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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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接吻〜featuring 山本〜

 「キス…してもいいか?」

 武田がそう聞いてきた時、俺は正直質問して来るよりも行動して欲しかった。

 強引気味であってもいい。

 俺が払い除けたとしても、それを無視して俺にキスしてくれたっていい。

 質問されると、なんとなくやりづらいし、言っちゃ悪いがめんどくさい。

 だが、武田にいちいち確認を取らせるようにしたのは俺のせいだ。

 そんな風に色々考えていると、武田は再び心配そうに聞いてくる。

 「キスは流石にマズイか?」

 「………………さっき言っただろ?」

 俺がそう言うと、武田は少し考えている様な顔をした後、微笑む。

 その微笑みから数秒後、武田は俺の頬から手を離し、武田は顔を手で覆う。

 「どうしたんだ?」

 「いや……こうすると恥ずかしいもんなんだな」

 武田が恥ずかしそうにしてるのを見るのはレアな気がした。

 「お前にも恥ずかしい事ってあるんだな」

 「当たり前だろ」

 俺の冷やかしに武田は笑いながら答える。

 

 「さ、仕切り直しと行こうか」

 そう言って武田は再び俺の頬に触れ、俺は目を閉じ呼吸を整えた。

 武田の息が近づいているのが分かる。

 “…………来る”

 そう思った瞬間だった。

 パクッ

 「……っおい!」

 俺は武田を突き飛ばしてしまう。

 「おい! 何で耳を噛むんだよ!」

 「たまにはいいかな? って」

 「何だよ! たまにはって!」

 顔が火照ってしまうくらい恥ずかしかった。

 そんな俺を見て武田は笑うだけだった。

 「そんな怒る事じゃないだろ?」

 「怒るだろ!」

 「でもお前はいつもこんな感じだったぜ?」

 武田にそう言われては何も言い返せない。

 少し吃った俺を武田は急に俺の腕を引っ張り、自分の方に引き寄せる。

 俺はそのまま倒れ込み、武田と半分重なった状態になる。

 「なんで急に引っ張るんだよ!」

 そう言おうとした瞬間、武田は俺にキスをする。

 あまりにも唐突過ぎて危うく武田を殴りそうになるが、それを必死に押さえ、軽く押すだけに留めた。

 だが、武田はそれに反応し、

 「嫌か?」

 と尋ねるが、俺は首を横に振った。

 武田はそれを確認するや否や、俺の頭を引き寄せ、再びをキスをする。

 

 「……っ!」

 “舌が入ってきてる!”

 キスをしている最中に武田を離そうとするが、武田の力には適わなかった。

 そこからは武田の成すがままだった。

 上にいたはずの俺はひっくり返されてしまい、俺は武田の下敷きになってしまう。

 そのまま攻められていると武田は俺の頭を抑えていない左手で俺から布団を取ろうとする。

 「たけっ……」

 “布団が!!”

 俺は武田に攻められてる間、俺の体が反応しているのをどうにか隠そうとしていた。

 もしこのままば布団を剥がされれば、反応しているのがバレてしまう。

 俺は布団が剥がされぬよう必死に抵抗したが、抵抗するにつれ、布団を剥がす力が強くなる。

 

 「布団取れよ」

 「嫌、だ!」

 「それも照れ隠しか?」

 「違っ…」

 武田は起き上がり、俺から全力で布団を奪い取ってしまった。

 

 「馬鹿野郎!」

 咄嗟に隠したが、武田はどうやら気づいたようだった。

 逆に気づかない方がおかしい。

 男同士なら、今何が起こっているかくらい察しがつくはずだ。

 

 「す、すまん…」

 武田はそう言って俺に布団を被せてくれたが、気まずさは残ったままだった。

 “引かれたのか?”

 俺はなんとも言えぬ気持ちとなり、座り込むしかできなかった。

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