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転生した先は……。

「おお、神よ。降臨されましたか! 待っていましたぞい!」


 俺は首を横に傾けると何かを祈っている人たちがいた。所々から「神だ」「神が降臨なされた」と言っている。中には爬虫類の人型をしたファンタジー種族もいる。

 どうやら俺は本当に異世界に来てしまったようだ……。

 仕方なく俺は体を起こす。横には聖剣らしきものが置かれている。

 ふぅとため息を吐きつつ――


「ここの責任者は誰だ?」

「私ですじゃ」


 階段の下に目を向けると背の小さい老人が俺を見ている。そのほかの連中は「神が降臨なされた」「おお、神よ」とざわざわしている。

 小さい老人が「静まれい!」と一喝するとその場がシンと静かになる。そして「解散!」という言葉と共にそこにいた全員が散りじりになる。


「ああ、ラピスとエドガーは残ってくれ」

「は、はい」

「ん……了解だ」


 ラピスと呼ばれた耳が長いエルフぽい女の子とエドガーと呼ばれたトカゲを大きくしたような感じの野太い声をした男性? が残る。

 俺は立ち上がり横に転がっている聖剣を手に取り持ち上げようと……持ち上げ……あれ? 重いな……全然持ち上がらねぇ……。普通こういう場合剣を振れるだけの筋力くらい転生サポートでついてくるんじゃないの? どうなってんの?


(お答えします。普通なら最低限のサポートを受けられますが、今回は急な転生による事で受けられなかったと回答します)


 頭の中に声が響く。


「誰だ?」


 俺は周りを見渡すが誰も口を開いていない。

 今の声は一体……


(お答えします。私はラファエル様の頭脳をコピーした認識番号ラファエル3058番です。ラファエル様は天界のかなりの仕事量を抱えているため高度文明を作り自分の脳のコピーを作り様々な世界を管理しています)


 ほぉ……ラファエルとはまたかなりお偉い天使のことだよな……そのコピーがサポートしてくれるのか?


(はい、例外ではありますが不完全な転生、不完全なサポートをラファエル様が憂いこの私が案内役としてこれからお側にお仕えすることをお伝えします)


 それは助かるな。どこかに転生したスライムのサポーターかと思ったが……。さて……この聖剣はどうしようか……持ち上がらないんだが?


(進言します。そこにいる爬虫類種の個体名エドガーに持ってもらえばいいかと。体格からして持てるかと思います。ですが、この聖剣は主である渡刈 裕一郎様でしか真の力を発揮できません)


 真の力?


(聖剣は強力な力を内包しております。そしてその力を一気に開放――<神器開放>が行えますが消費MPが多く足りない分は生命力で補われます。普通転生者なら転生特典として消費MPがゼロになるスキルか、せめて使えるだけのMP量を会得、その際に力も付与されどんなか弱い少女でも振り回せるほどは与えられます)


 なんで俺は与えられてないのだろうか? 全然持ち上がらないんですけど……。


(はい、今この世界には急遽大規模な転生、転移が行われているためサポートが十分に行われていない模様です。担当の女神も素行に難ありでしたので私がサポートをするお役目になりました)


 ふむ、普通なら俺は聖剣をブンブン振るい神器開放とかいう必殺技で今頃俺TUEEEできていたのがあの詐欺女神のサポート不十分により肉体は転生前と同じ、聖剣と親切サポートラファエルさんだけを持たされて放り出されたと?


(YES! さすがは渡刈様、頭の速さは素晴らしい)


 ……褒められているのか?


(褒めています)


 う……うん、ありがとう。……てか転生ではなく転移でよかったのでは?


(……恐らく担当の女神が「逃げ場なくせばすぐに転生するでしょ!」的な感覚でやったものと思われます)


 うわ~めっちゃ似てるな。さすがラファエルさん。てかそんな理由で俺殺されたの? めちゃ理不尽。


(私の事はラフィーと呼んでください。ラファエル様と同じ脳としても存在が別格なので愛称のラフィーか3058番と呼んでください。あと役目を果たしたならばラファエル様が元の世界の死ぬ前に帰してくれます。それと何か願い事も一つなら叶えてくださるよう神様に働きかけていましたよ)


 おお! それはありがたい! あっと……それじゃ俺のことも裕一郎でいいよ、ラフィー。


(はい! これからも末永くお願いします、裕一郎様)


 おう、よろしくな!


「あのぉ……神様? なにをボーっとしておられるのかのぉ……そろそろ神殿を案内したいのじゃがよろしいですかのぉ?」


 目の前に小さい老人がすでに待機しており俺は少し警戒する。


「あ、ああ……案内してくれ」


 どうやら俺はラフィーとの会話に夢中になりすぎたようだ。


「はい、階段をまず下りましょうぞ!」


 そう言いながら杖をカンカンと突きながら器用に階段を下りていく。

 肌の色も普通でどうやら人間の老人のようだ。耳もとがっていたりはしない。

 俺は付き添う形で老人と一緒に階段を下りていく。

 そして最下段までつくと身長は俺より小さい……160cm程の耳のとがった少女ラピスと爬虫類がそのままでかくなって服を着たような身長2mはあるであろうエドガーを紹介される。


「私は村長ですじゃ」


 小さい老人が髭を杖を持っている片手でいじりながらもう片方の手でドンと胸を鳴らす。


「それって名前?」

「まぁ今はそう名乗っていますじゃ」

「ふむ……これから頼むよ村長」

「任してくだされ! 神様」


 神様というのは後で聞くとして俺の異世界生活が始まった――。

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