第2話*出会い×4*
気持ち長めです
明日投稿する予定で書きましたが意外と早く終わったで今日投稿しました。
ついてこいと言われたので赤髪のお方の後ろを裸足で追いかける。
麦わら帽子はくれないようだな。
そもそも持ってらっしゃらないけど。
まあ、この森の中で山賊の王になるつもりは無いし、手も伸びないのでいいか。
そもそもここには山賊なんてものはいないような気がするよ。私有地だろうし。
そんな事を考えていると不意に赤髪のお姉さんに声をかけられる。
それはここからだいたい徒歩10分ぐらいの所に俺達が目的とする学園があるとのことだった。
10分もあればお姉様から学園についていろいろ聞けるだろうか。
「あの、先輩?俺が通うことになる学園について色々教えてもらえませんか?」
「...別に構わないけど、入学するにあたって色々調べてこなかったの?特殊な所が多いし説明しきれないかもしれないわよ?」
げ、
10分で説明しきれない学校ってなんだよ。 俺なんか母校の説明15文字以内で出来るぞ。
「都内某所の学舎」―――
ってそんな話じゃない。
「すいません、あんまり調べてないんすよね。何でもいいんで教えてもらえますか?」
「...そう、じゃあいいわよ。まずはね......」
――――――――――――
先輩(お姉様)の話によると、俺が通う学園は「ブリエ・ユスティーツ学園」と言うらしい。
正式名称だと呼びにくいし長いので通称「ブリ学」らしいがダサいしなんとなく嫌なので俺は絶対にそう呼ばない。
決して俺が鰤をこよなく愛しているからではないのだよ。
話を戻す。この学園は一応魔法学校であるようなのだが、ただ魔法を教えてくれる学校ではないらしいね。
この学園はこの国が有能な兵士を育てる為に建てた学校で、入学者の9割が兵士を目指している。
なので、実践的な授業が多く、剣術や体術などの授業もあるとのこと。寧ろそればっかり。
国が兵士育成の為に建てたものなので学生とはいえ、いわゆる公務員だ。なので成績によって給料的な物が貰えるらしい。そしてその給料のようなもので学費を賄うシステムのようだ。
このシステムは正直ありがたかった。俺には学費を払う宛なんてないからね。お家ないもん。
同情するなら金をくれってな。
給料の詳細や注意点、イベントについては登録する時にカウンターにいる子に聞けば分かるということなので教えてもらえなかった。
それなら中途半端に説明しないで初めからその子のことを教えろよ!と思ったのは黙っておこう。
「...なに、ブツブツ言ってんのよ、あなた。ほら、もう着くわよ?見えるでしょ、あれが私たちの学園よ」
「...へェ.........へ?......」
俺はお姉様の指さす方を見たが、言葉にならなかった。
これが学校?そんな訳ないよなと否定したくなるほどの大きさであり、規模だった。
前にいた世界の王城よりよっぽどでかいな。 こんなにでかくして何のメリットがあるんだか。
黒のレンガを基調としたバカデカい建物が中央にあり、それの両側に対になっている白い建物がある。
その建物の隙間からさらに奥にドーム状のこれまたでかい建物が見えた。黒い建物と白い建物の間には某国立公園を思わせる広場的なものがあるようだね。
行き来するのに何分、いや何時間かかるんだか...。勿論大袈裟に言ってるけどさ。
「おーい、おーい、ねぇったら!」
―――バチンっ!
