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*暇人勇者*〜つまらないので異世界へ〜  作者: 霧野おしる子
第1章 異世界から異世界
1/5

第0話*〜プロローグ〜

よろしくお願いします!

❮某異世界❯

パーティーを解散してはや1週間。

心地よい風が吹き抜け、高い木々が等間隔に茂っている林の中で俺は、SSランクの獣神「ブルー不死鳥フェニックス」の長い尾をハンモックの様に使い、平和になったこの世界を見下ろす。


少し離れた広場を見るとランクFの「プヨモン」(誰が名付けたんだろ)という青く少し透明がかった体をしている愛嬌ある顔立ちのプヨプヨしたモンスターと同じくプヨプヨした感じの、女の子が手を繋いでるのか女の子の手がプヨモンを刺しているのかわからない感じで仲良くしている。


その程近くではランクEで強面の「ゴブリン」と少年が竹刀をもちお互いを認めあったライバルかのように研鑽している。その様子をにこやかに獣耳の(獣人であろう)少年が眺めている。




今の感じで分かったであろうがこの世界はモンスターや人、その他種族が争いなく良好な関係を築いている。




そう、―――平和―――なのだ。




自己紹介が遅れたがオレは勇者。

いや、正確には「元勇者」だな。

今は勇者なんか必要としていない世界なので

勇者なんて名乗ってたら変な目で見られてしまう。



この世界を平和にした張本人である言わば英雄の俺が何故変な目で見られるかって?



はっ、愚問だね。



話せば長くなるんだけど、それはオレが直接平和に関わった訳じゃ無いからだよ。正確には関わる前に平和になった。いや、むしろもう少し前から平和だったのかも。



兎に角、平和になったんならそれでいいんじゃないの?そんな意見も多かった、だかしかし!!




オレにとっては大問題

魔王を倒して貰えるはずだった金は倒す前にあるハプニングで平和になったので無し。


平和になったことでパーティーは解散、頼れる人無し。


仕事なし。


モンスターが害をなさないので依頼なし。

よって金がない。


俺にとっては悪いことしか起きていない

(でも、何故かモンスターに懐かれてて食べ物や寝床には困っていない)


せっかくカンストしたレベル、強力な武器

防具や性能のいいアイテムたち・・・



お分かりの通り敵がいないので意味をなさない。

売っても金になりそうも無い。


まあ、金属としては売れるだろうけどそんなものははした金であり生活なんて出来ないのだ。




でもそんな事は魔王を倒してもなっていたであろう未来なのでしょうがないのである。


なら結局問題って何なんだよ

そう考えるのも無理はないね。



なので答えよう

俺にとって今大問題となっていること



それは『怠惰な勇者』と人に呼ばれることだ。


俺から言わせてもらうとそもそもするべきことが無いのだからどうしようもないんだよ!って感じ。



暇なんだ。

とてつもなく。



誰か仕事をください。



仲間をください。



お金をください。



翼をください。


...おっと違う違う。




いや、でも仲間は欲しいし仕事もほしい。(翼も欲しい)


だってさ、想像してみてくれよ


今まで周りに友達、仲間がいる中で趣味に没頭し充実した日々を送っている次の日に


食べ物しかない草原に放り出されるのを。



あれ、別にいいかも・・・



じゃないんですよ!

死活問題!孤独で死にます!

少なくとも俺は!全力で死にます!

だって兎年だもん。



と、まあ力説したのはいいけど

誰に向かって言ってんだって感じだし

この世界にいる限りどうにもならないしね。

このままあと八割は残ってる余生を

のんびり何もせずに過ごすしかない、……か。



……そういえば腹減ったな

そこら辺に木の実なってたよなたしか……。



……ん?待てよ。木の実...?

いや、違う違う。この世界にいる限り……?




そうだ、そうだよ




なんで思いつかなかったんだ。


つまらないのはこの世界だけカモ。


向上心がのぞめないのはこの世界だけカモ。


だが、オレが元いた世界とは別に

この世界があったんだ!

なら異世界はこの世界だけじゃないんじゃねーの!?




なんでこんな簡単な発想が今まで出てこなかったんだ!



