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【連載版】推しの氷結公爵に事務能力で雇われたので、今日も平静を装って尊死しています  作者: 江合 花果


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2/17

人生が最高で大花火大会だぁ〜ぁ〜ぁ〜

【ノエル視点】


 その日、ヴァルトハイン公爵邸に来客があった。


 ノエルが書類の山と格闘していると、廊下がいつもより慌ただしかった。

 使用人たちの動きが機敏になり、あちこちで小声のやり取りが飛び交っている。


 クラウスが小部屋に顔を出した。


「ノエルさん、王太子殿下がいらっしゃいました」


 ノエルの羽ペンが、止まった。


(……王太子)


 そろばんの珠が、止まった。


(王太子アルフレッド殿下が)

(来た)


 一拍。二拍。三拍。


(来たあああああああああああああああああ!!!!!!)


「ノエルさん? 顔色が変わりましたけど大丈夫ですか」

「大丈夫です」


 大丈夫ではなかった。全く大丈夫ではなかった。

 しかし前世込み四十年超の社会人経験が、辛うじて外面を保っていた。


 落ち着け。落ち着くんだ。深呼吸だ。

 スゥ、と息を吸った。


(アルフレッド・ルーシェ・ヴァンディール王太子殿下。年齢二十二歳。金髪碧眼の王道王子様系。表向きは温厚で社交的だが、その実かなりの策士。友人への情が深く、しかし政治的判断は冷徹。ゲーム内最高難易度の隠しルートキャラ。到達条件:他四名の攻略対象を全員クリア後、周回プレイで特定フラグを立て続けること。私の周回数:十七回。私の課金額:前世の給与三ヶ月分)


 前世の給与三ヶ月分。

 それだけの価値があった。それだけの価値が、今まさに、この屋敷の応接室にいる。


(十七周……前世の私よ……あなたの課金と周回が、今日報われる……安らかに眠れ……いや私だけど……)


「閣下から、ノエルさんもご同席いただけるかとのことで」

「かしこまりました」


 ノエルは立ち上がり、服の乱れを正した。


 大丈夫だ。私はできる。十七周クリアした猛者だ。

 今日は事務員として、粛々と、品よく、同席するだけだ。


 応接室の扉を開けた瞬間。

 ノエルの視界に、二人が飛び込んできた。


 金色の髪。澄んだ青の瞳。ソファに腰かけ足を組む、完璧な王子様。

 そのやや斜め後方、壁際に立つ銀髪の公爵。無表情。完璧。


 二人の位置関係が、一瞬でノエルの脳内を駆け抜けた。


(ライアス様が、アルフレッド殿下の斜め後方に立っている)


 攻略本の記述が、脳内で自動再生された。


「アルフレッドルートにおいて、ライアスは常にアルフレッドの斜め後方に位置する。真後ろでも真横でもなく、斜め後方。視野を確保しながら最速で対象を護れる、騎士としての本能が刻み込んだ立ち位置である。本人に自覚はない」


(本人に自覚はない、という記述が……現実で……完全に……再現されて……いる……)


 ノエルの脳内で、何かが静かに、しかし盛大に、火を噴いた。


「ノエル嬢、こちらが王太子殿下だ」


 ライアスの声が聞こえた。遠い。すごく遠い。


「ベルナード伯爵家のノエルと申します。お目にかかれて光栄でございます、殿下」


 外面は動いていた。前世の体が、勝手に動いていた。

 カーテシーをしながら、脳内では十七周分の記憶が怒涛のように溢れ出していた。


(ありがとう前世の体。ありがとう事務員経験。ありがとう社会人としての筋肉記憶。あなたたちがいなければ私は今頃その場に崩れ落ちていた)


「ああ、噂の事務のお嬢さんか」


 アルフレッドが、にこりと笑った。


(笑った。攻略本の「人懐っこい笑みを浮かべながらも油断ならない、計算された無害感」の記述が完全に現実に顕現している。制作陣の解像度が神の域に達している。前世の給与三ヶ月分は伊達じゃない)


