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17 提案

 「はい。ありがとうございます。私は、『森沢君カッパ巻き化計画』を提案します。略して、MKPです。

 それでは、概要を説明します。その前に、面倒くさくなったので普通に話すね。簡単に言うと、私と恵美で森沢君をサポートしていこうって事なんだ。『カッパ巻き』になりたいって言ったって、森沢君急に皆んなに話しかけられるようになる訳じゃないでしょ。それに、クラスの皆んなだって森沢君が急に変わったら、何だアイツってなると思うの。だから、私と恵美が間に入って、少しづつ馴染んでいけるようにサポートするの。それで、3人で『カッパ巻き』になって、でも森沢君結構イケてるから、すぐに『鉄火巻き』になっちゃうかもしれないけど、それまで3人で頑張ろうって事。

 もちろん私は彼女だから、『きゅうり』である森沢君を優しく包む『酢飯』で、恵美は『海苔』になって私達2人を包んでね。

 どうかな?」


 この桃色ポンコツ魔人は何を言っているのだろうか。もちろん『森沢君カッパ巻き化計画』には賛成である。そんな事詩織に言われなくたって、私一人でやるつもりだった。いろいろな人と接して、どんどん変わっていく森沢君の隣に私がいる、そんな妄想をした事もある。なのに詩織が『酢飯』で、なぜ私が『海苔』なんだ。ふざけるな。


 「ヤダ! 私が『酢飯』ならいい。」


 「えーっ! 恵美、『酢飯』は彼女の方がいいんだよ。その方が近くでいっぱいサポートできるでしょ。私は昨日から森沢君の彼女だし、だから『酢飯』はやっぱり私の方がいいよ。」


 「じゃあ、私も彼女になる。いいでしょ、森沢君。」


 「えっ、君が…ごめん、恵美が彼女になってくれるって言うのは嬉しいけど、でもなんかその、よく考えた方が…。」


 「森沢君、私じゃ嫌なの?詩織みたいに可愛いくないから?でもね、私森沢君の事を誰よりも知ってるって思ってる。だからね、私が一番いいサポートができる自信があるよ。森沢君がもう『逃げる』のをやめたいって思っているなら、私が全力でサポートする。森沢君はいろんな人に接して、いろいろ経験していけば、『カッパ巻き』どころか、『鉄火巻き』だって『ネギトロ巻き』にだってなれると思うの。『恵方巻き』にだってなれるかもしれない。だからその手伝いを私にさせて欲しいの。『鉄火巻き』や『ネギトロ巻き』になった森沢君の話を私は聞きたいの。森沢君が『カッパ巻き』から『鉄火巻き』になって、『きゅうり』から『マグロ』に変わったとしても、やっぱり森沢君の隣は『酢飯』なのよ。

 だからお願い。私を森沢君の『酢飯』にして。」


 「ごめん、何言ってるのか全然わからない。」


 真顔の森沢君にそう言われた。


 恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。顔が熱い。消え去りたい。思っていた事も、ちょっとしか思っていない事も、全然思ってもいない事も全部言ってしまった。炭酸飲料のキャップを開けたら、吹き出して止まらなくなって中身がほとんど無くなった。そんな感じ。これは病気だ。仕方がなかったんだ。桃色ポンコツ魔人症候群は伝染病で、私も感染していたんだ。そう思い込む事にした。しかし、『酢飯』にして。って、なんなんだよう。頭おかしすぎるよ、私。


 「でもね、恵美。君がそんなふうに思っていてくれていたなんて、僕は凄く嬉しいよ。」

 

 恥ずかしすぎて顔を上げられない私の耳に、木琴の調べが届く。


 「うん。」


 「僕は本当に嬉しいんだ。いろいろ諦めて、嫌な事から逃げるために打ってたシュートのおかげで、君たちが協力してくれると言ってくれた。やっとあの状況を解決するきっかけに出会えた。だから、君たちの好意を裏切らないように僕は頑張るよ。一緒に『カッパ巻き』になってもらえるかな。」


 「「うん。」」


 「それと、恵美。僕も恵美に『酢飯』になって欲しいと思っているんだ。でも、その答えは明日まで待って欲しい。明日決着をつけるから、絶対に恵美を失望させたりしないから、だから『酢飯』になるのは明日まで待って欲しいんだ。」


 「うん。でも、『酢飯』じゃ無くて、彼女ね。」


 森沢君は、明日返事をしてくれるそうだ。隣では詩織がニヤニヤと私を見てた。


 「それと、もう一ついいかな。」


 森沢君が、また一つ爆弾を投下した。


 「『ウニ軍艦巻き』の事なんだけど。」




次回 最終話です。

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