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2014年/短編まとめ

夏色だった君

作者: 文崎 美生

彼には夏がよく似合っていた。


明るくてあったかい世界。


彼に良く似合う季節だった。


少し焼けた肌に輝く太陽のような笑顔。


曇り空を見上げる。


季節は巡って冬になったんだ。


ハラハラと舞い降りてくる雪。


「どうりで寒いわけだ」


もふっとマフラーに顔をうずめた。


コートでも来てくればよかったな。


どんどん雪が降ってくる。


手のひらに落ちる雪は体温で溶けてゆく。


暑かった夏も過ぎていった。


そして…そして……太陽のように優しくて暖かかった君も、あの夏と一緒に……。


ずるりとその場に崩れ落ちる。


地面に膝をつき項垂れる。


見たくない現実。


目を背けたい真実。


あの夏からずっと私が逃げてきたもの。


君はいないんだよ。


冬が終わってまた夏が来ても、夏がよく似合っていた君はいないんだ。


私の隣にはいないんだ。


目の前には冷たい石。


その中で君は眠る。


「あぁ……本当に寒いっ……」


あの夏を返して下さい。

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