「ライアスから話は聞いているよ。公爵家の財政をずいぶん立て直してくれているそうじゃないか」

「いえ、問題点を整理しただけでございます」


(落ち着け。落ち着くんだ。今私はゲームのモブキャラではなく事務員として同席している。ヒロインではない。業務の延長だ。業務。業務……でも殿下が笑いかけてくれている)


「謙遜しなくていい。あのライアスが自分から人を褒めるのは珍しいんだ。相当気に入られてるんじゃないかな」


 ライアスの眉が、わずかに動いた。


(眉が動いた。不服そうな眉の動き。これはゲームでアルフレッドに弄られるときの眉の動きと完全に同じだ)


「殿下、その言い方は語弊がある」

「そうかな」


 アルフレッドがライアスを見た。くすりと笑う。


「ライアス、また殿下って呼んでる。やめてくれって言ってるじゃないか」

「……公式の場ではそう呼ぶべきだろう」

「ここは公式の場じゃなくて君の屋敷だよ。いつも通りにしてくれ」

「……」

「アル、って呼んで」


 ライアスが、わずかに間を置いた。


「……アル」

「よし」アルフレッドが満足そうに頷いた。「それでいい」


 ノエルはその光景を、静かに、しかし全力で脳内に焼き付けた。


(アルフレッド殿下がライアス様に「アル」と呼ばせた。ライアス様が「アル」と呼んだ。ゲームの第三章でライアスがアルフレッドを初めて「アル」と呼ぶシーンは、プレイヤーの間で「尊さで画面が見えなくなった」と語り継がれる名場面だった。それが今、目の前で、さらりと、何でもないように再現された。制作陣よ。あなたたちはこの光景を知っていたのか。十七周前から、知っていたのか)


「ノエル嬢は気にしないよね?」アルフレッドがこちらを向いた。

「かしこまりました。私は何も聞いておりません」

「その答え方、好きだよ」アルフレッドはくすりと笑った。


(好きと言われた。アルフレッド殿下に。私の答え方が好きと。攻略本に「アルフレッドは小気味よい返しをする相手を好む」と書いてあったが、その通りだった。前世の給与三ヶ月分、まだまだ利子がついてくる)


「じゃあノエル嬢、教えてほしいんだけど、ライアスはちゃんと仕事しているかい?」

「閣下は大変優秀でいらっしゃいます」

「ふふ、お世辞が上手いね」

「事実でございます」


 アルフレッドがノエルを見て、少し目を細めた。値踏みでも品定めでもない。純粋な好奇心の目だ。


「君、面白いね。ライアスの屋敷にいる令嬢にしては、ずいぶん変わった空気をしている」


(褒められた。ゲーム内で好感度が上がると発生するアルフレッドの「君は面白いね」セリフが現実で発動した。これは好感度上昇フラグだ。私はモブキャラなのに好感度上昇フラグが立った。バグか。嬉しい意味でのバグか)


「光栄でございます」


「帳簿の改善だけじゃなくて、計算道具まで自作したって聞いたよ。どんなものか見せてもらえる?」


 ノエルはそろばんを持ってきた。アルフレッドが珠を弾きながら質問してくる。

 ノエルは答えながら、同時に脳内で記録を走らせていた。


(指が長い。楽器が得意で指が長いという攻略本の記述と一致している。隠しルートで披露されるピアノのシーンがあった。あのシーンのために私は十七周した。十七回見た。十七回泣いた)


「ライアス、これ王宮の経理にも使えるんじゃないか?」

「……検討する」


(検討すると言った。ライアス様が。殿下の提案に。第三章での二人の連携がここに)


