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始まりの記憶
これは、幼き記憶。
「やだっ!帰っちゃだめ!!ずーーーっと一緒にいるのー」
「姫…」
泣きじゃくりながら、必死に服の裾をつかんで引き留める姫を、彼は困った顔で小さく笑って、頭をなでた。
「絶対迎えに来るからね」
「絶対…?また会える?」
「うん、絶対。約束の印にこれ、あげる。持っていて。」
差し出された手に向かって、手を広げるとコロンと転がってきた。
受け取ったのは彼の目と同じ紅い宝石の指輪。
「わぁ……きれい…」
「この指輪が……になる頃、
ユリア。君が…になったら、…に迎えに……から」
途切れ途切れに聞こえる約束。
顔もイマイチ思い出せない、そんな淡い約束だけど
あの頃から、私にとって、とても大切な思い出になったの。
確かに受け取った指輪を、私はずっと嵌めている。