戦が終わって……。
ゴブリンがピラミッド状の俺達の拠点に攻め込もうとして失敗に終わった。
失敗――というよりエドガーの放った対物ライフルの弾が指揮官に当たり軍は総崩れ。戦闘という名の残党刈りが行われた。
そんな事は露知らず……外の連中は勝利の雄たけびを上げていた。そして俺がバルコニーから顔を出すと「神様ー!」と手を振ったりお辞儀したりする群衆。確かに俺がガチャって出した対物ライフルでエドガーが功績をあげ、そのおかげで楽に勝てたとはいえ正直運要素が強すぎた。
そしてなにより「軍隊」としてここの連中は0点に等しい。
行列すら作っていない、パーティぽい連携できる陣すら作っていないのを見ると戦闘のイロハすら理解していない野良パーティ、もといソロ集団の集まりとみて間違いないだろう。
ゴブリンにすら怯んでいるこの連中を鍛えるのは骨が折れそうだ。
「神様、戦闘は終了しましたですじゃ、「ガチャの間」に戻りましょうぞ」
「ん? またあの部屋に戻るのか?」
「はいですじゃ、戦闘が終わったことで回せる回数が増えているはずですじゃ」
「そうなのか?」
「そうですじゃ。あの部屋に行く間に少し説明しますかのぉ」
そういうと村長は踵を返し建物へと入っていく。
「戦闘や民の訓練、狩猟に農業。内政や外交、その他諸々をこなすと「ゴッドポイント」が神様には付与されるらしいとこの神殿の最下層の「書物の間」の「神の書第三集」に書いてありましたですじゃ」
「「ゴッドポイント」……なんてそのままな名前なんだ」
「略して「GP」と呼びますがその「GP」で村人の強化やガチャを回す燃料、この施設で封印されている機能を開放することができるそうですじゃ」
「その物知りな村長からのおすすめは何かな?」
ここまで説明できるということは「神様」という存在が降臨した際どうするかをある程度考えていそうだ。もし「神様」が降臨した後やることがわからない場合も想定済みだろう。
「そうですのぉ……まずはガチャを少し引きつつ内政――農業や狩猟、他の敵となりえる国など外にも目を向ける必要がありますかのぉ」
「中を育てつつ外を警戒せよ……か。確かに遠い目で見ればそれが最適だな。他国に送れる間者――スパイ的な要員はいるか?」
「全然いませんですじゃ」
「ふむ」
考えてはいるが、実行に起こすには難ありか。もしスパイがいれば「神様」降臨前にすでに情報収集しているだろう。そう考えればスパイ育成は失敗に終わったと考えるべきか――もしくは送り込んだスパイが帰ってこなかったか。
そんな事を考えているとガチャの間に到着する。
そしてガコンと扉の横の突起を下げ扉を開ける。そして中に入る。
そして俺は踊りだす。適当に――
「あの、神様? 何をなさっているのですかのぉ?」
「ん? ガチャの前の奉納舞っぽいのをやってるんだが、なぜ村長はしてないんだ?」
「神様、漫画化されたらその踊りだけで2コマは無駄になります。それを毎回するなんてとんでもありません。読者への冒涜ですぞ?」
「言っている意味が分からん」
「1回目はいいですが2回目は省きましょうということですじゃ」
「そんなんでいいのか?」
「いいですじゃ」
「村長がそういうなら……」
俺は毎回ヘンテコな踊りを踊らなくてもいいようだ。よかった……。
少し安堵しながらガチャを回す。
タイルがクルクルと回るのを腕を組んで見つつ――
「なにをしているのですかのぉ?」
「ガチャの結果待ちだが?」
「な、なにを言っておられるのですか! 神様! アニメ化した際にこの時間が無駄な時間として省かれるのは確実! 視聴者に失礼というもの! スキップを押して結果を見るのですじゃ! レアな物はスキップされずに表示されます。レアでないものは<鑑定>して見ればいいですじゃ!」
「アニメ? お前はさっきから何を言っているんだ……というかガチャスキップできるのか……でももったいないからこういうのは一個ずつ見たいんだが……」
「ですから! そんなことをするとアニメーター達が死にます!! スキップしましょう!!」
「……そこまでいうなら」
俺はしぶしぶガチャのハンドルの上の10連の文字の横のかすれて見えにくい「SKIP」のボタンを押す。すると回転が速くなりすぐ止まる。そして物品がゴロンと落ちてきたと同時にすぐまたタイルが回りだす。
そして回転が遅くなり――
「これは――レア物ですじゃ!」
「ふむ、自動スキップ停止機能か。さて――どんなレアだろうか」
パネルの最初の文字は――「獣」
「獣……獣人か。女の子ならいいな」
次に止まったのは「人」
すでに確定だ。あとはもふもふの女の子ならよし、男でも戦力になる成人なら良き!
3つ目のパネルは――「の」、そして4つめが「老」
うん、老人か。使えねぇ――何かしら知恵さえ持っていればいいが……。
カンカンと5つ目と6つ目が同時に止まる。そこには「間諜」と書かれていた。
スパイがほしいねって村長と言ってたそばからこれだ。運良すぎない?
俺は自分の「豪運」を少し怖いと思ってしまった――。