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【連載版】推しの氷結公爵に事務能力で雇われたので、今日も平静を装って尊死しています  作者: 江合 花果


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状況の整理と現状分析(ノエル視点)

【ノエル視点】


 ヴァルトハイン公爵邸に来て、一ヶ月が経った。


 そろばんの珠をはじきながら、ノエルはふと手を止めた。

 窓の外、中庭をライアスが歩いていた。

 いつもの無表情で、いつもの完璧な姿勢で、いつもの均一な歩幅で。


(……ゲームと、少し違う)


 そう思ったのは、これが初めてではなかった。

 公爵邸に来て最初の一週間は、目に映るもの全てがゲームのスチルと一致しすぎて、脳内花火大会が連日開催されていた。

 しかし一ヶ月も経つと、少しずつ、細かな違いが見えてくる。


 ゲームの中のライアスは、もっと戦場にいた。

 そもそも「ヴェールド・クラウン~働く乙女と王国の騎士~」、通称ヴェルクラにおいて、ライアス・ヴァルトハインというキャラクターは、王宮騎士団の精鋭として描かれていた。

 領地経営は家令に任せ、自らは戦地に赴き、魔獣討伐や国境の守護に明け暮れる。

 それが彼の日常だった。


 しかし現実のライアスは、毎日執務室で書類と格闘している。


(私が来たから、だ)


 ノエルは密かに、しかし深く、その事実を噛みしめた。


 ヴェルクラというゲームを語るとき、まず説明しなければならないのは、そのジャンルの特異性だ。

 一般的な乙女ゲームといえば、学園が舞台で、制服を着た美少年たちが主人公を取り巻く。

 あるいは異世界の王宮で、王子様や騎士たちと恋に落ちる。

 ヴェルクラは違った。


 ヒロインは宮廷魔術師として王宮に勤める社会人。

 攻略対象たちも全員、バリバリ働く社会人。

 ゲームのキャッチコピーは「恋も仕事も、全力で」だった。


 聞こえはいい。

 しかし実態は、という話だ。


(ハラスメント描写が、えげつなかった)


 ノエルは帳簿を繰りながら、遠い目をした。


 ヴェルクラがプレイヤーの間で「仕事リアルすぎてトラウマ」「鬱ゲー」と呼ばれる所以は、まさにそこにあった。

 ゲームの舞台であるヴァンディール王国の宮廷は、華やかな外見の裏に、どろどろとした権力争いとハラスメントが渦巻いていた。

 主人公は地方出身の平民魔術師という立場上、貴族出身の同僚から露骨な嫌がらせを受ける。

 上司からは理不尽な叱責を食らう。

 手柄を横取りされる。

 噂を流される。

 どのルートを辿っても、序盤から中盤にかけては、これでもかというほど理不尽が降り注ぐ設計になっていた。


(前世で社会人経験があったから、あの描写の解像度の高さに震えたんだよな……)


 制作陣の誰かが、相当な修羅場を経験していると思った。

 プレイヤーの感想欄には「仕事疲れを癒やそうとしたら、ゲームでも上司にパワハラされて泣いた」「癒やしを求めて起動したら残業させられた」という声が溢れていた。


 しかしだ。


(だからこそ、ヒーローたちが輝くんだ)


 理不尽な現実があるからこそ、ヒーローが手を差し伸べる場面が映える。

 ボロボロになった主人公を、それぞれの形で支えるヒーローたちの姿が、泥の中の花のように美しく見える。


 そしてもう一つ、ヴェルクラがノエルの心を掴んで離さなかった理由がある。


(このゲーム、ハーレムルートがないんだよな)


 乙女ゲームの世界では、全員に好かれて全員と仲良くなって、というハーレムエンドが用意されているタイトルも少なくない。

 しかしヴェルクラは違った。

 攻略対象は九人いるが、必ず一人を選ぶ。他の誰かと並行することは、ゲームの設計上、できない仕組みになっていた。


 ゲーム内でも、ヒーローたちはヒロインを取り合うことはない。

 誰かのルートに入れば、他のヒーローたちはきちんと引いた。

 それぞれが「この人はあいつのものだ」と暗黙のうちに理解して、それでも主人公の幸せを願う。


(その設計が、好きだった)


 一人を選ぶということは、一人の人間として主人公を見ているということだ。

 都合よく全員に愛されるのではなく、誰かに選ばれ、誰かを選ぶ。

 ノエルはその硬派な設計を、心から支持していた。


 無課金で攻略できるヒーローは五人。


 一人目が、ライアス・ヴァルトハイン。

 ヴァルトハイン公爵にして、王太子近衛騎士団の精鋭。

 ゲーム内でのメインテーマはハラスメント。

 主人公に対して理不尽な圧力をかけてくる上位貴族たちと、ライアスが剣と権威で正面からねじ伏せていくルートだ。


(あのシーンが本当に好きだった)


