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3.ミハイルとポリーナ

ポリーナとミハイル編



閉じ込められた2人。

ミハイルはしばらく部屋を冷静に観察して見つめ、おおきなベットに悠々と座りこんだ。

なにもわかっていない妹は伏字に首を傾げている、



「お祈りしないと…出れない?でしょうか?お兄様、どうしましょう」


妹の無垢な感想と表情に「らしいな」と思いながら笑った。

そんなピュアな展開ではこの部屋は開かない。



「…来い。ポリーナ」


顔色を変えず、手招きをするミハイル。


「はい。お兄様」


よってくるポリーナ。

可愛らしくすぐ隣に座った妹は、兄がすでに覚悟を決めて招き寄せたことなど分かっていない。


そのまま、顎を手ですくい美しい妹の顔をしげしげと見つめた。


父王が手塩にかけて美しく育て上げたポリーナは、この国一の美女…いや、この周辺諸国でも類を見ないほどの美女となった。


しかし、外見だけではない。

優しく純粋で、民を第一人者思うその慈愛の強さ…。


ミハイルの冷たい心もポリーナの前では完全に溶ける。


「…ふん。こんな形でお前の初めてをもらえるとはな?」


「初めて…?ですか?」


「まぁ、いずれ俺たちはこうなる運命だったのだ。少し特殊な場所に変わっただけだ」


「…???」



ぽすん

と、音を立てて背中からベットに寝転ぶ事になったポリーナ。


ミハイルは見下ろして、自分の着ていた第一ボタンを指で外した。


待ち望んだポリーナを押し倒すというシチュエーションに、ふだんは冷静なミハイルもさすがに心臓の高鳴りを抑えられなかった。


しかし、ポリーナは完全に自分を信じているのか押し倒されてもキョトンとして顔色一つ変えない。


(…くそ。そんなに俺を信用するな)



「………なんか盛り上がらんな。そんなに普通の顔で見るな」


ベッドに寝転んだままのポリーナは首を傾げた。


「あの……お兄様、どうしましたか?体が熱いのですか?」


「暑くはない……フン。ポリーナ、お前は本当に面白味がないな。仕方ない。自分で脱いでみろ」


ミハイルは腕を組み、挑発するようにニヤリと笑う。


(これで恥じらって拒否したら、もう一度主導権を握れる)


と計算しながら。


「自分で……ですか?」


ポリーナはすぐに、「お兄様がそう言うなら、それがルールなのだ」と納得した顔をした。


そして、「はい、わかりました」**と、何の躊躇もなく、寝転んだままワンピースの裾に手を伸ばした。


「ジッ……」


ミハイルの目の前で、ポリーナは純粋な笑顔のまま、何の演技も羞恥もなく、慣れた手つきでワンピースのジッパーを勢いよく下げ始める。


「な、……待て!ポリーナ!」


ミハイルは焦って、彼女が完全に服を脱ぎきる前に、慌てて彼女の腕を掴んで制止した。


「お兄様?なぜ止めるのですか?自分で脱ぐという、お兄様の合理的で最速な指示に従ったのですが……」


ポリーナは不思議そうに目をパチパチさせる。その無垢で曇りのない瞳に、ミハイルのプライドが粉々に砕け散った。


「くっ……!そんなに普通の顔で、脱ぎ始めるな! 誰が全て脱げと言った!これは、その……ムードというものがだな……!」


「ムード……?」


ポリーナは「?」と首を傾げ、ミハイルを見つめる。


少し開いた胸元から肌が見えた。



「ま…待て!!俺が見てるんだぞ!!」

「え?」

「…っ、嫌ではないのか?」


誘惑に負けてジッと胸元を見てしまうが、ポリーナは首をかしげる。

心臓が高鳴りすぎ、口の中が渇き顔が燃えるように熱い。


もはや、ポリーナの身体から目が離せない。


「お兄様のこと嫌だなんてありませんわ。本当はお優しい方ですもの」




「…っ…!ポリーナ」

「きゃあ!?」


再び押し倒し、ミハイルはらしくない顔で赤面したまま、首筋に口を押し当てた。


ぬるりとした舌の感触と吸い付きに、ポリーナは驚いた。


「や…!?くすぐったいです、お兄様…?」

「…っかわいい。俺のものになれ」


思わず、本音をぶちまけて叫んだ。

昔からずっと可愛いと思ってきたが、素直になれなかった。

体を押さえつけると、華奢なのに柔らかく、大きな目で見つめてくる表情ですら理性を揺さぶる。


可愛い。全部が、欲しいと叫び出したい。


「え…?」

「俺は…!お前がいれば…ーー」


そのまま唇を口で塞ごうとした時だった。


その瞬間に――

部屋の天井から、唐突に金色の光が差し込んだ。


『……ピピー! 純潔な祈りを検知しました。解除します』


無機質な機械音が響き、扉がガシャリと開く。

ポリーナがぱっと顔を輝かせた。


「まぁ! 本当に“お祈り”で出られましたわ、お兄様!」


「…………」


ミハイルは、押し倒した姿勢のまま固まった。

まるで神に“手を止められた男”のように。


そのまま数秒の沈黙ののち、低く吐き出す。

「……この部屋を設計した奴は、今すぐ処刑だ」


ポリーナはにこやかに手を合わせて祈る。

「神様って、やっぱり見てくださっているのですね!」


「……見てなくていい場面もある」


冷静を装いながら立ち上がるミハイルの耳は、

真っ赤に染まっていた。


こうして“閉じ込められた兄妹”は、

神の介入によって救われたのであった。


――ただし、ミハイルの心はまだ檻の中だった。


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