「あと、料理長が急に新しいメニューを出し始めたのも君の発案だって?」

「はい。甘じょっぱい組み合わせがこちらの世界ではまだ浸透していなかったようで」

「美味しかった」アルフレッドが頷いた。「ライアスが料理に伝言を出したって聞いて、どんな子かと思って来てみたんだ」

「恐縮でございます」


(つまり私がこの邂逅を引き寄せた。パンケーキとベーコンが今日の奇跡を作った。甘じょっぱい革命は金銀両雄との邂逅をも引き寄せた。感謝の対象が増えていく一方だ)


「ライアス、この子絶対手放さない方がいいよ」

「……わかっている」


(ライアス様がわかっていると言った。手放さないことをわかっていると。これは……業務上の話だ。業務上の話だが、嬉しいことは確かだ)


 しばらく和やかな会話が続いたころ、アルフレッドがふと首を傾けた。


「ノエル嬢、さっきから時々、すごく遠い目をしているんだけど、大丈夫?」

「申し訳ありません。感慨深いことが多く」

「感慨深い?」

「はい。本日は大変、目に焼き付けたい光景が多くございまして」

「たとえば?」


(聞いてくる。これはゲームでヒロインが本音を引き出される例のシーン。しかし私はヒロインではないので答えるべきではない。答えるべきではないのだが)


「……殿下とライアス様が並んでいる光景が、あまりにも壮観で」


 言ってしまった。


「壮観」アルフレッドが笑みを深めた。「ライアス、君壮観らしいよ」

「……聞こえている」


(壮観では足りない。壮観という言葉では全く足りない。金と銀が並んでいるのだ。静と動が並んでいるのだ。壮観などという言葉はあまりにも貧弱すぎる)


「具体的にどう壮観なの?」アルフレッドが楽しそうに続けた。

「……対照的なお二人が並ばれることで、それぞれの良さが引き立て合っている点が」

「銀と金、静と動、と言いますか」

「へえ」アルフレッドはライアスを見た。「ライアス、君のことを銀って言ってるよ」

「……どうでもいい」


(どうでもいいと言ったライアス様の横顔。この横顔もゲームで完全に一致している。鼻腔がツンとする。鼻血の予感がする。今は困る。今日だけは堪えろ私の鼻)


「お二人が並ばれた構図は……視覚的な充実度が高く……眼福の供給をされているといいますか……」

「きょうきゅう」ライアスが静かに繰り返した。「何の供給だ」

「……眼福の、供給でございます」

「眼福」アルフレッドが嬉しそうに言った。「僕たちは眼福を供給しているらしいよ、ライアス」

「……」


「大変申し上げにくいのですが」ノエルは努めて冷静な声を出した。「お二人が並んでいると、その……解析したくなるといいますか」

「なんの解析?」

「それぞれの魅力の、構造的な分析でございます。例えば殿下は表層の温和さと深層の鋭さの落差が非常に大きく、その落差こそが最大の……その……」


(言いかけた。「最大の萌えポイントです」と言いかけた。前世の給与三ヶ月分と十七周がそう言わせようとした。しかし駄目だ)


「最大の、なんだい?」アルフレッドが身を乗り出した。

「……人を惹きつける要素、でございます」

「なるほど。じゃあライアスは?」

「閣下は……感情の動きが非常に細やかであるにもかかわらず、ご本人がそれを自覚されていない点が……観察者として、非常に……眼福でございます」


 沈黙が流れた。


 アルフレッドがライアスを見た。ライアスは無表情だった。しかしその無表情の中で、何かが微妙に固まっていた。


「……ライアス」

「聞こえている」

「君、今どんな気持ち?」

「……どうでもいい」

「眼福って言われたんだよ? 観察者として、って言葉が若干引っかかるけど」


(引っかかっていただいて結構だ。事実だから。私はライアス様を観察し続けている。毎日欠かさず。ノートに記録し続けている)