 ライアスルートの第四章。

 主人公が同僚の貴族令嬢集団に、魔術の失敗を濡れ衣として着せられ、降格処分の危機に瀕する場面。

 その場に現れたライアスが、無表情のまま、静かに、しかし誰もが身を竦めるような低い声で言う。


「その者に罪があるというなら、証明してみせろ。できないなら、今すぐ撤回しろ。さもなくば、私が直々に調査する。どちらがいい」


 その一言で、場が凍りついた。

 誰も声を上げられなかった。

 静寂の中で、ライアスだけが主人公を見ていた。

 険しい顔で、しかしその目の奥に、確かな怒りと、守ろうとする意志を宿して。


(あれで落ちた。完全に落ちた)


 ノエルは当時のことを思い出して、そろばんの珠を強めに弾いた。


 ライアスルートのエンディング曲は「ふたりのなかのハーモニー」。

 魔王討伐を終えた後、二人が静かな夜に並んで立つシーンで流れるその曲を、ノエルは前世で何度再生したかわからない。


 なお、ライアスルートを語る上で絶対に外せない存在がもう一人いる。

 悪役令嬢だ。


 ヴェルクラのほぼ全ルートに、ヒロインに対して執拗な嫌がらせを行う悪役令嬢が登場する。

 ルートによって名前や立場は異なるが、役割は共通していた。

 とにかく、ハラスメントが強い。


(強すぎた)


 ノエルは遠い目をした。


 ライアスルートの悪役令嬢は特にひどかった。

 公爵家と縁のある侯爵令嬢で、ライアスへの婚約工作を目論みながら、主人公に対してありとあらゆる手を使って追い落としにかかる。

 噂の流布、仕事の妨害、証拠を捏造した冤罪工作、派閥を使った孤立化。

 その手口があまりにも巧妙でリアルで、プレイヤーの間では「現実の職場でこいつに会ったことがある」「こいつのせいで仕事辞めたことある気がする」「ゲームなのに腹が立って眠れなかった」という阿鼻叫喚の感想が溢れかえっていた。

 ヴェルクラ屈指のヘイトキャラとして、発売から数年経っても定期的に話題に上る存在だ。


(制作陣、本当によくこれを通したな……)


 一方で、だからこそライアスが悪役令嬢を正面から叩き潰す場面の爽快感が段違いで、「あの悪役令嬢がいるからライアスルートが輝く」という評価もある。

 ノエルもその意見には全面的に賛成だった。

 あの悪役令嬢への怒りと、ライアスへの感謝が混ざり合って、エンディングの「ふたりのなかのハーモニー」を聴くときの涙の量が倍増するのだ。


(……ところで)


 ノエルはそろばんの珠を止めた。


 ゲームのライアスルートでは、悪役令嬢はヒロインの職場である宮廷魔術師局に出入りする侯爵令嬢だった。

 しかし今の世界線では、ヒロインはまだ王都にいない。


(悪役令嬢ポジションのキャラクターは、現実にも存在するのだろうか)


 ゲームの登場人物は、ゲームが始まるより前から、この世界に生きている。

 ということは。


(いる、可能性が高い)


 ノエルは小さく眉を寄せた。

 今のところ、公爵邸の中では特に問題は起きていない。

 しかし社交界に出れば話は別だ。

 ライアスを巡って動こうとする貴族令嬢が、いつ現れてもおかしくない。


(私は婚約者でも何でもないので、直接の標的にはならないとは思うが……)


 一応、頭の片隅に置いておく必要がある。


 ノエルは「悪役令嬢問題・要注意」と紙の隅に書き添えた。


     ◇


 残りの四人は、宮廷魔術師局長、国境警備隊の隊長、そして王都で商会を構える貿易商の兄弟だ。

 それぞれ個性豊かなルートがあり、異なる形のハラスメントと向き合う展開が待っていた。


(貿易商兄弟ルートは取引先の商人からのモラハラが本当にキツかった……)


 ゲームを起動するたびに「今日も頑張ろう」という気持ちと「また仕事の嫌なことを思い出しそう」という気持ちが拮抗していた。

 それでもやめられなかったのは、ヒーローたちへの愛が、全てのトラウマを上回っていたからだ。


 そして課金キャラ。

 課金することで解放される攻略対象は四人。

 その筆頭が、アルフレッド・ルーシェ・ヴァンディール王太子殿下だ。


 到達条件は、無課金五人を全てクリアした後、周回プレイで特定の選択肢を積み重ねること。

 ゲーム内では表向き「友人」として描かれるアルフレッドが、実は複数の国家間の緊張関係と宮廷の陰謀の中心にいるという、重厚な政治サスペンスルートだ。


(十七周した甲斐があった)


