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鑑賞会→散歩→落とし物

自室のベッドに寝転がり、これから通う学園の事を考えています。

勇乃です。


「果たして上手くやっていけるだろうか・・・微妙だ~」


通うのはあの有名お嬢様学園。

その中に男一人・・・いや、もしかしたら教員にだって同性がいるかもしれない。


「まぁ、何とかなる・・・かな?」


深く考えるのはやめておこう。

ちなみに色々と手続きがあり、学園に通うのは4日後。

今日は月曜、週の始まり。

妹ちゃん達はみんな学園へと登校した。


「朝・・・大変だったな~・・」


今朝方これまた色々あったが、それはまた機会があった時にでも話そう。


「文香さんと美宇宙さんも朝早くから出かけちゃったし・・・」


もちろんイチャイチャで・・・。


「俺はどうしよう・・」


引っ越しの荷物も届いて片付けも終わったし、自分が目を通す学園の書類は確認したし・・・う~ん・・。


「・・・ちょっとそこら辺散歩してようかな」


思い立ったが吉日、服を着替え玄関を潜り門を抜ける。


「さてと、行きますか」


ゆっくりとした歩幅で歩いてゆく。

少し歩いていくと登校中の学園の生徒たちがちらほらと目に映る。


「まぁまだ時間あるしな~」


それを横目に歩き始めようとした時、道端に何かが落ちているのに気づく。


「何だろう?」


近づいてそれを拾い上げる。


「・・・学生手帳?」


舞好学園の学生手帳。

誰かの落とし物らしい。


「え~っと、届けるべきか?」


(いや待てよ、あんなお嬢様学園に入学もしていない俺が行ったら警備員とか来ないかな・・・。)


「・・・・・交番に届けよう」


そう決心した時・・・


「も~、早くしないと遅刻しちゃうよお姉ちゃん?」

「ご、ごめん、すぐ見つけるから。先に行っててもいいよ」

「な~に言ってんの、炎姉だけ遅刻にはできないよ。ホラ、一緒に探そ」


向こうで舞好学園の制服を着た女の子が三人。

何やら探し物でもしているらしい。

(・・・ん?探し物?)


「あっ、もしかして・・・」


その子たちに近づいてゆく。

此方に気づいていないようなので声をかける。


「あの・・・」

「えっ?」


お姉ちゃんと呼ばれていた子が最初に反応する。

綺麗なロングヘア―な黒髪で眼鏡をかけた、如何にも優等生っぽい女の子。


「わぁ~!これってナンパ?私初めてされちゃった!!」


最初にお姉ちゃんと呼んでいた女の子がそんな事を口にする。

薄っすらと茶色な髪を右サイドポニーにした、イマドキな感じの女の子。


「いやいやっ!違うよ!」


 まだ登校してる生徒もいるのに何てことを言うんだいこの子は。


「わかった!じゃあ誘拐か!?」


反対側にいたもう一人の子がヤバいことを言う。

茶髪の肩ほどまでの髪に、活発そうな感じの女の子。


「なわけないでしょ!?君ら俺をどうしたいの!?」


周りの目が痛い・・・。


「あの、何か御用ですか?」

「あぁ、そうだった。あの、これ・・・」


そう言って、先程拾った生徒手帳を見せる。


「あぁっ!私の手帳!」

「良かった。やっぱり君のだったんだ。向こうに落ちてたよ」

「ありがとうございます!」


手帳を女の子に渡す。

安心したようで、胸を撫でおろす女の子。


「良かったねお姉ちゃん。ありがとうナンパ師さん!」

「誰がだよ!?」

「そうだよ違うよ。ありがとう誘拐犯さん!」

「それも違うよ!?しかも悪化してるし!!」


ケラケラ笑う二人。悪魔かこの子達は・・・。


「あ、あの本当にありがとうございます!」

「い、いや別に・・」


何てギャップが違うんだこの子達は・・。


「それが無いと私達の学園入れないんだよね~?」

「そうなんだ」

「・・・あげないよ?」

「いや、侵入しないよっ!?」


本当に俺をどう見てるんだ・・・。


「あっ、そろそろ行かないとマズイよお姉ちゃん!」

「ほ、本当だ!行かなきゃ!」

「それじゃ、俺はこれで・・」


踵を返し元来た道を戻ろうとすると、


「あの!」


眼鏡の子が俺を呼び止める。


「ん?」

「何かお礼を・・・」

「いいよ別に。それよりマズいんじゃなかったの?」

「そうだよお姉ちゃん、早く」

「う、うん」


三人ともお辞儀をして速足で学園の方へと歩いてゆく。


「・・・いい事した、のかな?」


その後、少しだけ散歩の続きをして帰路に着いた。


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