平々凡々のごく普通の男子高校生が勇者としてこの世界に召喚されるというラノベ系展開にオレはRPGとしてこの世界を楽しんでいた!


だがそれによって生まれた謎の固定観念のせいで俺は異世界はこの世界だけであると思っていた。



でも俺の世界からみた異世界がここだけなんて誰が決めたんだ!


ちょっと強引な考え方かも知れないが、今はそんなこと言ってられない。


異世界は他にもあるんじゃないか?

例えば、スペースファンタジーの世界とか!

戦国時代みたいなのとか!

それはただのタイムスリップか



やばい、俺の探究心と好奇心と向上心に火がついた!


これは早速城に行って王に聞くしかない!



……



でもなんか今すぐってのは面倒臭いな……



「ふわあぁぁ・・・」



燃え上がりすぎてなんか眠いし

また明日でいっか・・・




怠惰な勇者ってのもあながち間違いじゃないな...





―――――――――――――――――――――




~翌朝〜



「・・・んん・・・・・・ふ、ふあぁ・・・・・・」


木漏れ日で目が覚める


ハンモックとして使っている尾の持ち主である「ブルー不死鳥フェニックス」(実は昨日ブラバと名付けた)はまだ眠っている様子である。


まだ朝日が登ってすぐなようで、辺りは静寂に包まれているが勇者はブラバから一定の距離をあけると国王の名前を叫びながら走り出した。



「うおおおおぉぉぉぉぉおおお!!!ルルゴルぅー!!!!貴方に聞かねばならない事があるー!!」




――――――❮王城❯―――――――――


ビクッ


「はっ」


国王のルルゴルはいやな汗を流しながら、目が覚めた。


まだ勇者がいた世界でいうと朝の4時といったところである。


「何故だろうか・・・、嫌な予感しかせぬな。杞憂だといいんだが。」


立派に生えた髭を触りながら四十代半ばであろう少し皺のはいった顔に汗をかきながら呟く。


もちろん杞憂などではない。




......なにやら兵達が騒ぐ声が聞こえる。

それがだんだん自分に近寄っていることに気づき

なにがあったのかと警戒していると




―――バアァン!!


「っ!!」


突然部屋のドアが蹴破られた。

必死に「おやめ下さい!」と言っている兵士の声がする。



「蹴破ってすいません!でも重要な話なんです!」



「・・・っ」



「な、何事だ勇者よ。まさかっ、新たな敵が現れたというのか!?」


「ははっ、違いますよ。そんな物騒なことじゃないです」



あまりに突然な勇者の来訪により慌てて考えたくはない可能性を口にする国王ルルゴルであるが、勇者に軽く笑い飛ばされた


「??」


「なら、なんだと言うのだ?こんな時間にこんなに慌てて、敵じゃないというのならどんな非常事態だ?」



「俺・・・いや、僕の非常事態です!」



「……な、なにかあったのか?」



―――いえ、何も無いんです。なさ過ぎて困ってるんです。だから僕を更なる異世界へ送ってください!―――







ティロリン♪


という可愛らしい音が鳴る


その時勇者の称号に「身勝手わがまま」が追加された。




朝か夜か分からない午前3時半に友人が「映画観ようぜ!」といいながらインターホンを連打してくるレベルで自己中心だ。(実話である)



その上相手は一国の主であるのだ、いくら勇者と言えどこの無礼極まりない行為に王が怒らない理由がない。



「勇者よ・・・」



「何でしょう?」



「異世界へ行きたいというのは本心か?」



「もちろんです!可能なん£∀*※☆?!」


語尾の方が言語になっていなかったほど

未来への期待で胸がいっぱいだ。




「可能だぞ、実は呼べたのだから帰れるという保証は無いのだが、違う世界にランダムで送るのは可能なのだ。」


遠まわしにお前は故郷に帰れないと言われている感じなのだが、勇者は興奮のあまり、聞いていない。



「送ってください!ぜひとも!もう刺激のない生活には飽いていたのです!」



「よし、じゃあ送ろうかの〜。 準備はいいか?いくぞ!」



「ちょ、ちょっと待ってくださいませ!陛下!」



国王の側近が慌てて叫ぶ。


「む、どうしたのだ」


「陛下・・・、仮にも彼は我々を平和へと導いてくれた勇者です。


―――たとえ直接なにかしてくれたわけではなくとも」


グサッ



槍で貫かれたかのような衝撃と痛みが勇者を襲う


「我々がお呼びした一応・・・勇者様なのです!」



グサッ



「なんの役にもたっていなくても!私は異世界へ送るなんて危険なことを勇者様にするのは反対です!」



グサグサァっ!!


