表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベリングで異世界放浪記  作者: たまねぎ剣士
第1章 異世界の始まりと種族
3/35

第三話 格式の高い女の子

「リリス様、本当に人族を村に連れてってよろしいのでしょうか。村の近くに人族が出たというだけで、問題とする者も出てくるでしょう。」


「命の恩人ですし、悪しき気配はしない方です。何より、あの方からは不思議な力を感じます。もう少しお話をしてみたいのです。」



神妙な話をしている二人をよそに、俺は見たこともない空を見上げていた。村に近くになるにつれて日が落ちて来ていて、そこで気がついたのだが月が3つもある。


(月が3つもあると威圧感があるんだな)



しばらく歩くと村が見えてきた。道中日本の学校やアニメ、ゲーム、景色の話をしてあげた。またも目を輝かせ、キャッキャと俺の話を聞いてくれる。


…悪い気は全くしない。



「リリス様!どこに行っておられたのですか!!!」



武装した男性が数名、血相を変えた表情でこちらに走ってきた。鎧を着ているからあまりわからないが、全員が相当鍛えているのであろう…そして全員がムカつくくらいイケメン。


「シャール様、ご心配をおかけしました。少しトラブルにまきこまれてまして。」

「おぉ、アリエッタ。いつも本当にすまんな。とにかく、2人とも無事で良かった…」



リリスが下を向き申し訳なさそうにしている。このイケメン騎士には弱いらしい。身長は高く、青く綺麗な瞳をした淡麗な顔立ちをしたイケメンだ。少し遺伝子を分けてくれ。


「それはそうと、こちらの少年は?」

「こちらはヒロさんです。獣魔に襲われているところを助けてくれて、村まで送ってくれました。悪しき気配をしないのですが人族のようでして…」



「…人族だと?それに何故こんなところに獣魔が」


一同が騒ついた後に、異様な空気に変わったのがすぐにわかった。所々で話が聞こえたが、人族は相当忌み嫌われているらしい。そこでリリスがー


「今日だけ…シャール…今日だけでいいから、私達の命の恩人を迎えてもらえないでしょうか。この方はきっと大丈夫です。それに、お話していてこんなに楽しいのは…とても久しぶりでした。」


リリスの言葉に、少女の願いにそこにいた男達の空気が変わった。そして…


「護衛をつけることと、明朝には旅立ってもらうことを条件とさせてください。ヒロ殿、2人を助けてくれた事誠に感謝します。」


何も悪い事はしてないが、人族がここまで嫌われているのは悲しい気持ちになった。きっとこの世界では俺が知らない、種族間の大きな隔たりが今も根深く刻まれているのだろう。その話をさらに聞くことがまだ俺にはできなかった。



〜〜〜〜〜〜



館に付き俺はあることに気づいた。


「みんな耳とがってません!?」


帽子か兜を取った村の人々は全員耳が尖っていた。本屋小説での話が目の前にあるなんて思わず、ある言葉が口から漏れていた。


「…エルフ?」


全員がこちらを不思議そうに見ている。何を言ってるんだ、この田舎者はと言わんばかりの顔だ。村人め、こっちは町に住んでたんだぞ。


「ヒロさんはエルフを見るのは初めてですか?」

「はい、本当に存在するんだと驚いています!耳、本当にとがってるんですね!!!」


はしゃいでいる俺を見て、シャール達も悪しき気配がない謎な人族に困惑していた。リリスはもちろん笑っている。その笑顔を見たシャール達はさらに困惑をしているのであった。





その晩、宴を開いてくれた。神秘的なイメージがあるエルフだったが、実はおもてなしが好きらしく、宴もお祭りのようで楽しかった。その時アリエッタが俺の隣に座る。2人の目には村人や騎士達と踊るリリスの姿が写っていた。


「リリス様があんなにはしゃぐって珍しいことなんですよ。」

「えっ?」

「幼い頃にお兄様を亡くしてからは、お屋敷に大人と常に共に過ごしていました。お友達もリリス様には気を使い、心から楽しめるお相手は居なかったのだと思います。」



ただのお金持ちの娘さんでは無かったようだ。本当に格式の高い娘なのだろう。


「リリスさんはどういった位の子なのですか?」


「…事情があって今はこの村にいますが、エルフ国の王女様なのです。」



「えーーーっ!!!!」


馴れ馴れしくしすぎていて、後悔しかなかった。アリエッタはクスッと笑った後に


「エルフの国にも事情があって、ヒロさんとは明日にはお別れしないといけません。ですが、またどこかでお会いできた時は、またリリス様とお話してくださいね。」




あんな小さな子が国を動かすとは思いもしなかった。俺はそのあと少しだけリリスと話をして寝ることにした。













…どれくらい眠っただろうか。何故か寒い。

目を覚ますと俺は縛り上げられ、数人の男に囲まれていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