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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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煩悩〜featuring 山本〜

投稿する順逆だったかもです……

 「……風呂借りるぜ?」

 そう言って風呂に向かった武田に俺は返事もできなかった。

 “幻滅された訳じゃないよな?”

 俺はいちいち不安になってしまう。

 選りに選って、逆上せて寝ぼけた状態で武田が居るのを忘れてしまっていたのは大きな痛手だった。

 せめて服を着ていれば隠し通せたかもしれないものの、俺と武田の間には布が一枚あるだけで、隠すことなんぞ適わなかった。

 “力、強かったな……”

 キスしていた時を思い出すと顔が火照って頭の中が爆発しそうになる。

 「明日の弁当!」

 俺は独り言を言って煩悩を忘れようとした。

 「確かアイツは豚肉を食べたいって言ってたな……」

 と言いながらレシピを漁る。

 「生姜焼き……ダメだ。普通すぎる」

 「豚バラとジャガイモのオイスターソース炒め……アイツが食べたことある奴じゃないのが良いんだよなー……」

 盛大に独り言を発しながら探していると

 「豚肉巻きのピリ辛味噌焼き……簡単そうだけど、これでいいか」

 そう言いながら冷蔵庫の中にあるものを見て何が足りないのかをメモする。

 「ニラ……コチュジャン……」

 “コチュジャンか……”

 俺はコチュジャンの所で手が止まった。

 『コチュジャンは余るから買わなくてもいい。何かで代用しろ』

 と父親に言われて言葉を思い出すが、前に代用しようとして失敗してしまったし、今回食べるのは俺だけじゃないからって事で、思い切って買う事にした。

 「スマホは……すぐ戻ってくるから要らないか」

 そう呟いて家を出た。

 

 「武田って何が好きなんだろうなー」

 俺はまた独り言を始めていた。

 「アイツに聞いたら『何でも食えるから』とかって言われるんだろうな……」

 一人夜道を歩きながら独り言を発し、時折笑うなんて傍から見たら『頭がおかしい人』認定されてしまいそうだが、煩悩のせいで恥ずかしくなるよりかは幾分かマシだった。

 

 スーパーでお目当ての食材を買っていると、目の前でカップルがイチャついているのが見えた。

 城之内なら

 『爆死すればいい』

 と呪いをかけてる所だが、俺の目にはその様子が少し羨ましく映る。

 “俺らもあんな風にして街を歩けたらな……”

 とまた煩悩が膨らむばかりだった。

 「別にイチャつかなくてもいいだろ」

 俺は自分に対して言ったのだが、最早リア充のアンチのセリフだった。

 

 買い物を済ませ家に戻ると、風呂場の電気が消えていた。

 “アイツ、風呂上がるのこんなに早かったっけか?”

 そんな事を思いながら、俺は家のドアを開けた。

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