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イーゴリとケンジが閉じ込められた件

ちょっとBlチックですが

本人たちは真剣です…


ここから生きて出たい



「カオス!!!」


叫ぶケンジの声が部屋に響く。

イーゴリはベッドに腰を下ろし、深いため息をついた。


「またこの部屋かよ……くそ。じゃんけんだな」

「なんのじゃんけんですか!?」

「あー?お前か俺かで“受け”か“攻め”か決めるんだよ」

「絶対どちらも嫌ですからね!!!」


ケンジが全力で壁を叩く。



「落ち着けケンジ、こういう時はな――」


イーゴリは神妙な顔で腕を組む。


「……服を脱ぐ」

「なぜ!?!?」

「いや、暑いじゃねぇか」

「暑くないです!!!」


静寂。

ベッドの上には、意味深なクッションが二つ。

壁には「♡」の形をしたランプが点灯する。


ケンジ、真っ赤。

イーゴリ、無言で頭を抱える。


「……もし本当に“それ”をしないと出られないなら、どうします?」

「俺が男を抱くより、扉を叩き壊した方が早い」

「そう言いながら拳に魔力込めないでください!!! 壁ごと消滅しますって!!」





じゃーんけん…


「ぽん!」「ぽん!!」


ふたりともチョキ。


「あーいこで…」


イーゴリ無表情


「しょ!」「しょ!!!」


またチョキ同士。

目の血走ったケンジがそこで手を前に出してきた。


「ちょっと待ってください!!!3回勝ち越しの勝負にしましょう!!!1回で決まるのは…リスクが高すぎます!」


「うっせぇなぁ…ぐだぐだと…。じゃあ、勝ったら好きな方選べよ?」


「どっちも嫌なんですけど…っっ俺、初体験なんですけど…っっ」


「泣くなよ。……俺もだぜ?」


「なんの照れなんですか!?きもっ!!」


男同士の地獄を味わいながら、とりあえず3回勝ち越しジャンケン勝負となった。



【1回戦】


スタート。



じゃーんけん…


「「ぽん!!!」」


イーゴリがグー。

ケンジがパー。


「きたぁぁぁぁぁあーーーー!!まずは一勝おおおお!!!!」

「くそったれがぁぁぁぁぁーーー!!」


二人同時に吠え、ケンジはガッツポーズで決めたがイーゴリは頭をかかえた。


「俺が一勝ですからね!!誤魔化さないように、勝ったらボタンを引きちぎって床に置きましょう」


「ほう…?いいじゃねぇか、それ。勝ったら何故かボタンが3個取れてて犯されてボタン弾けてるみてぇだな」


「めちゃくちゃキモいからその例えやめてください!!」


現実的に受けと攻めの世界が迫ってきている恐怖はあるが、このまま野垂れ死にたくもない。


ギリギリの精神状態で2人は睨み合った。


1-0


(まだまだ序の口だ!!偶然とは言え、団長に一歩リード!!いいスタートだ)


と、腕を組み何やらニヤリとしたイーゴリに、冷や汗をかきながら「二回戦いきますよ!」と叫んだ。




【2回戦】



そこで勝負に出るイーゴリ。 ニヤニヤとして突然こう言った。


「おい、ケンジ。いいことおしえてやるよ?俺はな、次はチョキかパーを出すぜ?」


「…は?」


「グーは出さねぇよ?お前ごとき、チョキかパーで十分だ。な?勝負といこうぜ」


心理戦を持ち込み始めたイーゴリは「ほれほれ」と両手でチョキとパーを繰り返して挑発してくる。


(な…何を言ってるんだ!?だったら俺が出せるやつは、チョキを出せばあいこと勝ちしかないわけで…)



一瞬パニックになり、イーゴリが畳み掛けるように拳を振り上げて掛け声をだした。



「じゃーんけーん――」


(待て待て待て待て、落ち着け俺。チョキかパーなら、やっぱりチョキが安全だ!でも、あいつは俺がそれに気づくことを読んでる…!?)


ケンジの脳内で数式が走り出す。


(イーゴリの性格上、正攻法では来ない。裏をかくタイプだ。ということは……あえてグーを出さないと言っておいて出す可能性――高い!!)


「ぽん!!!」


ケンジ――チョキ。

イーゴリ――グー。


「やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」


ケンジ、両手で頭を抱える。

イーゴリは爆笑しながら親指を立てて、低く言った。


「ケンジ。お前は頭が良すぎるんだよ。人間ってのは、考えすぎると負ける」


「クソッ……これが……戦場の心理戦ってやつですか……!?」


「いや、ただのじゃんけんだ」


ケンジの魂が抜けた。



その後、負けが続き

1−2となったケンジ後が無い。


「おやおやぁ?ケンジくーん?悪かったなぁ。つぎはお詫びにマジな事を言ってやるよ。俺はな、つぎにグーだすぜ?」


「だまされるかぁぁぁぁこの悪魔!!」


「だから、悪かったって言ってんだろ?グーだから、お前パーだせば勝てるぜ?そしたら2-2なんだからその次に大丈夫ってわけだ」



「……っく、信用するわけないでしょう!!さっきもそうやって俺を騙したじゃないですか!!」

「騙してねぇよ?勝負ってのは、そういうもんだ」

「それを“騙す”って言うんですよぉぉぉ!!!」


イーゴリは腕を組んで、にやにやと笑う。


「ケンジ、お前さぁ……俺が何出すか分かんなくて怖い

だろ?」


「怖いですよ!?命が懸かってるようなテンションでじゃんけんしてるんですよ俺!!」


「そりゃお前、〇〇〇〇かかってんだからな」


「かかってませんからぁぁぁぁぁ!!!」


イーゴリ、わざとらしくため息をつく。


「仕方ねぇな。ほら、見てろ。俺の右手は“グー”の形のままだ。絶対に変えねぇ」


「(……見せるほどの自信、逆に怪しい……! でも、もし本当にグーだったら……勝てる!!)」


「じゃーんけーん――ぽん!!!」


ケンジ、パー!!

