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2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
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待機~featuring 武田~

このプレッシャーは思ったよりも重かった。先輩達と同じ舞台に立つこと、そして次の舞台に進めるようにすること。

 もしかすると俺の出番はないのかもしれない。だが、それで気を抜くわけにはいかない。これから先、このような事がしばらく続くのかと思うと投げたしたくなる衝動に駆られる。

 「いいか? これから予選が始まる! お前らなら頂点を目指せる! しっかり気を抜かず全力を尽くせ!」

 監督の激励の声が、緊張のあまり逃げ腰気味だった俺を奮い立たせる。監督の声を聞くと先程の考えが頭から消えてなくなる。

 “お前らなら頂点を目指せる”

 その言葉を裏切らないように、監督やみんな、そして親父の期待に応えよう、そう決意し、会場入りした。

 忙しく行き交う人を掻き分け進んでいると、視界の端に山本がいた。山本は誰かと話しているようだった。よく見るとその向かいには俺らの高校とは違う制服を着た女子が山本に向かって話していた。

 “あれが噂の彼女ってやつか……。まぁ、2人ともお似合いだな”

 とため息をつきながら前に進んだ。

 

 とうとう控え室に着いた。先輩達の様子がとても落ち着いていなく、俺も落ち着かなくなった。先輩の1人が

 「監督は?」

 とキョロキョロしだす。監督が少し居ないだけでみんな不安になっているのがわかる。監督の存在が俺らの中で大きいことを実感する。

 みんな監督が好きだ。尊敬している。尊敬する監督、応援してくれる周りの人達の期待に応えなければ、というプレッシャー。それに甲子園に出場するという夢。

 これらが合わさって、キツイ練習にも耐えられた。みんなでここまで頑張ってこられた。

 「おい! お前ら!」

 と控え室のドアが開くとともに、監督の怒号が聞こえる。

 「俺がいないだけで狼狽えるような選手に育てた覚えはないぞ! 俺がいないならキャプテンが引っ張るべきだろ?!」

 「はい! 監督!」

 監督の喝はチームの士気を上げた。

 「もう少しで入場だ! これからの試合、俺ができるサポートは一切無い! 勝つか負けるかはお前らの実力次第だ!」

 「「はいっ!!!」」

 「幸運を祈る!」

 監督はその言葉で締めると、

 「シートノックに行くぞ!」

 とキャプテンがチームに声をかけ、控え室を後にし、眩しい太陽が照りつけるグラウンドへと入場した。

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