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ヴェーラとイーゴリが閉じ込められた件

番外篇まとめました。まずは、王道。

〇〇〇〇しないと出れない部屋


よくあるテーマの部屋に閉じ込められたイーゴリとヴェーラ


固まるヴェーラ 。

引きつる顔のイーゴリ。


「流行りにのってみた…みてぇな部屋だな」 「伏せ字だけど、すでに不快だわ」


「あれだろ、セから始まる…ーー」

「やめて!!!」

「ふざけんなよっ!!餓死するしかないっ!!」


伏せ字に注目し、長考する天才頭脳を持つイーゴリ。


「…女神よ。なぜ、こんな真っ平らな女ではなくポリーナ姫(巨乳です)と俺をここに閉じ込めてくれなかったんだ…!!」


「一体何をここでポリーナ王女とする気なの!?」


「無理だ…っ、外に出たくても、こんな胸が水平線の女とは…!!」


わなわなと震えたかと思うと…


誰かぁぁぁーー!と騒ぎ、壁を叩く男に、ヴェーラは怒りで体を震わせた。


(餓死…!?そんなに、私が嫌!?)


イーゴリの内心は焦りを悟られたくなくて、必死にボケをかましているに過ぎない。


そのまま30分近く壁を叩いてたすけを乞いたが、すべて無駄な労力に消えた。



(ぐぅぅ…っこんなきっかけで、ヴェーラと〇〇〇〇だなんてふざけんじゃねええええ)


「仕方ねぇ!背に腹は代えられねぇ。来い!!!」


「果たし合いみたいに言わないで欲しいんだけど…?」


あぐらをかいて手を伸ばすイーゴリの雑な誘い。

氷の冷たさで睨むと「うるせええええ!」と叫ばれた。


「大丈夫だ…!目をつぶって極力触らねぇし、舐めねぇ!耳栓もしてやる!」


「生々しいからやめて!!」


「おまえがなんとか俺の上に跨っ…」


ギリギリ発言にヴェーラが赤面し、持っていたカバンで頭を殴る。

なんとかとどめた。


「ちょっと!?ふざけてされる方がよっぽど恥ずかしいんだけど!?」

「発言に気をつけろ!!お前に襲われる俺のほうが恥ずかしいだろぉが!!」

「何でイーゴリが襲われてるのよ!?」

「そんな水平線と〇〇〇〇したなんて、口が裂けてもいえねぇ!」

「言わなきゃいいんじゃないの!?」


売り言葉に買い言葉… 激しい応酬を繰り広げ、2人は息切れになってはぁはぁと四つん這いで倒れそうになった。



「大丈夫だ…!人間は、最低24時間水分を取らなくなると、利尿作用が活発になり最悪それを…!」


「ほ、本気で言ってるの!?」


「そうならねぇためにも、何としてでもここを出る方法を考えろ!!この窓すらねぇ部屋に入るきっかけは何だった!?どこか一部は壁が薄いかもしれねぇ…それと…!」


イーゴリは理屈で何とかヴェーラと〇〇〇〇をしないように、目を血走らせてブツブツとノートに何か数式を書き出した。


もはや、異常行動である。


なにを計算しているかもわからず、そこから大体2時間くらい経った。


ヴェーラはイーゴリが狂ったのではないかと、恐る恐る声を掛ける。



「ね、ねぇ…一回だけなら…仕方ないんじゃない?」



「仕方なくねぇぇぇぇえーーー!!殺すぞ!!」


「だ、だって、さっきは目をつぶって耳栓もするっていってたじゃない!」


「痴女か!?そんなにヤリてぇのか!?」


ノートに数式を書き殴り、突然また壁を殴り出した。 壁は厚いらしく、なんの跡もつかない。凹みもしない。


「核シェルターか!?ここは!?く…クソがぁぁぁあーーー!」

絶叫し、上着を脱ぎ捨てたイーゴリは吠えながらシャツもボタンをパーーン!!と弾けるさせて脱いだ。


「こ、こうなったら…記憶に残らないように、最短でやるしかねぇ!!お前はそのまま四つんばいになーーー」


「初めての人間に何させようとしてんのよ!?」


悲鳴を上げて頬をひっぱたくと「ぶべらぁ!?」と変な声を出して大男が倒れた。


「お前の苦痛を最小限にするために提案したんだろうが!!」




「だ…だったら、電気消して。あと、なるべくロマンチックなこと言って…抱きしめてくれる?」


照れて頬を赤くし、もじもじとしたヴェーラ。


その照れが、イーゴリに伝染し、珍しく彼の顔もそのままグワッと赤面した。



謎の電気?のスイッチが壁にあり、そもそもこの世界はランプとかロウソクが主な灯りでは…?と混乱する。


もはやこの部屋自体おかしいので、仕方ない。



(い、いいのか……?こんなクソみたいな状況で、ヴェーラと〇〇〇〇するしかないなんて展開!?)


