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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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提案〜featuring 山本〜

 「どうだった?」

 「来て良かったです」

 寺田さんの問いに微笑んで答える。

 「ここまで来る為の乗り継ぎとかはこれに書いておいたから、もし必要なら読んでね」

 と地図と乗り継ぎの詳細が書かれた紙をもらう。

 「ここまでして頂いて……本当にありがとうございます」

 俺は寺田さんに頭を下げる。

 「いいのよ、礼なんて」

 そう言って寺田さんは俺の頭をトントンと叩く。

 「来月からお願いね? 私もたまに顔を見せに来るから、もしここに来るなら連絡してね」

 と寺田さんに言われて

 「はい」

 と返事する。

 

 「家まで送るわよ」

 寺田さんは後部座席の方を振り向きながら話をする。

 「学校で大丈夫です」

 「学校までで良いっすよ」

 俺と武田は同じような返答を同時にする。

 すると寺田さんは軽く笑い

 「二人とも息ピッタリね」

 と言う。

 「そんなことないですよ」

 「そうっすか?」

 再び俺と武田の返事が被ってしまう。

 「二人とも仲がいいって証拠よ」

 華奈も笑いながら俺らを見つめる。

 「たまたまだ」

 「そうかもな」

 否定した俺と、肯定した武田の答えるタイミングが重なる。

 「また同じタイミングね」

 「やっぱり仲が良いんじゃない」

 華奈と寺田さんは俺ら二人の事をからかうが、恥かしくて仕方なかった。

 

 「じゃあ、ここでいいのね?」

 と言って寺田さんは学校の前で車を止める。

 「寺田さん、今日はありがとうございました」

 俺と武田は車から降り、俺は窓から寺田さんに礼を言う。

 「なにかあったら連絡してね」

 寺田さんはそう微笑むと車を走らせた。

 俺と武田は車が見えなくなるまで手を振っていた。

 

 「帰るか」

 武田は俺の肩を叩き、歩き始める。

 「今日は勉強しないのか?」

 と武田に聞くと

 「いや、するけどよー」

 と言って武田は少し黙った後、

 「二日連続でお前ん家に泊まるのはマズイからなー」

 と苦笑いをした。

 「俺は別にいいけど」

 と言うと

 「違ぇよ、俺の親父が心配するんだよ。迷惑かけてねぇかとか」

 と武田は肩を竦める。

 「別に迷惑とかは無いけど……」

 と言った俺に

 「お? じゃあ、お前ん家にずっと居座ってもいいか?」

 武田はそう言って調子に乗る。

 「ふざけんな」

 そう言って武田に怒ると

 「冗談だ」

 と言って笑う。

 

 「んじゃあ、帰るか」

 そう言った武田に

 「あのさ……」

 と声をかける。

 「なんだ?」

 と不思議そうな顔をしながら振り向いた武田に一つ聞いてみた。

 「俺がお前の家に泊まりに行くっていうのはダメかな?」

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