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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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出前〜featuring 武田〜

 『あの子が来るのか?』

 「そうそう、大丈夫か?」

 『別に構わんよ、でも飯は作れんぜ?』

 「分かった、どうにかする。ありがとう」

 俺が電話を切ると

 「親父さんはなんて言ってた?」

 山本は心配そうに聞く。

 「お前を断るやつなんていねぇよ」

 俺は山本の心配を笑い飛ばす。

 「飯、どうすっかな……」

 今日は親父が早めに家を出る日だから、晩飯は出前を取ったり、弁当を買っている。

 “山本って何が好きなんだ”

 と悩んでいると

 「夕飯の事か?」

 と山本が心配そうに俺の顔をのぞき込む。

 「あぁ、親父がいねぇから、飯は買うんだけどよ、何が食いてぇか?」

 と聞くと

 「わざわざ買ってもらわなくても、俺が作るよ」

 と山本は返事する。

 俺は困ってしまう。

 俺の親父はあまり飯を考えて作らない。

 飯を作るのが好きな山本からしてみればいろいろと制限されるはずだ。

 「いやー、親父は調味料とか揃えてねぇし、レシピもねぇし、材料もねぇよ?」

 「それは揃えるのが大変だなー」

 山本も困っている様だった。

 「だから出前か弁当を買った方が良いんだよな」

 と言うと

 「どうせなら俺が作れないやつを食べたいな」

 と呟く。

 「お前が作れないやつなんてあんのか?」

 俺が冗談混じりに言うと

 「当たり前だろ!」

 と言って俺の頭を思いっきり叩く。

 「痛てぇ!」

 俺が頭を押さえていると

 「ピザとかラーメンが食べたいな」

 と山本が独り言を言う。

 「おいおい、そんなもんでいいのか? 寿司とかでもいいんだぜ?」

 と言うと

 「寿司とかも作れちゃうからな……」

 山本はそう言って恥ずかしそうに頭をかく。

 「やっぱり何でも作れるん……」

 「いい加減にしろ!」

 俺が言い終える前に山本が再び俺にツッコミを入れる。

 

 「んで、何食うんだ?」

 取り敢えず家にある出店のメニューを片っ端から集めてきた。

 「んー……」

 と言いながらメニューを漁る山本。

 いくつもあるメニューの中、山本が避けていない店はピザ、ラーメン、うどん、蕎麦。

 「お前は何が食べたいんだ?」

 「俺は何でもいいからなー」

 山本の質問に俺もメニューを見ながら答えるが、正直俺が食べたいものは見当たらない。

 「これはダメかな……」

 と呟いた山本の視線の先にはピザ屋のチラシがある。

 「でも、それは出前じゃないぜ?」

 と指摘すると山本は恥ずかしそうに

 「分かってるけど食べに行きたい……」

 と言う。

 家ならイチャつけるのに、何故食べに行きたいのかが理解出来なかったが、

 「おい、行こうぜ!」

 と言って外出の準備をする。

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