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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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赤面〜featuring 武田〜

 「ん? もう1回言ってくれるか?」

 俺は山本の発言を確かめたくて聞き直す。

 「……もういいよ」

 山本は少し不貞腐れて布団を被る。

 「待て待て待て」

 と言って山本の布団を引き剥がし

 「さっきのは本当か?」

 と聞く。

 「お前の家に泊まってて、お前が寝不足なるのはなんか申し訳ないから、仕方なくだ」

 山本は恥ずかしそうに言う。

 「お前がそう言ってくれるとは嬉しい限りだぜ!」

 「仕方なくだって言ってるだろ?! 次から抱き枕でも買って来てやるからな!」

 俺が喜んでいると、山本は顔を真っ赤にしながら怒鳴る。

 「可愛いやつ」

 俺は山本の耳元で囁く。

 「黙れ! この馬鹿!」

 すると俺の顔の右側に強い衝撃が走る。

 「痛てぇよ!」

 「なんで! お前は! いつも! 調子に! 乗るんだ!」

 「わかった! わかったから!」

 俺は山本の猛攻を何とか防ぎ、山本を落ち着かせるため、山本の腕を掴む。

 「落ち着けって!」

 「お前が俺のことをからかうからだろ!」

 「からかってなんかないだろ! 少し確認しただけじゃねぇか!」

 「だからそれが!」

 山本は大声を張り上げた後、

 「……取り敢えず恥ずかしいから止めてくれ」

 と恥ずかしそうに言う。

 「お前って怒ってばっかだよなー」

 俺は山本の頭を撫でると

 「お前が怒らせるからだろ」

 そう言って俺の手を払い除ける。

 “やっぱり可愛いやつだな”

 俺は心の中で呟いた。

 

 「じゃあ寝るか!」

 俺は部屋の電気を消し、布団を被る。

 “山本が俺の腕に抱き着くのかー”

 それを思うとドキドキする。

 だが、いつまで経っても俺の腕を掴んで来る気配は無い。

 「おい、どうしたんだ?」

 「……お前、先に寝てくれないか?」

 「何でだよ」

 「…………恥ずかしいから」

 “クソ! 電気消してるから山本の恥ずかしがってる顔がよく見えねぇじゃねぇか!”

 山本が赤い顔をして恥ずかしがっている事を思い浮かべると口元が緩みっぱなしになる。

 「俺は気にしねぇよ?」

 「お前が気にしなくても、俺が気にするんだよ!」

 そう山本にどつかれる。

 「あ、そう言えば」

 俺は一つ大事なことを思い出した。

 「……なんだ?」

 「お互いの事を『お前』以外で呼びたいって話、覚えてるか?」

 「あぁ、でも、別に不便はしてないだろ?」

 「不便はしてねぇけどよ、なんかムードがねぇだろ?」

 「ムードなんてどうでもいいだろ」

 「どうでも良くねぇよ!」

 俺は起き上がり、山本の方を見る。

 「お前の事を『倖大』って呼べたら良いんだけどな。んで、俺の事を『俊哉』って呼んでくれれば嬉しいな」

 「……馬鹿野郎」

 山本はそう言って反対側を向く。

 「それはないだろ?」

 「わかったから取り敢えず寝よう」

 山本は手を振り、『早く寝よう』と合図する。

 「そうだな」

 俺もそう言って布団を被り直した。

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