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5 復活

今回もありがとうございます。

是非、楽しんでいただければ幸いです。

私達が生き返ったのは、今回の事件の二ヶ月前だった。

死ぬというのは眠りに近い感覚なのか、生き返る感覚は目が覚める感覚に近かった。実体験だから間違いない。

そして、その目覚めには時に最悪な場合がある。

「あら、おはようございます」

そう今回のように。

目が覚めて、朦朧した意識が回復し、目の前にいる人物の顔をようやく把握できるようになったところで、私は思わず固まってしまった。

私の顔を至近距離で覗き込む、齢八十八は超えているであろうお婆ちゃんの顔が目覚めとともに視界に入るのだから。

「プギャァァァァッ!?」

絶叫しながら飛び起き(お婆ちゃんに当たらないようにと最大限に気を使いながら)、最速の後退りで距離を取る。

「申し訳ございません。驚かしてしまったようで」

「ほんと驚きましたよ。もー……」

ゆっくりと立ち上がり、ドレスアーマーについた汚れを払う。

「えーっと、ここはどこです?」

「見ての通り、教会ですよ?」

確かに、誰がどう見ても教会だった。王道中の王道というか、シンプルイズベストというか、至って普通な教会だった。

「なるほど。それで、あなたは誰です?」

「私の名ですか?『看破』を使えばよろしいのでは?」

へー。この人、冒険者でもないのに『看破』知ってるんだ。『看破』は、相手の名前や年齢などを可視化する術式で、冒険者なら誰でも使うお馴染みの術式だ。逆に、冒険者以外が使う機会はほとんどないので、あまり知られていない術式でもある。

言われた通り、『看破』によって目の前のお婆ちゃんの名を確認する。


マスカレード・アリア(八十九歳)

職業:修道女長

スキル:『神託』『蘇生』


「……めっちゃ偉い人じゃないですか」

「いえいえ、私なんて名ばかりですから」

ただの明るいお婆ちゃんだと思っていたことを恥じる。修道女長(リーダー・シスター)にあんな態度取っていたとは。

「さて、あなたが最も気になっていることをお話しましょうか?」

「と、言いますと?」

アリアさんは、「よっこいせっ」と言いながら立ち上がると、こちらを諭すような目で見つめてきた。

「何故、あなたが蘇ったのかということについてです」

「え?私蘇ったんですか?」

「ええ。実際、ここにいるじゃないですか」

てっきり夢か、あるいは天国かと思った。……いや、天国はないな。死ぬ前の記憶たどっても、地獄に叩き落されるようなことしかしてないな。

「えっと、蘇生ありがとうございます」

『蘇生』スキルは、神に使える職業(例として、修道士(モンク)や、アリアさんみたいな修道女(シスター)、戦闘系で言えば教会騎士(テンプルナイト)なんかが該当する)に就いて、

一、六十年以上、一度も罪を侵さず、

ニ、毎日神に祈りを捧げ、

三、自分の持てる慈悲を全て使い、

四、ありとあらゆる生命を救う活動をした人

だけが使うことができるスキルだ。(この中で、四つ目の項目に魔物も入っているので教会騎士(テンプルナイト)は基本的に蘇生スキルを得られない)

それ故に、昔……というか、私が死ぬ前の時代では、唯一の死者の完全蘇生が可能なスキルとして、重宝されていた。(ちなみに、完全体でなくてもいいならば、死霊術式(ネクロマンス)でも、死者の蘇生は可能だ)

「いえいえ、久々の蘇生、楽しかったですよ」

楽しいって……この人、只者じゃないなぁ。看破知ってる時点で相当だけど。

「で、私が蘇生された理由は何なんです?」

「ああ、そうでしたね。では、簡潔に伝えますね」

アリアさんは一息つくと、真剣な眼差しに目つきを変えた。

「異大陸戦艦が、再び襲来します」

「……嘘だー」

|もう二度と会いたくないクソ兵器《異大陸戦艦》の名前を聞いて、さらにクソ兵器の襲来を聞いて、気分が最低になる。あの、クソ兵器め。まだまだ人生これからだって時に殺しやがって。

「つまり、一度倒した私にもう一度戦ってほしいと?」

「さすが歴戦の戦士ですね。その通りです」

目つきを変え、朗らかな笑みを浮かべるアリアさんに笑いを返しながら、内心ものすっごい嫌気が差していた。

「でも、私だけの勝利じゃないですし、私一人じゃ太刀打ちできませんよ」

少しでももとの場所に返してくれるように、遠回しに嫌な雰囲気を出す。あれ?もとの場所って、要するに私もう一回死ぬんじゃ?……どちらにせよ地獄だなぁ。

「それについては気にしなくても大丈夫ですよ?かつてのお仲間さんも蘇生していますから」

かつての仲間というと、多分、カリンとパブロだろう。でも、この場に姿は見えない……あー、いたよ。

頭が地面に埋まってる軽装の女性と、壁に頭をめり込ませた和装に近い服装の男性がいる。

「アリアさん。あの二人は?」

「蘇生には成功したんですけど、座標指定に失敗して、うまくいったのがマリーさんだけなんですよ」

このあと、二人を引き抜くのに、計一時間かかった。

カリン「いつものやで」

パブロ「ああ」

マリー「なんで二人とも機嫌悪いの?(すべて分かりきった顔)」

カリン「今回うちらの出番ないやん!」

パブロ「全部持って行かれたな」

マリー「うん、知ってた。それはさておき、今回は、本文では語られなかった『神託』スキルについて解説します」

カリン「神託は、聖職者で非戦闘員の人に与えられるスキルやー」

パブロ「効果は、遠くの未来を漠然と伝えるという些細なスキルだ」

マリー「そうそう。だからアリアさんはそ」

カリン「アリアとかいうおばはんは、神託で異大陸戦艦の襲来を感知したんやね。なかやかやるやん」

パブロ「次回は再びカナリア領からスタート。だから、今ここで話すぞ」

マリー「えっと、アリアさ」

カリン「引き抜かれたうちらは、とりあえず大きな街を目指そうゆーことで、最寄りの街のカナリア領に行くことになったんや」

パブロ「俺らが死んでから五十年立ってることを知ったのは、アリアさんから聞いたことだな。それから、知らない地名があったことからも、そうあたりをつけた」

カリン「野宿も挟んで二日後、カナリア領についたうちらは、領内に入るや否や、子供達の誘拐の話を聞いたんやねー。あの時、領の軍は、少人数を残して別の領地に模擬戦しに行ってたんや」

パブロ「そこをうまく狙われた。それで、肩慣らしついでに、助けに行った。そういうわけだ」

マリー「ねぇ、私にも喋らせて?」

カリン「マリーは今回独壇場だったんやからええやろ?そーゆー訳で、次回も楽しんでな?」

マリー「喋らせてー」

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