「ヴォルフ」


「何でしょう、陛下」


「勇者はボロボロだ、その辺にしてあげてくれないか」



「勇者よ、わ、私の側近がすまないな」


無意識下で勇者を死の淵まで追い込んだ側近を諌めつつ、勇者に謝罪する。


「いえ、オ......僕これくらいじゃめげませんから...」


「ほぅ......」


「むしろ少し......快感です...」


勇者は頬を染めた!

国王のHPは40減った!



「そ、そうか・・・、まあ、とりあえず異世界へは送れるぞ。いつにする、勇者よ。」



「じゃ、じゃあヴォルフさんともう少し話してから・・・ハァ」


ヴォルフとはさっき勇者に少し(?)毒をはいた王の側近である


「よし!送ろう!すぐ送ろう!」


「え......」


少ししょんぼりする勇者。



「ヴォルフ!その前にあれをここへ。」


はっ、と短く返事をしてヴォルフは

部屋から出ていってしまった



―――数分後




「勇者様どうぞお受け取り下さいませ」



「え、これは?」


ヴォルフは赤いクッションにのった5色の「スフェラ」がちりばめられた真ん中にグレーの宝石が入っているシルバーバングルを勇者に差し出した。




―――『スフェラ』―――


それは属性をもつ装飾品だ。属性によってルビーやサファイアのように色をもち輝いている



「それはきっと別の異世界で役に立つはずだ。持っていきなさい。」


「え、あ、ありがとうございます!」


勇者はそれを何故か足首につける




「・・・よいのだ、今まで何も出来なかったからな。使い方は行ってみてから考えてみなさい」


「さあ、準備はいいかな?」


周りの兵士は達は眠い目を擦りながらドキドキとその状況をみつめる。


「さぁ、そこに出した私の魔法陣に入りなさい。」


「え、魔法陣なんて概念この世界にありましたっけ?僕、みたことないんd...」



「では行くぞ!」


勇者の質問を食い気味でスル―――



「「メタスタス!!」」



パアァァァァぁあ



目が潰れるのではないかと思う程の白い光に兵士達は目をおさえる。


そして目が見えるようになった頃

勇者のいた位置を見ると



靴を残して勇者は跡形もなく消えていた



「靴・・・送り忘れてしまったな・・・」


どうでもいい王の呟きは聞こえなかったことにして

ヴォルフ含む兵士達は薄明るくなっている空を見上げていた・・・



なんだかその空には勇者の顔が浮かび上がっている気がする

(勇者死んでません)



――――――――――――


「よろしかったのですか?」


「なにがだ。」


「勇者様に国宝のバングルを与えたことに決まっているではありませんか」


「よいのだ。あれはもともとずっと昔にここに来た別の勇者の者だ。勇者に返すのが筋だろう。」


「…っ!存じ上げませんでした。それならば、仕方のないことでございますね。」


「あぁ、どこに行ってしまったのかはわからんがあれはどの世界も共通の宝具だ。大抵のことはあれで凌げるだろう。」


「冥土の土産というわけですな。」


「…………ヴォルフ……、おぬし性格が悪いのぉ。」


「あと少し気になったのですが...。」


「なんじゃ。」


「メタスタスって何でございましょうか?その魔法陣に呪文があるなんて聞いたこと御座いませんが。」


「.........気分じゃよ。王たる者、雰囲気は大事にしなくてわな。」



「それはそれは恐れ入りました。ちゃんと考えがあったのですね…」


「(カッコイイから言ったなんて言えないの)」



まだ日が登ったばかりの空を見上げながら、少し話をした主従であった。








今後の話は説明調になる可能性があるので読みにくかったらすいません。

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