ガチャの間 レアな物を頼む!
「オホン、それではこれから降臨の間に行きましょうか」
「降臨の間?」
「はい、神様のみが行える儀式の間でございます」
むぅ……神でない俺は使えないんじゃないか?
(大丈夫です。裕一郎様は転生して人ではなく神として類別されます)
……でも何も変わってないよ?
(女神の怠慢で能力が何もなく神になってしまわれたので……普通は偉業をなし試練を通過し半神半人になり数百年の時を神界で過ごして認められた者のみが一人前の神になれるのです。それを類別だけ神にしたあの女神が……ラファエル様も憂いていました。あまりにも気の毒ということで私が裕一郎様につけられました)
そういうことか……聖剣ももてなかったし魔眼とかそういう強力なのもなさそうなのは女神の怠慢か……ラフィーには世話になりそうだ。
(お任せください裕一郎様!)
くぅ! できる女性みたいな声しやがって! やる気になってきた!
(がんばってください! 裕一郎様!)
「あの……神様?」
「ああ、村長――案内よろしく頼む」
「はいですじゃ」
俺は村長についていき廊下を通り一つの扉の前に行きついた。
「ここですじゃ」
「ほぉ」
石の扉――俺開けれないよ? こんな重いの……。
「この横に……」
扉の横の突起を下にガンと下すとテンキーみたいなのが出てきた。近代的だな、おい。
「ここに「上上下下左右左右BA」と入力すれば開きますじゃ」
「なんでコ〇ミコマンド……」
「ほぉ、この謎のコマンドを知っているとはさすが神様ですじゃ」
「有名企業の有名コマンド……ってもわからんか――まぁ俺のいたところでは誰もが知っていたな」
「神の国……ですか。いつかはいってみたいものですじゃ」
「ふぉっふぉっ」と笑いながら顎髭をなでる村長。扉が「ゴゴゴ……」と重苦しい音を立てながら開く。そして中に入ると――
「ここが降臨の間――通称<ガチャの間>ですじゃ!」
「はぁ!? なんでガチャなんだよ! 降臨――召喚系じゃないのかよ!」
「はい! ガチャで降臨させるのですじゃ!」
「いやいやいやいや!? ガチャとかはずれが多いじゃねぇか!」
「大丈夫ですじゃ! はずれても何かに使えるのがこのガチャの真価! 「神ガチャ」と呼ばれています!」
「ふっっっざけんな! それは「神ガチャ」とは言わねぇ! 普通は「10連10回で確定+選択制」とか「〇周年ぶっ壊れ」ガチャが「神ガチャ」なんだよ! そんなはずれでも残念賞ポーションとか普通のガチャだろうが!」
つっても前者は選択できて誰もが手に入れられるのでぶっ壊れ性能ではないので俺達廃課金ギルドでは微妙ガチャと定義されていたが……神ガチャ=ぶっ壊れがでる新春、初夏(ボーナス狙いで作られるぶっ壊れ装備)、間を持たせるためにある程度使える装備が出る11月半ばのオータムジャンボガチャ、最後に怒涛のラッシュで来るリア充は恋人に、独り身はガチャにをモットーのクリスマスガチャ+年末ぶっ壊れ大晦日(ボーナス直撃)装備ガチャあたりか……。例外として〇周年ガチャはかなりぶっ壊れがでてたなぁ……。
「神様の言う「神ガチャ」はかなり要求が高すぎます。そんなガチャがあれば苦労はしませんよ」
「ふむぅ……ここではそういうガチャなのか……せめて召喚とかで普通に呼び出せてほしかったよ!」
「それでは神様初回10連しましょうか」
「なに?」
「神様が降臨されたときは初回だけ無料で10連……11回分のガチャが回せます」
「妙なところでゲームっぽいな」
「ゲーム?」
「いやいい……で? どうすれば?」
「はい! それではドン! ドドン! ドン! ドン!」
なんか村長が音楽を口ずさみ踊り始めた。なにこれ――
「ささ、神様も! ドン! ドドン! ドン! ドン!」
「え?」
「早く! 神様も!」
なにこれ! 村長に威圧されてる……横にいるラピスは目を瞑り下を向いている。エドガーは天を仰いでいる。むしろお前らが踊れよ!
「はやーく!! か・み・さ・ま!!」
「くそ!」
「ヘーイ、ドン! ドドン! ドン! ドン!」
「ドン! ドドン! ドン! ドン!」
俺も村長の真似をし踊る。
一分ほどして――
「フィニッシュですじゃ!」
「ヘイ!」
ポーズを決め村長と体を絡ませ決めポーズをピッと決める。
「それではそこにあるバーを回してください」
俺はふぅふぅと息を荒げながら壁についているバーを掴む。まるでガチャポンのような構造で壁の右側に丸い石板にバーがついている。そして中央には四角くでかい出口のような穴がある。ちなみにバーの上には「単発」と「10連」と切り替えるスイッチがある。
どうせこんな最初のチュートリアルのガチャなんていいのは出ないだろうと思いながらグルリとバーを回す。
すると出口らしきとこの上のタイルがグルグルと回りだす。どんな構造なんだ?
ガチャンという音と共に1つのタイルが止まり「回」という字が書かれている。その後もガチャンガチャンという音と共に止まりながら――映し出されたのは「回復薬・大」だった。
パッパカパーンと音と共に出口から瓶がカコンを出てくる。
「回復薬――か」
「ですな、大ですしなかなか良き、ですじゃ」
その後もタイルが回ってパッパカパッパカ鳴り響く。ちなみに「MP回復薬・大」や「強壮剤・強」等俺的にはハズレなのだが村長的にはなかなかの当たりのようだ。
そして最後の1つ――タイルの回転がすんごい回りだす。しかもレインボーで――
「こ、ここここれは……ままままさか! そんな!」
「当たりか?」
「当たりどころではありません! これは大当たり! 1%の星5の何かです!」
「1%! 星5!」
これは期待できる!
「伝承通りならば武器でも星5なら神から与えられる聖剣クラス! 人物なら大将軍クラスですぞ!」
(さすがは裕一郎様)
「おお、さすがはオ・レ……また無駄な運を使ってしまった」
どこかの泥棒の相棒の刀を持っている男風に言いながら「ふっ」と俺はドヤ顔になる。
そしてタイルがガチャンと音を立てて止まる。初めの一文字は「M」だった。人物名だろうか?
そのあともガチャンガチャンと止まっていく。
「M82A1バレットライフル……」
対物ライフル……確かに星5武器と言われれば納得するが……弾がなぁ……異世界で作れないであろう弾丸系武器――<銃>は正直使いずらい。しかも対物ライフルは使い手をもろに選ぶ。でないと肩がボッキリといくからだ。
俺がふぅと下を向くと、まだガチャンと音が鳴っている。弾の数だろうか――せめて弾倉3つくらいおねしゃす!!
意を決して上を向くと――
「M82A1バレットレイフルx∞」
「ほへ?」
「∞」という文字に俺は変な声を上げて思考が停止してしまう。
そして次の瞬間――
「おっしゃぁぁぁ!! 勝ち確! 勝ち確ぅぅぅ!!」
俺はガッツポーズをし、雄たけびを上げていた。