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草原の穴 ④

寒い部屋は頭が働きやすいって言うけど、どうなんでしょうか?

「――――!?」


「――――!?」


 着地は失敗して無様に身体を強打する。右足に激痛が走っているけれど、足から先の感覚がなくなっている。

 見てみると、足首から先が喪失していた。


 不思議と痛みは少なかった。これが魔力のおかげだろう。リスカのおかげでもある。


「だけど、ちゃんと《お隣さん》にもダメージが与えられたみたいね……」


 まだ立ち上がれないので、視線だけ《お隣さん》に移す。《鋭刃》によって三角帽子のツバを刃物に変えての投擲。

 当たれば良いと思って投げたけれど、結果としてウサギの耳を片方奪うことに成功した。


 それが吉と出るか凶と出るかは、分からない。

 私が思っているよりも痛みがなかったように《お隣さん》も痛みが少なければ……痛みはあるだろう。ウサギの形相を見たら分かる。


「リスカ! やっぱり、私ひとりでやらないとダメ!?」


 私は上空にいるリスカに向かって叫ぶ。


「当たり前じゃ! お前さんがひとりで乗り切らないと意味がなかろうに!」


 確かに、その通りだけれど……ひとりで戦うには難しい。殺さなければ殺される。マホログでは、それが常識なのだろう。

 本当に異世界はどうして戦うことが多いのだろう。

 もっと平穏な生活ができたらいいのに……。


「けど――勝機はありそうね」


 リスカを見上げた時に、二つの影が見えた。

 ひとつは三角帽子の影で、もうひとつはウサギの耳だった。帽子はブーメランのように戻ってきているのだろう。戻ってきたときに私が切断されないことを祈るだけだ。

 重要なのは『耳』だ。


 これで私は固有魔法を発動することが出来る。


 ドスン。とタイミング良く《お隣さん》の横に落ちた。問題は、どうやって近づくかだ。


「――まあ、走るしかないよね」


 善は急げだ。

 痛みを堪えながら、どうにか立ち上がる。片足立ちなんていつぶりだろう。

 てことは今からケンケンで向かわないといけないのか?


 ヤバいな。勝機は生まれたけれど、勝てるかどうかはかなり難しい。一発攻撃されたら、それだけで終わりだ。

 攻撃を避けることも無理だろう。


 私はケンケンでウサギに向かった。身体能力が上がっているとは言え、それでも片足だ。

 ウサギもこちらを向いてうなり声をあげて、走ってきた。私の片足とは違って、向こうは全快で走っている。


「ぐわっ!?」


 自分の口から出たとは思えないほど、気色の悪い声が漏れた。

 当然と言えば当然か……逃げる暇もなく私は捕まった。すぐに殴られると思っただけに、少し驚かされる。驚くのは、捕まったことよりもブーメランの機動力かも知れないけれど。

 運が私を味方したのか知らない。ただ、起きたことを受け入れるだけだ。


 確か、ブーメランは投げたところに戻ってくる。同じ場所ではないだろうけれど、だいたい同じ場所には戻ってくる。専門的な知識があるわけじゃないので、正確なことはわからないけれど……

 三角帽子は再びウサギに刺さった。

 今度も耳だけれど、切断するだけの機動力はないようで半分ほど切断して動きを止めた。

 それでも、十分だろう。


「!?」


 ウサギは私を握ったまま、耳に刺さっている帽子を触る。

 残念だけど魔法の解き方を知らない私は、永遠に凶器に変っている帽子を元に戻すことは出来ない。草もしかり。


「最悪な事態だったけど、やっぱりわかりやすい魔法くらい使ってから死にたいよね」


 私はウサギの耳からあふれ出る血液を口に入れる。

 こんな気色悪いことをするのは初めてだったけど、死なないためにはこれしかない。


「一か八かだけどね《喰吐》」


 そう言ってから、私は《お隣さん》の一部を飲み込んだ。


だいたい十五度の部屋で執筆するのですが、手がかじかんでひび割れしないか不安になります。typingも遅くなりますし、そろそろ手袋して原稿しようかな?

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