 ノエルは遠い目のまま、そろばんをはじき続けた。


 アルフレッドルートの終盤、全てを一人で抱え込もうとするアルフレッドに、主人公が言う場面がある。


「一人でできないことは、二人でやればいい。それだけのことです」


 そのセリフに対するアルフレッドの反応が、十七周しても毎回、胸を締め付けた。

 長い沈黙の後、初めて見せる、砕けた笑顔。

 普段の計算された無害感とは全く違う、ただの青年のような、その笑顔が。


(前世の給与三ヶ月分は伊達じゃない)


 ノエルは深く頷いた。


     ◇


 さて。


 そろばんをはじく手を止めて、ノエルは改めて今の状況を整理することにした。

 これは定期的にやらないといけない作業だ。

 ヲタ活は計画的に。観察日誌をつけるだけが推し活ではない。

 現状分析と今後のリスク洗い出しも、立派な推し活の一環だ。


(ゲーム本編の開始は、今からおよそ一年後)


 ヴェルクラの物語が動き出すのは、両親を亡くしたライアスが領地経営に行き詰まり、全てを家令に委ねて戦場へ向かった後の話だ。

 宮廷魔術師として王都に出てきたヒロインと、戦場で出会うところから本編が始まる。

 しかし今の世界では、私がすでに公爵邸にいる。

 ライアスは戦場ではなく執務室にいる。

 ヒロインはまだ王都に来ていない。


(一年後、ゲームが始まる頃には、今とは全く違う状況になっている可能性がある)


 ノエルは羽ペンを手に取り、思考を整理するために紙に書き始めた。

 前世の癖だ。頭の中だけで考えると、ぐるぐると同じところを回ってしまう。

 書き出した方が、整理できる。


 まず、ライアスが戦場に行かないことで何が変わるか。

 ゲームの世界線では、ライアスは領地経営の行き詰まりに対して負い目を感じていた。

 その負い目が、戦場での彼を変えた。

 贖罪のように激戦地を望み、誰よりも前線に立ち、気づけば「戦場の血鬼」と呼ばれるようになっていた。


 しかし今のライアスには、その負い目がない。


(領地は私が管理している。財政の無駄は洗い出した。業務フローも整えつつある)


 収賄や横領が蔓延る隙も、今の状態では生まれにくい。

 帳簿の精度が上がり、承認経路が整理され、不正が入り込む余地が減っている。

 資金面も、ゲームの世界線とは異なる形で安定しつつある。


 ゲームではライアスが戦場で得る褒賞を領地に回すことで公爵家の体裁を保っていた。

 しかし今は、財政健全化によって無駄を削減し、新しい施策の提案で税収が上向く目処も立ちつつある。


(戦果による褒賞はなくても、今のところ財政面の不安は少ない)


 では、ライアスが戦場に行かないことのデメリットは何か。


(王太子の地位が、揺らぐかもしれない)


 ゲームでは、ライアスが戦場で目覚ましい戦果を上げることで、王太子近衛騎士団の武力的な評判が高まっていた。

 それがアルフレッドの政治的な地位を盤石にする一因になっていた。

 現状、ライアスの戦果は山賊や魔獣の討伐どまりだ。

 王宮はライアスの戦闘能力を把握しているが、実績としては物足りない。


(アルフレッド殿下の地位に影響が出るかもしれない)


 ノエルは眉を寄せた。

 アルフレッドのことは好きだ。

 十七周かけて攻略したキャラクターを嫌いになれるはずがない。

 そのアルフレッドの立場が、自分の存在によって不安定になる可能性があるとしたら、それは看過できない問題だ。


(ただ、近々隣国と衝突して戦争状態になるのはゲームの年表でも確定事項だ)


 開戦すれば、ライアスは出陣する。

 ゲームの世界線との違いは、領地を放置した状態で出陣するか、安定させた上で出陣するかだ。

 後者の方が、明らかにいい。


(それはいい。問題は別にある)


 ノエルは紙に「血鬼にならない?」と書いた。


 ゲームの中で、ライアスが「戦場の血鬼」と呼ばれるようになったのは、単なる強さの話ではなかった。

 領地への負い目、自分への罰、そういった感情が彼の戦い方を変えていた。

 そしてヒロインと出会ったとき、その異名を持つ男が、初めて誰かに心を開いていく過程が、ライアスルートの核心だった。


(今のライアス様には、その負い目がない。だから同じ戦い方をするかどうか、わからない)


 戦場の血鬼という異名が生まれなければ、ヒロインとの出会い方も変わる。

 ゲームの攻略フラグが、根本から変わってしまうかもしれない。


(……まあ、ヒロインのことは別の話として)


 ノエルは一旦そこで考えを止めた。

 一年後に来るはずのヒロインについては、今考えても仕方がない。

 来てから対処する。それだけだ。


 次の問題。


(魔王討伐が、どうなるか)