イーゴリ――グー!!!


一瞬の静寂。


「ほ、ほんとにグーだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


「ほれ見ろ、信じる心を持てば勝てるってことだ」


「その言葉が一番信用ならないんですよおおおお!!!」


イーゴリ、ニヤリと笑って立ち上がる。


「2−2だな。次で、決着だ」


ケンジ、震える指で立ち上がりながら叫ぶ。


「終わらせましょう、この悪夢を!!」




【5回戦】



泣いても笑ってもこの3回目で勝負が決まるかもしれない。 ケンジは目の前に立ちはだかるイーゴリの放つ恐ろしい殺気と対峙しつつ、絶対に負けられない!!と拳に力を込めた。


「たとえ…不本意な初体験だとしても…ーーー選びたいところはある!!」


「叫んでるところ悪いけど、一応最終ゴールの腹は決めてるみてぇだな。…俺はそれすらも腹がすわってねぇのに」


「え!?そうなんですか!?」


てっきり自分よりもノリ気だと思っていたため、呆れるイーゴリにため息をつかれた。


「まぁ、男としての立場を変えずにやりたいよな…」


「俺もです…」


お互い目を合わせられず、青ざめたまま俯いた。




「本気でいくぜ…ケンジ。俺は…パーを出す」


と、悪夢再来とばかりにイーゴリは淡々と言った。


「は…?」


「つまり、お前はグーを出して負けろ。そしたら、抱いてやる。いいな?」


「何当たり前のように言ってるんですか!?バカ!?バカなの!?バカだろ!?バカだよ!!」


「バカじゃねええええええええええーーーー!!俺様の愛人にしてやるって決めたんだ!!グーをだせええええええーーー!


「愛人なんかにする気ねぇくせに、ホラ吹くなぁぁぁぁ!!出すわけねぇだろぉがぁぁぁ!!!」



しこたま叫びあい、イーゴリが低く構えて

「じゃーんけーん…!!!」と腕をふりかぶる。ケンジも大股に開き大地を踏みしめて腕を振り上げた。


「「ぽん!!」」


あいこでパー同士。



畳み掛けて


「「あーいこーで…!!」」



「「しょ!!!」」


またもやパー同士。



「っち!!」

「ちょっと待てぇ!!!俺はグーだすぜ!!」

「ふざけんなぁぁ!!そんな手に…!!」


一瞬会話し、また叫ぶ。


ケンジは裏の裏をかき…


「っっしょ!!!」


チョキのケンジ。そしてイーゴリは…



「グーーー!!来たこらぁぁぁぁぁーーーー!!!」


「っぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!?」


まさかの宣言通りの拳に、チョキで粉々になったケンジがそのままピースで悲鳴を上げて膝から崩れ落ちた。





「○○○○してやる!!脱げぇ!!俺が男だぁぁ!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁあーーー!!部屋から出れなくてもいいですから!!童貞のままでいたいですーーーー!!!」


「やかましい!!俺は外に出たい!!!」


服を脱ぎながら追いかけてきたイーゴリにベットの枕を顔に投げつけ、ひるんだところをレオニードから教えてもらっ柔術の払い腰でイーゴリをぶん投げた。


「んなぁーーーぶへらぁ!?」


耐性がなくそのまま背中からひっくり返った巨体のイーゴリ。


「このまま…絞め技でえええーー!!」

「上等だこらぁぁぁあーー!!」


非力なケンジに絞め技は不利だった。ひっくり返ったまま、イーゴリが叫び首に手をかけて首を絞めてきた。


もはやなにがなんだかわからないまま、床でくんずほぐれてしていると…


『ピーー!○○○○を感知しました!解除します』


機械音が鳴り響き 突然、何もなかった壁から四角いぽっかりとしたドアのような穴が開いた。


二人は「へ…?」と仲良く声を合わせ、絡み合ったまま外を見つめる。


「助かったぁぁぁあーー!機械がバカだから勘違いしたぞ!!」


「そのようですね!!一刻も早くここかでましょう!!」


お互い我先にと駆け出していくと。


二人が絡み合ったまま出口へ転がり出た。




「イーゴリ!!けんじさん!!」



半裸の2人のもとへヴェーラが、巨大ハンマーを持ってノシノシ歩くオレグを引き連れて現れた。


元々歩いていた、深い森の中へ出れたようである、


ケンジは珍しく感情を爆発させて泣いた。



「ヴェーラさん!!助けてください!!団長に襲われかけたんです!!」

「っきゃぁぁぁぁあーーー!?」


ケンジのいきなりヴェーラを抱きすくめた暴挙に、見ていたイーゴリの目も飛び出した。


「お前がおそってんだろうがぁぁ!」

「団長、でも格好はどう見ても加害者ですの?」

「黙れぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


怒鳴るイーゴリの声を背に、ケンジはヴェーラにしがみついたまま涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした。


「本当に怖かったんですよぉぉぉ!!!」


「お前だけが被害者みたいになってんじゃねえええーー!こっちも最善の策をなぁ…ー!!」


ヴェーラはイーゴリの上着を拾って差し出し、苦笑いを浮かべた。


「……二人とも、少しは仲良くしてください」


「……もう二度と、あの部屋には入らねぇ」

「俺もです……!」


二人は必死に部屋から逃げて誓いあった。

しかし、また悲劇の部屋は人を閉じ込める。



次に捕まるのは…




ーーー 誰だ?



おわり









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