イーゴリは言われたとおりに電機を消した。

闇に包まれた。


(合意とはいえ、俺だけが得すぎる……!! いや、ちがう。これは試練だ。理性を試す地獄の試練だ!!)



とりあえず何も無い床に自分の着ていた上着をひいた。


布団も何も無いが、せめて直に寝るよりその上に乗ってくれたほうが汚れないし、ヴェーラの体を傷つけないクッションになる。


無言でその上に座ったヴェーラは、同じように書記官の緑色の詰襟を脱いで飾り気のない白いシャツだけを上に着ている。


几帳面に詰め襟は綺麗に折りたたみ、遠くに置いていた。



激しく脈打つ心臓の音が煩い。


イーゴリは背中にヴェーラを感じながら、振り向けなかった。


ほとんどパニックになった頭で、手が震えている。


かなりギリギリの状態だったが、悟られないように小さくため息をつく。そして、吸う。


新鮮な空氣を脳に入れ、爆発しないように自制した。



「…私、よくわからないんだけど。こういう時って…最初から全部脱ぐの?」


「……!」



イーゴリは喉が焼けるように乾き、言葉が出なかった。


彼女の問いは無邪気で、だからこそ凶器だった。


手を伸ばせば、すべてが壊れる。


「……ヴェーラ」


それだけを絞り出す。

名を呼ぶ声が、震えていた。



肩をつかむと、子供みたいに華奢で頼りない。なのに、柔らかい。


そのまま引き寄せると、ヴェーラが闇の中で小さく震えたのが分かった。


しかし、必要以上は身体を近づけず、単に正面から座ったまま向かい合う姿勢となった。


「…っ悪いな。俺みたいな奴が、お前なんかの初めてで…」


本当は今すぐでもここを逃げ出し、ヴェーラをまっさらなまま救い出してやりたかった。


生涯、ヴェーラとはこんな関係にならないと思っていた。


彼女が独り立ちし、良い男を見つけて幸せになるまで見届けれるのが、自分の使命だと本気で思っていたのだ。


申し訳ない気持ちでいっぱいになる一方で、どうしようもなくよろこぶもう一つの感情がある。


あまりに卑怯だ。


この閉じられた空間を“運命”と呼ぶことで、

自分の欲を正当化している。



「お前は…ケンジみたいな真面目な奴と…」


と、イーゴリの動く口をヴェーラが指の腹で押して止めた。


柔らかな感触に、イーゴリの身体はビクリと反応して止まった。


キスされたかと思ったが、細くて小さな指がそのまま唇の形をなぞる。


「…イーゴリがいい」


闇の中で、声が響く。


「私は…初めては、イーゴリがいいの…」



イーゴリの喉が鳴った。

名前を呼ぼうとしたが、声にならなかった。

呼吸よりも、彼女の言葉の方が熱かった。



「ヴェーラ…俺は」



闇に慣れた目が、彼女の輪郭を掴む。

頬に触れた指先が、震えている。

脳が焼けるように熱い。


――このまま唇を奪えば、すべてが楽になる。

けれど、まだ引き返せる道があるような気がした。




「俺は……お前のことが――」







「団長おおおおおおーーーヴェーラさんーーーー!!!」




悲鳴と共に、壁を破壊して中へ突入してきたケンジが粉塵をまとってあらわれた。



「ここでしたか。良かった」


勢い余って転んだケンジのあとで、大型のハンマーを担いでオレグが冷静に言う。


壁に穴を空け、額には汗がひかっている。



粉塵、瓦礫、息を呑む二人、そして――



「……何してたんです?」



オレグは二人を見て淡々と言った。



イーゴリが半裸でヴェーラを抱く手前、

全員の視線が交錯した。


起き上がったケンジも固まり、破壊された壁が崩壊する音だけが響き渡った。



「え?〇〇〇〇しようと、してました?」


「オレグゥゥゥゥーーーーーー!!!怖かったぁぁぁぁあーーー襲われる寸前だったんだぁぁぁーーー!!」


泣きながらオレグに抱きついたイーゴリは、完全に被害者側の声を上げていた。


ヴェーラは口を開けたまま固まり、ケンジは「どの口が…」と呟いていた。


粉塵の中、オレグが深いため息をつく。



「……団長。服を着てください」


「そうするぅ!!!」


こうして、何の過ちも犯さずに呪われた部屋から出れた二人。


また変わらないこじれた関係に戻っていったのであった。




――終。





くだらないけど

限られた設定の中でやりくりするのは楽しいです。

ありがとうございました!

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