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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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目撃〜featuring 城之内〜

 「おい、どういう事かよ……」

 

なんかストーカーチックだが、俺は華奈さんが山本を呼び止めたのがとても気になった。

 “もしかしたら山本の好きな人って華奈さんのことか?”

そう考え始めると不安が収まらない。

 地区予選の時、典子さんと別れるってのを聞いて

 『好きな人が出来たんだろ?』と尋ねた時の山本の反応は恐らく図星だ。それなら好きな人は誰か、って考えてた時に二人がファーストフード店に入るのを見て、俺もこっそりバレないように入った。

 遠くから二人を見つめたが、会話の内容は聞こえない。華奈さんから何かの紙を受け取ると、真剣な顔から驚き、そして微笑みに変わった山本の顔を見ると

 “あんなに関心がなさそうにしてたクセに、なんでこんな仲がいいんだよ……”

と山本が憎たらしくなってくる。

 正直に『気になってる』なんて言ってくれれば正々堂々勝負できるのに、こんな事されたらたまったもんじゃない。その後、山本は華奈さんと連絡先の交換をしやがった。

 

 この俺よりも先に!!!

 

 その後、華奈さんも華奈さんで、手を振りながら帰っていた所から見るに

 “デキてるのか?!”

と不安と焦りが増す。

 席に一人残った山本は天井を眺め、そしてニヤけた。

 “そりゃ、華奈さんと連絡先交換したんだからニヤけたくもなるだろうな! 畜生め!”

と心の中で怒鳴り散らした。

 

 山本は少しすると席を立ち、店を後にする。俺は山本の後を追いかけ、呼び止める。

 「山本!」

 「なんだ?」

山本の顔にはまだ微笑みが残っていた。

 「華奈さんとはどういう関係なんだよ!」

俺は腕を組みながら山本に問いかける。

 「どんなって……もしかして全部聞いてたのか?」

山本は顔を強ばらせる。

 「どういう関係だ?!」

俺はつい、怒鳴ってしまう。

 「あ、別に特別な関係じゃなくて……。なんて言うか、その……」

 「もういい!」

狼狽える山本に嫌気が差した俺は、山本のその後の答えを聞くこと無く、その場を立ち去った。

 

 正直言って、山本には呆れた。いや、嫉妬なのかもしれない。

 “俺はただ……”

と考えて、止めた。

 「どんだけカッコ悪ィんだよ、俺……」

と呟く。

 “親友が俺の惚れてる人と付き合うってのは嬉しいことじゃないが、面と向かって祝福してやるべきじゃないのか……”

そんな事を考えながら歩いていると、いきなり肩をどつかれる。

 

 「ちょっと!」

そう言われて振り返ると、そこには典子さんが立っていた。

 「さっきから呼んでたのよ?!」

 「あ、すいません……」

典子さんの唐突すぎる声かけに驚き、つい挙動不審になる。

 「ねぇ」

典子さんは腕を組み俺に話しかける。因みに典子さんの腕の組み方は胸を強調してるようにしか見えなかった。

 微乳だが、美乳だ。

 「ねぇ!」

先程の『ねぇ』よりもかなり強い言い方だった。

 「は、はい?」

 「倖ちゃんから何か聞いた?」

オドオドしていた所に容赦なく質問をぶっ込んでくる。

 「何かって何を?」

 「さっき何か話してたでしょ?」

どうやら先程の山本とのやり取りを見ていたらしい。

 「あー、あれの事なら……」

 “ここで華奈さんの名前を出すのはマズイな”

そう悟った俺は山本と武田の仲が悪くなってることの話にしておこうと思い、その事を話し始める。

 「山本が武田と仲が悪くなってたから……」

 「嘘言わないで!」

典子さんは俺の言葉を遮る。

 「どいつもこいつも嘘ばっかり!」

その典子さんは怒鳴ると、少し呼吸を整えて

 「華奈の連絡先あげるからホントの事、話してくれる?」

典子さんは俺の目の前にエサをチラつかせる。

 “いや、本人から貰った方が断然嬉しいだろ?”

 “でも今連絡先をゲットしちまえば、事の真相にも近づけるぜ”

 そういう風に俺の心の中で天使と悪魔が戦い始める。

 

 「決まった?」

典子さんはイライラした口調で尋ねる。

 「あ、あぁ……」

俺は天使と悪魔の勝者の方の意見に耳を傾けることにした。

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