表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2人はその時、本当の愛を知った  作者: 楯山 鐘光
19/85

初夜~featuring 山本~

夕飯中騒いでいた武田も落ち着き、食事も無事終了した俺らは、明日の日程について話し合っていた。武田は始発で学校へ行き、軽く練習をしてから会場へ向かう事になるらしい。俺は部員でも無いから武田と同じルートでは会場へは向かえないらしい。その為、俺は武田と一緒に学校へ行き、途中で抜けて一人で向かうことにした。

 話もまとまり、武田は

 「風呂入ろぜ?」

 と言った。

 「そうだな、俺とお前、どっちが先に入る?」

 と聞くと、武田はモジモジしながら

 「……一緒にはダメ…か?」

 と眉間にシワを寄せながら言ってきた。唐突で驚いた俺は

 「あ、あぁ…。全然…構わないよ。」

 と承諾してしまった。武田は

 「よっしゃ!」

 と言って服を脱ぎ始めた。俺はただ呆然としてその様を見ていると、

 「あ、あのさ、そんなにガン見されるとハズいんだけど?」

 と言われて、慌てて目を逸らす。

 「な、一緒に入るんだろ? ほら、服脱げよ」

 と言われたものの、なかなか脱ぐ事は出来なかった。

 「仕方ないな」

 と俺の服を脱がしにかかる武田に

 「待て待て待て待て! …自分で出来るから。…な?」

 と言って制止する。ため息をついて腕を組む武田の視線を感じながら、俺は服を脱ぎ終えて、風呂場へと直行した。

 「山本、頭洗ってやるよ」

 と俺の頭をシャワーで濡らし、シャンプーを手に取り洗い始めた。

 「い、いいよ、自分で出来るから…」

 と言ってる最中も俺の頭をガシガシ洗い続ける。そして洗い終えたと思ったら、俺の頭にシャワーを掛けた。シャンプーが流れ終わったあと、俺は

 「何してんだよ!」

 と軽く怒鳴るが、

 「いや、頭を洗ってた」

 とさらっと言った。そして、

 「次は俺が洗ってもらう番だ」

 と言って、シャワーとシャンプーを手渡そうとする。

 「いやいやいやいや、頭くらい自分で洗えるだろ?」

 と呆れると武田は

 「洗ってくれねぇのか…」

 と言ってしょんぼりする。

 “お前!そのしょんぼりに俺が弱いの知ってるか?”

 と心の中で怒鳴りながら、

 「わかった、貸せよ」

 と言って、武田の両手の物を奪い取り、武田の頭を洗い流した。次に武田は、ボディタオルとボディソープを手にし、俺の体を洗い始めようとする。それは流石にまずいと思い、

 「おいおいおいおい!それは流石にダメだろ?!」

 と怒鳴った。

 「山本、お前さっきから怒ってばっかだそ? 何がダメなんだ? 体を洗い合うくらい。男同士だろ?」

 と言って武田はキョトンとする。思った以上に呆れた反応で逆に驚いたが、

 「恥ずかしいからだ!」

 と怒鳴った。

 「なぁ、山本。ここまで来たんだぜ? 恥ずかしい事なんて無いだろ?」

 という言葉に再び呆れたが、

 「いいや、ダメだ! それに俺らは、付き合ってないんだぞ?」

 と言い、武田の手からボディタオルを奪い取り、体を洗った。武田は

 「山本…すまない。お前がここまで嫌がるのは知らなくて…」

 と謝っていたが、俺はそれを無視して体を洗い流した。

 「ほら、終わったぜ?」

 と言ってボディタオルを洗って手渡した。武田は

 「なー、悪かったって…」

 と言ったが、それを無視して俺は

 「バスタオルはどこ?」

 と聞いた。武田は

 「風呂場から出て左の引き出しの中だ…」

 と悲しそうに言ったが、何の反応もせず、俺はバスタオルを取り、体を拭いた。それから5分後くらいに武田も風呂から上がってきた。

 「お前、明日試合だろ? ゆっくり湯船に使ってリラックスして来いよ。」

 と言ったが、武田は

 「いや、いいよ…」

 と言って、食卓のイスに座り込んだ。

 武田は何度も謝ってきていたが、無視していた。俺は怒っていた。だが、それ以上に恥ずかしくて緊張していた。あのまま進んでいれば、今頃一線を越えていただろう。

 “今はできない…”

 と心の中で呟き、どうにかして怒りを鎮めた。

 「本当に悪かったからさ…」

 と今にも泣きそうな顔で謝ってくる武田に

 「もう、謝らなくていい。大丈夫だから」

 と言った。

 「もう、あんな事しないからさ…」

 武田は今にも泣きそうだ。

 「あぁ、もう分かったから、そろそろ寝ないと。明日早いんだろ?」

 と言って武田と部屋に行った。

 

 俺は

 「毛布をくれ」

 と言って武田から毛布をもらい、床に適当なスペースを探して寝ようとすると、

 「おいおい、お前が床で寝ることは無いだろ?」

 と武田は言った。

 「何言ってんだ? お前、明日は大事な試合だろ? 床で寝て体を痛めたらどうすんだよ?」

 と床で寝ようとした俺に、武田は

 「好きな人を床で寝かせてやれるか?! お前が床で寝るなら、俺も床で寝る!」

 とムキになる。

 「お前なぁ…」

 と言って呆れたが、武田は本気のようだった。俺は深いため息をつき、遂に折れた。

 

 「わかった。お前にはどうしても床に寝て欲しくはない。だから、こうしよう。2人でお前のベッドに寝るってのはどうだ?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