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少女の案内にご注意を! ②

のんびりしたペースで更新~

 まさか人生で《お姉ちゃん》と呼ばれる機会があるとは思わなかったので、かなり動揺してしまった。ましてやこんなアニメキャラさながらの可愛い少女に言われたら……変なスイッチが入りそうだ。


「えっと。その前に、ひとつだけいいかな?」


「何ですか?」


 チャロは小首を傾ける。

 あざとさはないのに、どうしてか可愛いせいであざとく見えてしまう。下心なんてこんな少女にあるわけないのに。


「まずは服装を変えたい。どこか洋服屋を教えてもらえるかしら」


「そ、そうですね……確かにお姉ちゃんの服装は魔女のようです」


 また《魔女》か。

 魔法を使える女という意味合いではないのだろう。チャロも私から見たら魔女だと思うけれど……何か特別な意味合いがありそうだ。

 悪い印象しか思い浮かばないけれど。


「それじゃあ、付いてきてください……」


 チャロはそう言って私の手を引いて歩き始めた。背丈的に腕をお互い伸ばしきらないと手は繋げないので歩きにくいことこの上ない。

 手を離さないのは友好か、逃がさない為か……。


 どちらでも構わないけれど、とても少女らしくない手をしていた。まるで手のひらすべてに豆でもあるのではないかと思えるくらいだ。

 実際に確認するわけにはいかないけれど、多分思っている以上にこの子は深刻な立場にいそうだ。それだけ《助けて》の内容が濃くなっていく。


「お姉さんはどこの国から来たのですか?」


 ううん。

 本当のことを言って良いのかわからない。別に言っても支障はないか。今日限りの関係だろうし。


「日本って国から来たんだ」


「ニホン? 初めて聞きましたけど……どの大陸にあるのですか?」


「ここからとても遠い国だから知らなくて当然だよ」


「そうですか? まあ、私はこの国から出たことないのですけど」


 えへへ、と照れたようにチャロは笑う。

 さらっと大陸と言ったけれど、マホログにはいくつの大陸が存在しているのだろう。地球ではいくつだったか覚えていない。

 日本も見方によってはひとつの大陸と見なしていいだろう。


 リスカのホウキで草原からリトルハッグまでの道中は海のようなものを一切見なかったな。


「チャロちゃんはリトルハッグで生まれたんだ」


「……いえ。私は奴隷として連れてこられたので、どこで生まれたのか覚えていないのです」


 ああ……そういう事情があるわけか。

 異世界なのだからどんな不快なことが起きても慣れるしかない。慣れるしか。


 ぎゅっと握る力が強くなる。


「お姉ちゃん」


「色んな事情があるね、お互い」


「お姉ちゃん」


「大丈夫。きっと――」


「お姉ちゃんつきました。洋服屋さん」


「え? あ、本当だ」


 気がつけば洋服屋に到着していた。この街にある建物は基本的に木造建築の、カウボーイなんかが出てきそうな街並みだった。

 周りにいる人たちは結構色んな服装を着ているので、統一性はないのだろう。ローブを羽織っている人もいたし、チャロのような布きれを巻いただけの人間もいる。

 本当に千差万別だ。


「それでは待っていますね」


「なんで? せっかくだからチャロちゃんも服変えない?」


「え? いえ、私はお金持ってませんし」


「いいよいいよ。1枚くらい買ってあげるって」


 チャロは満面の笑みを見せた後に涙を浮かべた。

 ああ、この子は思っている以上に闇の根っこが深そうだ。今度は私が彼女の手を引いて洋服屋に入った。



ぼんやりした頭で書いてるような、気が……

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