「っつあ!?!」
「もう、口開けてぼーっとしてるんじゃないわよ?」
「なっ!?、だ、だからってブツこたァないでしょ!くそいってェ…」
「...あら?あまり聞かない訛り?ね。地方からの入学なの?」
「え。......うーん、地方というと地方なのかな。(てか俺今訛ってたの?)」
「...ふーん。まあ、この学園は外と違って地位で区別なんかされないけど例外もあるから気をつけることね」
「??わかった。」
「ハァ、分からないって顔に書いてあるわね…。ん?。というかなんで敬語じゃなくなってるのよ!」
「んー、そりゃなかよくなったから?」
「あなた......今までの会話でよく仲良くなったと判断出来たわね...。
でも、まあ、いいわよ。図々しいけど。」
「お、いいの?やりィ、じゃあ自己紹介するよ。俺は黒木勇人よろしくな。」
「......アリア・マルティウスよ。」
「じゃあ...マルちゃんだな!」
・・・・・・
「は、はあ?何よその意味わからない呼び方!いやよ!アリアでいいわ!いや、アリアって呼びなさい!」
真っ赤な髪の女の子が顔を真っ赤にして叫ぶ姿はなんとも言えない可愛さがあった。それをハヤトはホッコリしながら見つめる。
「〜〜っな!なに孫をみつめるおじいさんみたいな顔してるのよ!さっさとあの小屋に登録死に行きなさい!」
「ちょ、おいおい多分字間違ってるから」
「間違ってなんかないわよ!くたばりなさい!土に還りなさい!永遠に眠りにつきなさいよ!」
辛辣なセリフを吐いてるが段々言い方が優しくなっていってるのにきづかないのだろうか。
ちょ、かわいいんですけど。というと更に真っ赤になって怒られそうだったので、そそくさとハヤトは小屋へ向かった。
――――――――――――
アリアにいわれた通り門の近くにあった小屋に入ってみた。そこはなんだか懐かしい感じで、勇者の時にギルド登録した場所と似たような雰囲気のある小屋だったので特に緊張もなく、カウンターへ向う。
「あの、ここで生徒の登録できるって聞いたんですが…」
「あ、はい、そうですよ。新入生の方ですね?では、こちらの水晶に手を置いてください。それで登録完了になります。」
そう言われて差し出されたのは人では無い何か小さな生き物の頭蓋骨がはいっている水晶だった。少し気は引けるが「え?そんなに簡単で大丈夫なの?」と言うくらいアッサリした登録なのでとりあえずやってみる。
ものの数秒で登録が完了したらしい。
「はい、これであなたはこの学園の生徒です!そこの魔法陣にたってください。」
言われるがまま、さっきから自分の足元の左側で青白く輝いていた魔法陣の上に立つ。
すると生暖かい光に包まれ、瞬く間に着ている衣服が変化した。
「......てっきり白の半袖カッターシャツにズボンかと思ってたけど...。なんか長ランみたいなの着るんだな......。」
「あぁ、それはもちろん入学式ですので正装していただいてるんですよ。入学式をシャツだけでむかえるなんて人いないでしょう?」
なるほどね。
まあ、ブレザー的なあれか。
でもなんともまあ、いかにもラノベって感じ。中2の頃からとある病にかかっている俺としては嬉しい装いだな。
「それと、確認なんですが腕...いや、あなたの場合足?ですかね。見せていただけますか?」
「え、足?...はい。」
少し女々しくおずおずとズボンの裾を上げていき足を見せる。
「い、いや。あの別に私はあなたの生足を確認したい訳じゃないんですが...って、え!?1級バングルをお持ちなのですか!?私、初めて見ましたよ!」
「??」
王から貰ったシルバーバングルは1級バングルというのか?なんか凄そうだな!俺の裸足に気づかないぐらいって...
あれ?ローファーまで履かせてもらえるんだ。
魔法陣に感心しているハヤトには見向きもせずカウンターの女性は続ける。
「貴族の方でもスフェラ3つ装飾可能な4級バングルが最高でしたのに!まして普通の新入生の方なら持ってないことの方が多いのですよ?感動です!私感動しています!」(バングル説明などは次の話にまとめて)
ずいっと顔を近づけられて思わず後ずさる。キラキラと輝く受付嬢の瞳を俺は直視できなかった。
俺...なんか汚れてる気分になる。
「へぇ、そ、そんなに凄いんですね...。いや、あの!そんなことより!学費とかその他のこと教えてくれませんか!」
「え、あ、はい!」
急に話を切り替えられたからか素っ頓狂な声を出して受付嬢は答えた。
「まずはですね、成績に応じてお給料が出ることはご存知ですか?」
「はい、一応。」
「それはよかった。まずその内容の説明をさせてもらいますね。」
「あ、お願いしまっす」
マニュアルだと思われる紙を見ながら、説明してくれる。
「貰える給料の詳細なんですが、月に1回行われるテストで7000G、日々の実践的な授業の評価で7000G。つまり最高で計14000Gが支払われます。」
「はい。(Gというのはお金の単位らしいな…。お姉様にチラチラと聞いた話からまとめると1G=100円ぐらいの価値っぽいから......月140万?!)」
「今、凄いもらえるじゃんとか思いませんでしたか?」
「い、いえ。(そこにたどり着く手前でした)」
「ふふ、それならいいんですが。あの、学費はそこから賄われるってことは既にご存知ですよね?」
「あ、それなら、一応知ってm...」
「それなんですがね!」
「(なんか食い気味できた)」
「実は学費って月10000Gなんですよ。」
「・・・・・・・・・っんんん!?え、高っ!高くね!?」
「そうなんですよね〜。そう思われるのも無理ないです。まあ、いい成績取り続けれはなんの問題もないですが。だいぶギリギリですよね?生活費も教材費もいりますし?ね?ね?」
「あ、まあ、そうですね(なんか誘導されてるよ。通販か。)」
「そ・こ・で!3ヶ月に1回実施されてるのが!!無差別実技披露大会!という体のバトル大会です!」
体っていっちゃってるよ...。
「あ、そこに賞金が出るわけですね」
「〜〜っそ〜なんです!!なんと!優勝者には20000G。準優勝で10000G。3位は5000Gです!」
なんかこの人のキャラが分からなくなってきたな…。はじめとテンション違い過ぎだろ。
「もちろん、実技成績が悪いと出れないとか出場制限は多少ありますが、基本的に普通に生活してたら誰でもデレマス!!」
「はい。参考になりました。では!(逃げてェ、逃げるか。)」
俺は回れ右して走りだした
「え!?え!?ちょっと!待って下さい!あ、せめてこの本を!!」
―――ビュンッ
振り返ってからの
白刃取りキャ―――ッチ!!
