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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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渾沌~featuring 武田~

「別れたかったはずなのに、別れた途端なんていうか、後悔をしているような気がするんだ」

山本はそう告げた。

 山本は始め、このことを話す時に頭でいろいろ考えすぎていたが為に、言葉が出てきていないようだった。だから

 「お前の思ってる気持ちを何も考えずに、ただ話すだけって事はできるか?」

と提案した。

 そこからは山本の心の声はノンストップだった。

 

 ―――なぜ別れたことを後悔しているのか

 ―――実は典子のことが好きだったのではないか

 ―――そもそも“好き”とはなんなのか

 ―――もし好きならヨリを戻した方がお互いの為ではないか

 ―――“関係を壊したくない”から始めた関係なのに、それを自ら壊しに行くのはワガママなのではないか

 ―――もしこれから先、“好き”という気持ちが分からないなら、また誰かを傷つけることになる

 ―――もしそうなら、俺は“好き”が分かるまで一人でいた方がいいのではないか

 

 時々

 「おかしいだろ?」

と言って笑う山本に

 「おかしくなんてないさ」

俺はそう言って首を横に振る。

 

 一通り話し終えると、山本は大きなため息をつき、

 「意味わかんないよな」

呆れながら笑う。

 「混乱してるっつーのはわかった。それで充分じゃねぇか」

俺は山本の肩をさする。

 「俺って典子のこと好きだったのかなー」

そう言ってベッドに倒れ込み、仰向けの状態になる。

 「さー、知らね」

“俺の事が好きなんじゃねぇのか?”

そんな気持ちを抑え、山本の質問に軽く答える。

 「もしそうだとしたら、典子にも悪いし、巻き込まれた城之内なんかも可哀想なんだよな。そして……」

そして山本は起き上がり、俺の方を向きながら

 「お前にも、な?」

と言う。

 「なんでそこに俺が出てくるんだよ」

俺は山本から目を逸らして聞くと

 「お前は俺の事が好きなんだろ?」

 山本は正面に向き直りながらレモンティーを飲む。

 少し沈黙した後、

 「あ、あれか」

俺はわざととぼけて

 「忘れてくれたっていいのによ」

そう言って俺もレモンティーを口元に運ぶ。

 「忘れられるかよ」

山本は俺の肩に手を置く。

 「なー、武田。 こっち、向いてくれるか?」

ため息をつきながら、山本の方に向き直る。

 「なんだ?」

と言った俺に、山本は

 「好きってなんなんだよ、教えてくれよ」

そう尋ねた。俺は訳がわからず、

 「どういう意味だよ」

と質問を返す。山本は恥ずかしそうに

 「あ、いや、その……」

と少し戸惑った様子だったが、深呼吸をした後、

 「お前は、俺の事をどういう風に思ってるのか……ってこととか色々」

と聞いてきた。

 

 「お前か? そうだな……」

 “羞恥プレイかよ!”

なんて思ったが、『答えないと俺にチャンスが無い』そう思い、重い口を開く。

 「お前は、俺の中では……」

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