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僕には魅力がたりないみたい  作者: アニヒコ
3/3

【第2話】

「おかえり」

無機質な妹の声が聞こえる。いや、勿論ちゃんとした人間だけど。


「トコちゃんもう帰ってたんだ、ただいま。」


僕がそう言うと、妹が少し不機嫌になる。


「トウくん、もうトコちゃんって言わないでって言った。」


「はいはい、透子(トウコ)ちゃん。」


トコちゃんとは透子のことだ。ト・ウ・コだからトコちゃん。

塔子が赤ちゃんの頃からのこの呼び方だったから、今更変えなくてもいいんじゃないかって僕は思ってるんだけど。


「私、今年でもう中学生。なのにトコちゃんって呼ばれるの子供みたい。」


そう言って、透子は頬を膨らませてしまった。


「ごめんって、でも透子も僕のことトウくんって呼んでるじゃん。」


「私はいいの。」


「えー、ずるいなぁ。」


僕が笑うと、透子がまたむくれてしまった。


「次トコちゃんって呼んだら二度と口聞かない…」


ブブッ


透子の話を遮るようにスマホが振動した。

確認すると、坂本さんからのメールだった。


「ごめんトコちゃん、ちょっと自分の部屋行ってくるね。」


そういいながら、僕は自分の部屋がある2階へ続く階段を上がっていった。

ドスドスという透子の怒ったような足音が聞こえる。

「おもしろいなぁ。」と呟きながら、自分の部屋へ入った。

さて、坂本さんからのメールを確認しなければ。


「あぁ、緊張する…」


ただ坂本さんの端末から送信されたメールを見るだけなのに、何故こんなにも緊張するんだろうか。

僕は深呼吸すると、スマホのロックを解除した。

坂本さんからのメールを確認する。


『さっきぶりです!坂本美咲です!透弥くんの連絡先であってますか?あってたら返信ください!』


思ったよりも普通の文章だったので、なんだかほっとした。

早速僕は坂本さんに返信することにした。


◆◆◆


『メールありがとうございます。佐藤透弥です。よろしくお願いします。』


ひと仕事終えた僕は「ふぅ…」と息をついた。

あれやこれやと考えていたけど、結局普通の文章になってしまった。

まあそれは置いといて、後は坂本さんの返信を待つだけだ。

その間にゆっくり早めのご飯でも食べてこようか、それとも透子と遊んでこようか。


ピロン


部屋から出ようとすると、丁度メールの着信音が鳴った。

誰からだろう、多分お母さんからかもしれない。

そう思ってメールを開いた。

しかし、そのメールはお母さんからではなかった。


『返信ありがとう!出かけるのいつにする?今週の日曜日とかは暇ですか?』


「は、はやい…」


それは坂本さんからのメールだった。

それにしても返信が早い。

僕が15分ぐらい考えて(学校からの帰り道にも色々考えてたから本当は1時間ぐらい)送信したメールへの返信が3分程度で届いた。


「…とりあえず、返信しよう。」


僕が返信できたのは、日付が変わってからすぐだった。

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