表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒いネコの友達  作者: 遠宮 にけ ❤️ nilce
一章 どうしたら人と親密になることができるの?
6/17

6 面倒見が良くて頼りになるお兄ちゃん <紹介:大葉祐樹>

挿絵(By みてみん)


<6話 あらすじ>

 捻挫のため、整形外科の先生から二週間の安静を言い渡された南朋。

 家に着いてスマホを見ると、不可抗力とはいえ結果的に直接南朋を下敷きにすることになった百瀬から、何件もの謝罪LINEが届いていた。

挿絵(By みてみん)

 病院から戻ると、百瀬からラインの通知が何件も入っていた。ケガの具合を伺うものと、ホームルームのこと。部活でなにをやったか、部員が心配していることなどこと細かに書いてある。けれど深町に関する記述はどこにもなかった。


 深町は荷物を持ってすぐに保健室へ戻ってきた。きっと事故を見た時と同じように、慌てて出てきたに違いない。話す隙を与えずに。でなければあの百瀬が話題にしないはずがない。合間に挟まる「ごめん」「ごめん、ほんとにごめん」「俺にできることがあったらなんでも言って?」にどう返していいかわからない。うだうだ考えててもしょうがないので、手首が痛むのを言い訳にし、短い返信を打つ。


——心配するな。ただの捻挫。部活は二週間休む。ちょっと打ちにくいから詳しくは明日、学校で——


 送信してから、朝、いつものようにマンション前で俺を待つんじゃないかと思い至り


——あと自転車を学校に置いてきたから、明日は電車で行く——


と追記する。百瀬からの返信も、わかった、お大事にねと短かった。内容の割にやたら間の空いた返信に察するものがあったのだろう。


 それにしても全治二週間か。許可が出るまで運動は禁止。もちろん部活動も禁止だ。

 整形外科でテーピングの仕方を教わって帰ってきたのだが、手なので自分では上手く巻けない。頼みの母も、医師にもらった図解と施術を見比べながら自信なさげに「できるかしら……」とつぶやいていた。

 不器用を自認している母は、祐樹に持ち帰った図解を見せながら翌日以降のテーピングを頼んだ。


「は? この間抜けのために、なんで俺が」


 一言一句、想像した通りの返事が来た。それに対する母の答えもまた予想通り。


「だって。うちに、あんた以上になんでもできる器用な人がいると思う?」


 さすが、アイツの扱いをよくわかっている。まんざらでもない顔でフンと鼻を鳴らす祐樹の学習机に、整形外科でもらってきた大量のテープとやつの好物のラムネを置いて、さっさと子ども部屋を後にする。


「んじゃ、よ・ろ・し・く・ね。お兄ちゃん。巻き方は南朋がわかってるから」

「おいコラ、何がよろしくね、だ。……ったく」


 実際、力加減の怪しい母より器用な兄に巻いてもらう方がずっといい。俺からもお願いしておく。


「よろしくね? お兄ちゃん」

「だー! うっぜぇ」


 これで、文句を言いながらも二週間きっちりやってくれることは確実だ。偉そうで乱暴。かつマイルールで動く自由人のくせに、面倒見だけはいい。頼られるとほっとけない性格なのだ。


「入るなら風呂じゃなくてシャワーにしとけよ。身体あっためると厄介だからな」


 必要以上におせっかいでもある。


「今日は風呂やめとくわ。湿布貼ったばっかりだし、濡れたら脱ぎ着がめんどう」

「助けてやらんでもないが?」

「……大丈夫」

「あそ」


 断ればそれ以上干渉しないのが祐樹のいいところだ。相手が両親だとそうはいかない。親がいいと思ったようにしないと、頑固だとか、素直じゃないとか、何も見えてないとかそういうことになってしまう。自分では正しい判断ができないと言われているようでガッカリするんだけど、どう言っても喧嘩になるから、結局対立しないように言葉を飲み込んでしまいがちだ。


 たぶん風呂に入らないと、汗臭いだの、汚いだの、小言を言われるだろうけど、のらりくらりかわして部屋着のまま寝てしまおう。明日になったら少しは痛みが引いているだろうし。早く起きて朝シャワーを浴びてもいいんだし。

 それにしても今日は、色々あってすごく疲れた。着替えたところで力尽き、ちょっとだけと横になったら意識が途切れてしまった。


 気づいた時には部屋の電気は消えていて、祐樹が二段ベッドの梯子を上がっているところだった。手元がヒヤリとするのに気づいて見ると、左手首の下にタオルで巻かれた新しい保冷剤が置いてある。床に目をやると脱ぎ捨ててあったはずの制服も消えてる。普段あれほどだらしないくせに、なんでこんなときだけ完璧なんだコイツは。軋むベッドを見上げたところで再び瞼が重くなった。

引き続きお読みいただき、ありがとうございます。

自己紹介を兼ねてキャラバトンに答えてみました。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)大葉(おおば)祐樹(ゆうき)キャラバトン(本人が話している風に)

=====================

1、自己紹介

南綾高校1年2組、大葉祐樹。

部活? 美術部。

は? 似合わない? ほっとけボケ。


2、好きなタイプ

うざくないやつ。


3、自分の好きなところ

しるか。

……あ? ちゃんと答えもらえないと大変な目にあう?

ったくしゃーねーな。

好きなところ……こういう心優しいところだな、って何笑ってんだお前! 食うぞ。


4、直したいところ

かんっぺきだからな。

特にない。

しょうがないだろ? 完璧なんだから。


5、何フェチ?

ネコの尻尾。

ネコはいいぞ。ネコは。


6、マイブーム

めんどくせーなー。抽象画の向きを当てるとかか? 

もう上下すら謎じゃね? 

反対向きになってても分かる自信ねーわ。


7、好きな事

お絵描きでっす❤️ 

うそつけ? 描いてるの見たことない?

んなわけねーだろ、美術部なんだぜ?


8、嫌いな事

くだらない質問に答えること。

おわった〜〜〜〜〜。

ちょっとお前なんかおごれよ。

付き合ってやったろ?

=====================

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