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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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添寝〜featuring 山本〜

 “腕じゃ寝づらいな……”

 俺がモゾモゾ動いていると

 「おい、寝づらくねぇか?」

 武田は腕にしがみつく俺を気にかける。

 「大丈夫」

 とは言ったものの、非常に寝付きづらい。

 “この前は武田に抱きついてたんだっけか……”

 それを思い出すと急に恥ずかしくなる。

 武田の腕はあまり抱き心地は良くない。

 かと言って布団を抱き締めて寝ると武田が眠れなくなる。

 武田に抱きつくのは恥ずかしすぎる。

 「やっぱし布団抱いて寝るか?」

 武田は俺のところに布団を寄せる。

 「いいよ、お前が寝不足になるだろ?」

 「隣でモゾモゾされても寝れねぇけどな」

 “どっちにしろ寝れないのか……”

 俺はどうやったら眠れるかを考えた。

 

 「トイレ借りるぜ」

 俺はそう言ってベッドから抜け出す。

 俺がトイレに発っている間に武田が寝ていれば、俺が布団を取るか、武田に抱きつくかが出来る。

 “20分くらい経ったら戻ってみるか”

 トイレで座りながら、時間が経つのを待っていた。

 

 「もういいかな」

 ある程度時間が経ち、俺は武田が寝ているかどうかを確認しに行く。

 “寝てますように”

 俺は心の中でそう願いながら部屋のドアを開ける。

 ドアを開けるなり

 「お前、腹痛かったのか?」

 と武田が尋ねる。

 「なんで寝てないんだよ」

 「お前がすぐ戻らなねぇから不安でよー」

 “作戦がものの見事に失敗したじゃないか”

 俺は少し大きめな溜息をつき、ベッドに潜る。

 「お前が寝れねぇなら、マジで布団貸すぜ?」

 「いいよってば」

 武田が布団を譲るのを何度か断ると

 「じゃあ何に抱きついたら寝れんだよ」

 と武田は呆れながら言う。

 「お前の腕がもう少し長くて太ければな」

 と言うと

 「抱き枕並の太さってことなら無理だろ」

 武田は笑う。

 「俺に抱きつくって手もあるけどな」

 武田は意地悪そうに笑う。

 「それをするくらいなら俺は寝ないから」

 つい心の中で思っている事とは別の事を言ってしまう。

 「お前が寝てくれねぇと俺も寝れねぇじゃねぇか」

 武田は真剣な顔で言う。

 “これ以上武田に迷惑掛けてたらお互い眠れないな……”

 そう判断した俺は、ため息をついて話そうとして再びため息をつく事を何回か繰り返し、漸く口に出す。

 「お前、反対向け」

 「なんでだよ」

 「いいからいいから」

 俺が武田の向きを変えさせ、

 「お互い眠れないのは困るから」

 と言って、俺は武田の首に両腕を回した。

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