「お二人が並ばれたこの構図は……お二人は互いにとって最高の引き立て役といいますか……」

「引き立て役!」アルフレッドが声を上げた。「ライアス、引き立て役らしいよ」

「……どちらがだ」

「両方だって言いたいんだよね、ノエル嬢?」

「……端的に申しますと、そうでございます」


(言い切った。でも本当のことだ。攻略本に「アルフレッドとライアスは互いの個性を最大限に引き出す関係性として設計されている」と書いてあった。それは現実でも同じだった。制作陣は正しかった。制作陣はいつも正しい)


「ねえライアス」アルフレッドが笑いを堪えながら言った。「この子、すごいね」

「……そうだな」

「褒めてる?」

「……さあ」


(ライアス様の「さあ」。困惑の「さあ」。今私はライアス様を困惑させた。今夜の観察日誌に追加案件が発生した)


「ノエル嬢、最後にもう一つだけ聞いていい?」


 アルフレッドが、帰り際に振り返った。


「なんでしょうか」

「今日、僕のことをどう思った? 正直に」


(これはゲームのアルフレッドルートで好感度が一定以上になると発生する「本音を聞かせて」イベントだ。ヒロインがここで本音を話すと隠しルート解放フラグが完全に立つ。私はヒロインではないが)


「……殿下は」ノエルはゆっくりと言葉を選んだ。「非常に攻略……もとい、理解が難しい方だと存じます」

「攻略?」アルフレッドが反応した。「今、攻略って言いかけた?」

「……理解が、と申し上げました」

「最初の二文字は攻略だったよね?」


(聞き逃さなかった。さすが十七周かけてやっと攻略できる難易度の男。攻略本に「アルフレッドは相手の言葉の端に敏感で、真意を掴もうとする」と書いてあったがその通りだった)


「……言葉の綾でございます」

「ふうん」アルフレッドはにっこりと笑った。「じゃあもう一つ。さっきから時々すごく嬉しそうな顔をしているのは、なぜ?」


(なぜと聞くか。それは前世の給与三ヶ月分と十七周の果てに辿り着いたキャラクターが今目の前にいて、さらに最推しのライアス様と並んでいるからだ。話してはいけない。話してはいけないが、この笑顔は止まらなかった)


「……本日は大変、充実した業務でございました」

「業務」

「はい」

「この会話が業務」

「はい」


 アルフレッドはしばらくノエルを見た。それからライアスを見た。それからまたノエルを見た。


「……ライアス、この子」

「わかっている」

「何がわかってるの?」

「……わからないということが、わかっている」


(ライアス様が「わからない」と言った。私のことが「わからない」と。わからないと言わせた。ライアス様に。これは……人生の勝利では……?!)


「また来るよ、ノエル嬢」アルフレッドは最後にもう一度笑った。「君といると飽きなさそうだ」

「光栄でございます」


(飽きない! アルフレッド殿下に飽きないと言われた! モブキャラなのに! 私はモブなのに! 十七周の成果が別方向に実を結んでいる!!!)


 応接室の扉が閉まった瞬間。

 ノエルは廊下に出て、三歩歩いて、止まった。


 じわじわと、今起きたことの全容が、脳内に再生され始めた。


 金と銀が並んでいた。

 二人が同じ空間にいた。

 ライアスが「アル」と呼んだ。

 アルフレッドに名前を呼ばれた。

 ライアスが困惑の「さあ」を発した。

 二人に「わからない」と言わせた。

 アルフレッドに「飽きない」と言われた。


(……)

(………………)

(……大花火大会だ)


