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到着! 戦争の国《リトルハッグ》

更新が遅くなりました(..;)

「見えたぞ。あれがリトルハッグじゃ」


 見えたと言っても、山林を幾たびも超えてようやく遠くに見えた大きな建物。いや、城壁?

 戦争の国。

 そう呼ばれるだけあって、リトルハッグはマホログ内でも屈指の大きさを誇るという。他の国を知らない私にとっては、実物を見ても大きいのか小さいのか。それとも平均的なのかは分からないけれど……いや、国の全貌を一目で見ることは不可能だ。

 自分が住んでいた国よりも、県をまるまる見ても大きいと感じる。県庁所在地のある地域を見るだけでも、ゲームなどの国よりも小さい。マホログをゲームの世界と対等に見るのは変な話だけど。


 実際に、ここはゲームではない。現実だ。


「大きいな……」


「当たり前じゃ。マホログ屈指と言ったはずじゃが?」


 だとしても、思っていた国とは明らかに違う。目の前に広がる国は、遙か遠くに小さな影が見える。それが中心なのだろう。そこから高さが下がり、そしてさらに四階分ほど地層が下がっているように見える。

 まるで巨大な山を無理やり国にした感じだ。


 あそこの頂上にある影は何だろう。本当に城でもありそうだ。


「マホが行けるのは一番下の階級だけじゃからな」


「階級?」


「見たまんまじゃ。いや、説明せんとわからんか」


 確かに分からない。見たまんま何を理解しろと言うのだろう。


「リトルハッグでは、一番上を《第六魔法学校》。そこから一つずつ下がって、A級。B級。C級。D級。E級。それからF級の階級で別れているんじゃ」


「なるほどねぇ……でも、どうして私は一番下の。だから、ええとF級の階級なの?」


 リスカは首を横に振りながら露骨にあきれた。


「ここは戦争の国じゃからな。初めて入国する人間は最下層からじゃないと国の権力で殺される」


 ……それは一大事だ。

 けど、国に入るのには最下層から入るのか――面白い。けど、リスカの口ぶりだと他の国は別に自由に入国ができそうだ。リトルハッグが特別なのか普通なのかを判断することは、まだできない。


 最下層がF級。つまりAを一としたら六階なわけだ。いや、Aを六としてFを一とした方が階層と呼びやすいだろう。


「まあ。入ってからはB級の階層までは行けないわけじゃないがな」


「A級はダメなんだ」


「まあな。マホのいた国にも高飛車はいたじゃろ? 権力を持った屑たちじゃ」


「ああ。貴族とかそういう人間しかいないのね」


「そゆことじゃ」


 どの世界にもそういう考え方の人間はいるわけか。国というだけあって経済を回すためにもお金を持っている人間は、しっかりと区別した方が良いのだろう。

 高飛車なんて言葉は滅多に聞かないな。

 言葉の意味はあっていたっけ?


 そう考えると、第六魔法学校がどれだけ大きな組織か分かる。貴族しかいない階層より上にそびえるのだから……どういう人間がいるのだろう。

 考えるだけでゾッとする。

 あまり関わらないようにしたい。


「服を買ったらさっさと帰るからな」


「……リスカは、この国が嫌いなのか?」


「嫌いじゃよ。さあ、降りるぞマホ。ちゃんと向こうでは師匠と呼ぶように」


 うっかり忘れていた。

 リスカがリトルハッグを嫌うのは、もしかしたら大罪人として国から追い出された過去があるのかもしれない。そういう展開も割と現実的にありそうだった。


 ともあれ、お尻が痛くなり始めたので降りるのは大賛成だ。


 久しぶりの地面に足が着いた。そういえば、魔法を覚えて使ったり化け物のような《お隣さん》を殺したのは異世界感がある。だけど、目の前に広がる高い城壁は――――異世界らしさを更に実感させていた。


 門番に名前と要件を言って、あっさりと中に入ることができた。リスカは既に何度も来ているそうで(当たり前だろう)、そのおかげもあるだろう。国に異邦人が入るのは、珍しいことではないのかもしれないけれど。


「ここがリトルハッグか……」


「うむ。じゃあ、あたしは用事があるからまた後で迎えに行く」


「へ? 師匠も何か用事があるの?」


「まあな。ちと嫌な魔力を感じたから、会ってくるのじゃ」


 ふうん。

 まあ、知らない土地を歩くのは慣れているので良いけれど……せっかく師匠と呼ぼうと心に決めたのに。それは別にいいけど、問題は一人でちゃんと過ごせるかどうかだ。


「じゃあ。ちと行ってくる」


 リスカはそう言って空高くジャンプして姿を消した。あっさりした別れだけど、私はあの魔女の従僕だ。

 そして、異世界に連れてこられたばかりで最初に到着した国。


 十分すぎるフラグ。

 問題を起こすなと言われても、自然と問題は起きてしまう。ましてや国で一番最下層の場所と言われている。


「キャアァアアアァアアアア!!!」


 すぐ近くで事件を知らせる悲鳴が聞こえた。

新キャラの予感しかない♪

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