーあ。いわんこっちゃない。ゆっくり休んでなよ、お兄ちゃん。」
見事に酔った日向は、ベンチで光凛に介抱されていた。
ちなみに叶美は、自販機で水を買いに行っている。
「くそ。情けねえなあ…。あんな大口叩いておきながら…。」
「全くだよ。じゃ、叶美先輩んとこ行ってくる。お兄ちゃんはそこで大人しくしときなよ~。」
「…わかった。」
自販機の前で、叶美と合流した光凛。
「光凛ちゃん!日向くんは大丈夫!?」
「うん。ちょっと寝かせてありますよ。お兄ちゃんのことなんで、少ししたら全快してますよ。」
「そっか、良かったぁ…。」
安堵の声を漏らす叶美。
「お兄ちゃん、いっつもあんな感じなんですよ?変に意地を張って、失敗して。」
「そうなの?なんか意外。あの時は頼れる男の子って感じだったのに。」
「いざってときは頼りになるんですよ。でも、普段は気合ばっかで空回りしちゃうんですよね~。」
「へぇ~。なんか羨ましいなあ…。光凛ちゃんは、私の知らない日向くんをいっぱい知ってて。」
「…先輩。」
「なに?」
光凛が改まった顔で、叶美に向き直る。
「この際だから聞きますけど…。」
「うん。」
少し間をおいて。
「…先輩って、ぶっちゃけお兄ちゃんのこと好きですよね?」
「…ええええええええ!?!?!?!?」
叶美、大絶叫。
「え、あの…。」
「バレてたの!?!?やだ恥ずかしい!!(*ノωノ)」
「え。何この人。逆にあれで隠してるつもりだったの?流石にありえなくない?」
悶絶している叶美を見て、ガチなガチ引きをする光凛。
「というかそんなに好きなら、なんで告白しないんですか?」
「それは…」
「それは…?」
固唾を飲む光凛。
「…告白は向こうからして欲しいの!」
…は?
は?なにこの人。そんなロマンチストだったの?
「あわよくばこのデートで告白してくれたらなーなんてっ!」
「…はぁ。お兄ちゃんには荷が重いかもなぁ、これは。」
「ん?なにか言った?」
「いいえ、何も。さ、はやくお兄ちゃんの所に行きましょう。誘拐でもされてたら困りますし。」
数刻前…。
「お兄さん、どうしたの?具合悪そうだね?」
日向が顔をあげると、金髪のギャルといった感じの女性が立っていた。
「ああ…。ちょっとジェットコースターで酔っちゃって…。」
「あら、それは大変ねえ。お姉さんが介抱してあげようか?」
「いえ、連れがいるんで大丈夫ですよ。」
「そう?でもお兄さん、とっても辛そう。今すぐにでも安静にできる所に行かないと。」
そういって、日向の手を掴む女性。
「あの。お兄ちゃんに何か用ですか…?」
その手をさらに掴み、鋭い眼光で睨みつける光凛。
「…残念。もう少しだったのに。」
そういって日向の手を離し、去っていく女性。
「まさか冗談のつもりが、ほんとに誘拐されかけてたとは。」
「悪い。助かったよ、光凛。」
そういって、光凛の頭をなでる日向。
「えへへぇ///」
そんな様子を見て、複雑な感情に襲われる叶美。
「やっぱ日向くんってモテるなあ…。あと光凛ちゃん羨ましい…。やっぱ願望なんか捨てて早く私のモノにしちゃうべきかな…?でも…。」
ぶつぶつと独り言を呟く叶美に。
「なにあれこわい。」
「もはやあたしたちには理解できない領域にいるんだろうね。」
遠い目をしている二人。
「叶美ちゃん。俺、もう大丈夫ですよ。次はどこ行きますか?」
「え?また私が決めていいの?」
「うん。こうなったらやけくそで行ってやらあ!」
「あ、お兄ちゃん覚醒した。」
「え?覚醒って何!?」
「なんかの拍子に起こるんですけど、こうなるとどうも自分を曲げなくなるんですよね。」
「何それ…。」
「さあ、どこ行きますか!?」
「ええ…」
突然のことにたじろぎつつも。
「なら、次はメリーゴーランドなんてどう?」
「よし、行きましょう!」
そんなこんなで遊びつくした三人。気付けば夜になっていた。
「ありゃ。いつの間にかこんな時間か。」
「そうだね。そろそろ"あれ"に乗ろうか!」
「あれ、とは?」
「いやいや日向くん。この時間に乗るものと言ったら一つしかないでしょ!」
「あっ。(察し)」
「そう!観覧車だよ!!」
夜。男女で観覧車。
「えっ…。それは…。」
流石の覚醒日向とはいえ、そんなカップルイベントとなると、尻込みしてしまう。
「ほら!せっかく来たんだから行こうよ!」
叶美の提案にあまり乗り気になれない日向に。
「お兄ちゃん、こっちこっち。」
少し離れた場所で手招きする光凛。
「なんだよ。」
「お兄ちゃん、あの観覧車の中で、告白しちゃいなよ。」
「えっ…?」
「叶美先輩、お兄ちゃんの告白待ちみたいよ?」
「は?なんでそんなこと…。」
「さっき本人から聞いた。あの人、結構ロマンチストみたいだから。観覧車の中で告白なんてしたらイチコロだよ!」
「…マジ?」
「マジマジ。さあお兄ちゃん。ここが男の見せ所だよ?」
その言葉に、暫く押し黙って。
「…わかった。こうなったら行くしかねえよな!」
「そうそう、その意気だよ!」
そういって、ボンと日向の背を叩く光凛。
「いってらっしゃい!」
「おう、行ってくる!」
そういって日向は、叶美の所に駆け戻った。
「お待たせ。じゃあ、行こうか!」
「…うん!でも、光凛ちゃんは?」
「ああ、あいつは待ってるらしいんで。とりあえず行こう。」
「おっけー。」
そういって二人は、観覧車の列に入っていった。
「はい、いってらっしゃいませ~!」
観覧車に乗った二人。
流石にこのシチュエーションでは、二人にも気まずい空気が流れていた。
「…」
「…」
「「あの!」」
まさかのハモリ。
「あ、どうぞ…」
「いや、そっちこそ先に…。」
「…じゃあ…。」
そういって、日向が叶美の目を見る。
「…叶美ちゃん。俺、あの夢の中で、頑張ってる叶美ちゃんの姿を見て…その…。」
途中で言葉を切ってしまったが、しっかりともう一度、彼女の目を見て。
「…好きになっていました!一個下なんて眼中にないかも知れないけど、良ければ付き合って下さい!」
言い切った。
「…私で、いいの?」
「うん。叶美ちゃんじゃなきゃ駄目なんだ。」
その言葉に。
「…よろしくお願いします!!」
「よし!やあっとくっついたよ…!」
「命、お前何してんだよ。」
「あでっ」
双眼鏡を覗く命にチョップする孝弘。
「急にここに行くなんて言うから、予定あわせんの大変だったんだぜ?ったく。そろそろ帰るぞ。」
「心得た!フフフ、明日は新カップル誕生会だねっ!孝弘氏!」
「意味わからん事言ってねえで、とっとと帰るぞ。」
「あ!あたしも一緒に帰ってもいい?」
「ん?お前って、あのいたずらっ子か。」
「光凛氏か!いいよ、一緒に帰ろう!」
その後、いつものメンバーにいじられ倒されたのは、言うまでもない。
fin...。