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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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対面〜featuring 山本〜

 「…………かなり痩せちゃいましたね」

 俺は驚きが隠せなかった。

 

 『ママは山本さんが最後に見た時からだいぶ痩せたけど、驚かないでね』

 家に上がらせてもらう前に華奈に言われなかったら、この程度の驚きでは済まなかったはずだ。

 前は少しポッチャリしてるくらいだったはずなのに、今はそれを全く感じない。

 一見したら別人だ。

 「いろいろあったのよ」

 目の前の女性は俺に微笑みかける。

 “この声、その微笑み……寺田さんだ”

 この二つが、俺に寺田さんだと教えてくれる。

 「いろいろで簡単に済ませられるような話ではないですよ」

 俺はそう言い返したが、寺田さんは微笑むだけだった。

 寺田さんは自分自身の事はいつも微笑んではぐらかす。

 「……体調、優れないんですか?」

 俺のこの問いにも微笑んではぐらかした。

 しかし、これははぐらかされてもわかる。

 “体調が良くないはずなのに、なんで俺と会いたがるんだろう……”

 心配されるのを嫌がる寺田さんが、何故明らかに心配されるような状況で会うのかが分からなかった。

 「あまり無理しなくてもいいんですよ?」

 「無理なんてしてないわよ! さ、座って座って」

 俺の心配を一蹴し、

 「そんな事より、お話しておきたいことがあるの」

 と寺田さんは一気に話を変えた。

 「倖大君の御両親と、私の関係は華奈から聞いたのよね?」

 「はい」

 俺は椅子にかけながら答える。

 「お友達が一緒に話を聞いてても大丈夫?」

 寺田さんは武田を手で指しながら聞く。

 「俺、邪魔っすよね」

 とそそくさと居なくなろうとする武田。

 「彼も知ってるんで。お話しして頂いて大丈夫です」

 と寺田さんに言った後、

 「武田、お前も居とけ」

 と座るように手で促す。

 「あ? でも……」

 そう言う武田を睨みつけると、武田はため息をつきながら椅子に座る。

 「じゃあ、話すわね」

 そう言って俺の方を見て微笑む。

 「……お願いします」

 俺もそう答える。

 「華奈が言ってたように、私はあなたに償いをしたいの」

 「いいえ、そんな事はして頂かなくても……」

 「まずは私の話を聞いて頂戴」

 寺田さんは俺の話を遮る。

 そして、その遮り方は何か焦っているかのようにも思えた。

 「……はい」

 俺は戸惑いながらも返事をする。

 

 寺田さんは深呼吸をし、

 「私が話終えるまで口を挟まないで貰いたいんだけど、いい?」

 と尋ねる。

 しかし、俺はそれに従うしかできなかった。

 俺は静かに頷くと、寺田さんは重い口を開く。

 「私ね、先が長くないのよ」

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