18 こうして私は森沢君の彼女になった。
「『ウニ軍艦巻き』の事なんだけど。」
「「はあああ?」」
詩織とハモった。『シュウマイ』と『酢飯』のハーモニー。添えられるのは、『グリンピース』なのか『きゅうり』なのか。
「『ウニ』ってさ、あのトゲトゲのやつね。あれって口に入れると頭の中に、ザッパーンって波飛沫が立つでしょ。………。僕は立つんだけどね、『ウニ』って凄くおいしいよね。その『ウニ』がお寿司になると『軍艦巻き』って形で出てくるんだけど、お寿司の形の『酢飯』を海苔で囲ってその上に『ウニ』がのっかってるやつ。でね、その『ウニ軍艦巻き』ってね、『ウニ』に『きゅうり』がついてるところも多いんだよ。要するに、『きゅうり』付きの場合の『ウニ軍艦巻き』って、原材料が『ウニ』+『カッパ巻き』なんだよ。でね、それから『ウニ』だけを先に食べてしまった場合、残っているのは原材料『カッパ巻き』なんだけどね、それは、『カッパの軍艦巻き』でも『カッパ巻き』でもないと思うんだ。
もしもの話だけど、僕たちが3人で『カッパ巻き』になったとして、そこにとても素敵な『ウニ』が現れた場合、僕たちはどうしたらいいんだろうね。」
「「さぁ。」」
これで解散となった。森沢君とは方向が違うため、途中からは詩織と二人で歩いて帰った。
「ねぇ、恵美。森沢君て、やっぱり頭おかしいんじゃない?」
「なんかね、私もそう思っていたところだよ。」
「でも、私達皆んな頭おかしかったんじゃない?」
「なんかね、私もそう思っていたところだよ。」
ベッドの上で激動の今日一日を振り返ろうと思ったが、頭に浮かんできたのは『ウニ軍艦巻き』だった。その後を追うように『イクラ軍艦巻き』が出てきた。あれ?『ウニ軍艦巻き』と『イクラ軍艦巻き』が、ぐるぐると私の頭の中で回り出した。12皿ぐらいまで数えたところで眠りに落ちた。
翌朝、少し早めに登校した。今日は森沢君君が返事をくれる日だから、少しドキドキしていた。森沢君は既に席に着いて窓の外を見ていた。近づいていく私に気がついた森沢君が、先に挨拶してくれた。
「おはよう、恵美。」
森沢君から挨拶してくれて、名前も呼んでくれた。今までに無い光景、『森沢君カッパ巻き化計画』の初日である。皆んなの視線が私達に集まっているのを感じた。
「おはよう、森沢君。やる気満々だね。」
「うん、今日は大事な日だからね。でもね、絶対に大丈夫だから安心して。」
森沢君はカバンを開け、私にカバンの中を見せてくれた。『けん玉』が2つ入っていた。
「ね。」
いつにも増して爽やかな笑顔で「ね。」と言われても、全く意味がわからなかった。って言うか、『あ、そう』って感じ。考える事を放棄した。無駄だから。
「うぃーす!」
大きな声が響き、教室に入ってくる青木君の姿が見えた。
森沢君は青木君の姿を確認すると、カバンから『けん玉』を2つ取り出し、
「じゃぁ、行ってくるね。」
と、青木君のところへ向かった。
「おはよう、黒木君。ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど、いいかな。」
「よう、森沢どうした? もう高宮にはちょっかいかけないから安心しろって。」
「うん、それは心配してないよ。今日は違うんだ。昨日ね、恵美が僕の彼女になってくれるって言ってくれたんだ。僕もね、恵美に彼女になって欲しいと思ってるんだ。だからね、
黒木君、恵美を賭けて男と男の勝負をしよう。今度は『けん玉』で。」
「…………」
「…………」
「やらねえ。いいよ、お前の彼女で。」
こうして私は森沢君の彼女になった。
<完>
絶滅危惧種の如く稀少で貴重な皆様、最後までお付き合いいただきありがとうございました。無事完結できました。
軽い気持ちで始めた投稿でしたが、自分の考えの甘さを痛感させられました。また、読んでもらえるという事が、こんなにも嬉しいものだとは思いもよりませんでした。
ブクマ頂きました。pt頂きました。いいね頂きました。ありがとうございました。おかげで、なろう生活満喫できました。
次があるかどうかはわかりませんが、またご縁がありましたらよろしくお願いします。
ありがとうございました。
追記
まさか、こんなに多くの皆様に読んで頂けるとは思ってもみませんでした。最後まで読んでいただいた皆様には、大変感謝しております。
ありがとうございました。