 これが最も根本的な不安だった。

 ヴェルクラではどのルートを選んでも、クライマックスは魔王討伐だ。

 各ヒーローとヒロインが力を合わせて、最終的に魔王を倒す。


 しかし今の世界では、ヒロインがまだいない。

 宮廷魔術師であるヒロインの魔術が、魔王討伐に不可欠な役割を果たすルートも複数あった。


(ヒロインが来なかったら、あるいは来ても間に合わなかったら、魔王は誰が倒すんだ)


 ノエルは紙に「魔王問題」と書いて、大きく丸で囲んだ。

 ただ、一つだけ救いがある。


(ヒロインが必ずしもライアスルートに入る必要は、ない)


 ヴェルクラには九人の攻略対象がいて、ヒロインはその誰かと結ばれる。

 ライアスルートに入らなくても、別のヒーローと結ばれれば、魔王討伐のルートには進む。

 ゲームの設計上、どのルートを選んでも最終的に魔王討伐は発生するはずだ。


(はず、だが……)


 「はず」という言葉が引っかかった。

 ゲームの知識が通用する間は「はず」で済む。

 しかし私が介入し続けることで、ゲームの年表からどんどんズレていく。

 一年後、ヒロインが王都に来たとき、ゲーム通りに物語が動くかどうか、もはや保証はない。


(ヒロインさえ来れば、魔王討伐は何とかなる……たぶん)


 ノエルは「たぶん」と紙に書いて、その横に小さくはてなマークをつけた。


 私は短剣術の腕前はある。

 運動神経も、この世界のキャラクター補正か、前世よりずっと高い。

 しかし魔術は使えない。


(魔王に短剣で挑む気はないが、いざとなれば戦力として動ける準備はしておくべきかもしれない)


 これは、引き続き考え続けなければならない問題だった。


 さらにもう一つ。


(無課金キャラの中で、私が接触しているのは今のところライアス様だけだ)


 ゲームの無課金攻略対象は五人。

 宮廷魔術師局長、国境警備隊の隊長、貿易商の兄弟二人、そしてライアスだ。

 現時点でノエルが実際に会っているのは、ライアスとアルフレッドだけだ。


(課金キャラのアルフレッド殿下と先に会ってしまったのは、完全に想定外だったが)


 ゲーム内では、各ルートに入ると他のヒーローたちは自然と距離を置く設計になっていた。

 ハーレムルートが存在しない硬派なゲームだっただけに、その設計は徹底されていた。


(その設計は、私も支持している)


 一人を選ぶということは、一人の人間として主人公を見ているということだ。

 都合よく全員に愛されるのではなく、誰かに選ばれ、誰かを選ぶ。

 しかし現実には、ルートなど存在しない。

 今後、仕事の関係上、他の攻略対象と接触する可能性はある。


(そのとき、私はどういう立場で彼らと関わることになるんだろう)


 ノエルは少し考えてから、その問いを保留にした。

 まだ会っていない相手のことを今から心配しても仕方がない。


 問題を整理すると、こうなる。


 一つ。ライアスが戦場の血鬼にならない可能性があり、それによってゲームの攻略フラグが変わるかもしれない。

 二つ。王太子の政治的地位が、ライアスの戦果不足で揺らぐ可能性がある。

 三つ。一年後に来るはずのヒロインが、どんな形で現れるか読めない。

 四つ。魔王討伐の布陣が、ゲームとは別物になる可能性がある。

 五つ。ゲームの知識は、私がいることで少しずつ役立たずになっていく。

 六つ。悪役令嬢ポジションのキャラクターが、いつ動き出すかわからない。


(……不安要素が多い)


 ノエルは紙を見つめた。

 しかし一つだけ、はっきりしていることがある。


(私がいることで、ライアス様の状況はゲームより良い方向に向かっている)


 領地は安定しつつある。財政も改善中だ。

 グラントをはじめ、使用人たちの働く環境も整いつつある。

 ライアスは戦場の負い目を背負わずに済んでいる。

 それは確かなことだ。


(だから、まあ)


 ノエルは紙を丁寧に折り畳んだ。


(今できることをやるだけだ。仕事を全力でやる。推しを全力で観察する。不確定要素は、そのときに考える)


 それでいい。

 転生者として、できることには限界がある。

 でも、目の前のことを丁寧にやることなら、私にもできる。


 そろばんに手を戻しながら、ノエルはふと思った。


(ゲームと現実が違うことは、必ずしも悪いことではない)


 ゲームの中のライアスは、孤独だった。

 今のライアスは、まだ孤独かもしれないが、少なくとも屋敷の中には信頼できる使用人たちがいる。

 それで十分だ。


 今夜の観察日誌の余白には、こう書くことにした。


「現状分析完了。不安要素多数。悪役令嬢問題・要注意。しかし推しが今日も尊かったので、問題ない」

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