 声にならない何かが、喉の奥で爆発した。


 ノエルは廊下の壁に背中をぺたりとつけ、天を仰いだ。

 両手を握りしめて、胸に当てて、そのまましばらく動けなかった。


 仰いだ天井が、じわじわと滲んで見えた。

 感情の処理が、追いつかなかった。


 前世の給与三ヶ月分。十七周。課金。周回。

 その全てが、今日この瞬間のためだったのかもしれない。


 廊下の向こうから、静かな足音が近づいてきた。

 グラントだった。


 書類を抱えた老家令が、壁に張り付いたまま天を仰いでいるノエルを見て、ぴたりと足を止めた。


 二人の間に、沈黙が流れた。

 グラントの目が、ノエルを上から下まで確認した。

 壁に背中をつけている。天を仰いでいる。両手を胸に当てて握りしめている。口の中で何かをぶつぶつと呟いている。目が、微妙に潤んでいる。


「…………ベルナード嬢」

「グラントさん、こんにちは」


 ノエルは壁から背中を離さずに答えた。


「……何かございましたか」

「人生が、最高でした」

「…………」

「前世の給与三ヶ月分の、元が取れました」

「…………ぜんせ、とは」

「……言葉の綾でございます」


 グラントはしばらくノエルを見た。

 それから、これ以上聞くまいと判断したのか、静かに一礼した。


「……お体に、お気をつけください」

「ありがとうございます」


 グラントが執務室へ向かっていく背中を見送りながら、ノエルは思った。

 グラントは本当に良い家令だ。余計なことを聞かない。

 これ以上の美徳が、この世界にあるだろうか。


     ◇


 その夜。

 ノエルは観察日誌を開いた。


 通常の「閣下観察記録」のページではなく、新しい紙を三枚継ぎ足した。

 見出しを書いた。


「緊急特記事項・最重要・永久保存版:本日、金と銀が並んだ」


 そして描いた。

 ライアスの銀髪と、アルフレッドの金髪。

 無表情と笑顔。静と動。


 描きながら、ノエルはじわじわと気づいた。

 ライアスの立ち位置が、アルフレッドのやや斜め後方になっている。

 真後ろでも真横でもなく、斜め後方。

 視野を確保しながら、最速で動ける位置。

 護る者の立ち位置だ。


(……無意識に、護る位置に立っていた)


 攻略本の記述が、脳内で再生された。


「アルフレッドルートにおいて、ライアスは常にアルフレッドの斜め後方に位置する。視野を確保しながら最速で対象を護れる、騎士としての本能が刻み込んだ立ち位置である。本人に自覚はない」


(本人に自覚はない……現実でも、同じだった……制作陣……あなたたちは全てを知っていた……十七周前から……この光景を……知っていた……)


 ノエルは筆を止め、しばらく絵を見つめた。

 鼻の奥が、ツンとした。

 今度は鼻血ではなかった。

 なんというか、じんわりとしたものが目の奥に滲んだ。


(……制作陣、ありがとう)


 前世でゲームをやり込んだ自分に、ありがとう。

 十七周した自分に、ありがとう。

 前世の給与三ヶ月分を課金した自分に、ありがとう。

 全部、この瞬間のためだったのかもしれない。


 余白のメモは、今日も文字数が多かった。

 いや、今日は開設以来最多だった。

 三枚継ぎ足したのに、それでも足りなかった。


「尊い(金銀並列・永久保存・殿堂入り)。本日、生涯で最も充実した業務を経験した。アルフレッド殿下は攻略本の全記述と完全に一致しており、前世の課金と周回の全てが正しかったことが証明された。特記事項:ライアス様が殿下の前で『アル』と呼んだ。ゲーム第三章の名場面が現実で再現された。鼻血が出なかったのは奇跡と言っていい。ライアス様は今日も無意識に殿下の斜め後方に立っておられた。騎士の本能とはかくも美しいものか。脳内花火大会は今日が過去最大規模を記録した。なおグラントさんには前世の給与三ヶ月分の話をしてしまった。察して流してくださったことに心から感謝する」


 観察日誌は今夜、開設以来最多ページを更新した。


 ノエルは日誌を閉じながら、しみじみと思った。

 異世界転生というのは、素晴らしいものだ。

 交通事故で死んだことを、今初めて、心から感謝できた気がした。

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