あ、あっぶねェ
おい、お主やるなみたいな顔してんじゃないよ。こちとら命の危機だったぞ。
長くなりそうだったので無理やり帰ろうとしたら何か分厚い本を渡された。というか、投げられた。
「それ、学校の決まりや行事説明など色々載ってるので参考にして下さい!あと入学式の前に入寮なので左側の白い建物の奥にある男子寮へ行ってくださいね!!」
「あ、どうもっす!じゃあ今度こそさよなら!(最初にもらって帰りたかった)」
「はい!ご武運を!」
茶髪の村娘Aって感じの受付嬢を背に、なんとなく駆け足で小屋を出る主人公であった。
――――――――――――
「あ、そういえば。学費に関する注意点とかバングルの詳しい話とか聞きたかったな…。
ま、載ってるか、この本に。」
そう呟きながら何千ページとありそうな本を抱えながらひとまずあの受付嬢がいってた男子寮へ向う事にした。
村娘A...じゃなくて、あの受付嬢が言ってたであろう建物についたけどさ。なんて言うかなァ。
広過ぎて落ち着かねェな。
俺は前世猫だったのかもしれない。今はなんとなく炬燵で小さく丸まっていたい気分だ。もしくはダンボールに入りたい。
まあ、平凡日本男児が大理石のような上質な素材に馴染めるはずも無かったな。
とりあえずさっき寮の受付で貰った鍵に書いてある番号の部屋に行ってみるか。話はそれからだ。
―――と、言って進み出してからどのくらいたったろうか。もうずっと似たようなところを歩き回ってる気がする。
「この気味悪い置物みたの何回目だろうな〜...うん、お前も俺を見たの何回目だろうな、ずっと立ちっぱなしでお疲れさんです」
終いには既に顔見知りとなった置物に話しかけるようになった。
そっと手を置物においてうんうんと頷いていると今までとは違うものが目に入った。
小学生くらいの少年がしゃがみ込んでいたのだ。
もう、そのくらいじゃ驚かないがな。
「...おい、坊主、どうしたんだ?泣いてんのか?」
出来るだけ好青年を演じる。
「...ううん、泣いてないよ。でもみんな気づいてくれないから少し寂しかったんだ...。でも、お兄さんに気づいてもらえたから大丈夫...」
ハヤトはハッと何かに反応したが周りを見回しても特に何も無かった。
そしてその少年の姿も消えていた。
何か、パンドラの箱を開けてしまったかのような、なんとなく嫌な予感がする。
そんな事があったものの何とか鍵に書いてある番号の部屋に辿り着いた。
「...ちょっと...ハァ、ハァ...。11階ってなんだよ…。エレベーターもねェのに高い建物立てんな!!...もう、つっかれたァ!HP1なめんなよ!」
HPと体力が関係あるのかは比較対象がいないのでまだ分からないが、とりあえず勇者の時より体力が無くなっていた。
「...早速部屋でひと休みでもするか。」
―――ガチャ
意気消沈で部屋の鍵を開け、ドアを開いたハヤトにエレベーターが無いことよりも更に凄い衝撃がはしった。
「...あら?あら?やぁっとルームメイトの到着ねぇ。って、やだ!かわいい顔してるじゃないのよ!」
―――それは2mはある男。いや、女。いやいや、所謂オカマさんであった。
予定より少し長くなった分次回は短めな物語と設定を投下しますね。
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