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80話 料理会

 ブラックタイガーを狩った翌々日になった。

 今日は、リンの営む料亭ハーゼに招待されている。


「よう。リン」


「おう、コウタっち。それにみんなも」


 俺、リン、シルヴィ、ユヅキ、ミナ。

 みんなであいさつを交わす。


「ある程度までの準備はしておいた。さっそくつくっていこうぜ!」


「がんばってたくさんつくります! そして、お肉をお腹いっぱい食べます!」


 シルヴィがそう意気込む。

 この料理会全体の目的は、親睦を深めることだ。

 しかし、シルヴィは料理後の食事に意識が向いている。

 そして俺の目的は、『料理人』のジョブの習得にもある。


「ええっと。これをみじん切りにして、と」


 ユヅキが巧みな包丁さばきで野菜を切っていく。

 器用だな。

 彼女は『悠久の風』の中でもオールラウンダータイプで、割と何でもできる。


「ボクは肉を切るのです。てえいっ!」


「むっ!? あ、危ねえ!」


 俺は包丁を振り回すミナから退避する。

 ミナに料理の心得はないようだ。

 包丁を大きく振り上げ、勢いよく肉を切ろうとしている。


「ミナっち。待てぃ! そんなに振りかぶる必要はねえよ。こうやって持ってだな……」


 リンがミナに丁寧に説明している。


「わたしのほうは無事に切れました。お野菜といっしょに煮込みますね!」


 シルヴィが肉と野菜を鍋に入れ、煮込み始める。


「はあぁ……! おいしそうな香りがしてきました! じゅるり」


 彼女がうっとりとした表情でそう言う。

 一刻も早く食べたそうだ。


「ま、待て! よだれが鍋に入るぞ!」


「はふっ! こ、これは失礼しました……」


 間一髪で間に合った。

 まあ、シルヴィのよだれなら俺はあまり気にしないが。

 水と混ざった上で加熱されれば、ほとんど関係ないし。


 そんな感じで、料理は進んでいく。

 シルヴィやミナに関してひと悶着あったが、リンのフォローもあり無事に料理は完成した。

 リトルブラックタイガー肉のソテーである。

 皿に盛り付け、食べる準備を終えた。


「よし。さっそくいただくか」


「たくさん食べますよ! はぐはぐはぐ!」


 シルヴィはかなりがっついている。

 彼女は俺の奴隷なわけだが、もはやほとんど遠慮がない。

 もちろん俺がそうしてほしいと誘導しているのもあるので、好ましいぐらいだが。


「自分で料理したとなると、何だかおいしい気がするね。簡単な料理はしたことあるけど、ここまで本格的なものは初めてつくったよ」


 ユヅキがそう言う。

 彼女はしっかり者だし、『大地の轟き』で簡易的な料理をつくる機会もあったのだろう。


「ボクは、料理自体が初めてなのです。確かに、おいしいように感じるのです」


 ミナの私生活は相当にズボラだ。

 以前彼女のリビングにお邪魔させてもらったことがあったが、散らかり放題だった。

 当然、まともな料理はしたことがないはずである。

 まあ、肉や野菜を適当に焼くぐらいの経験はあるかもしれないが。


「そうだな。みんなでつくり、みんなで食べるとおいしく感じる。もちろん、リンの的確な指導のおかげもある」


「へへっ。みんなが素直に従ってくれたからだぜ! またつくろうな」


 リンがそう言う。

 彼女としても、自分の指導でみんなが喜んでくれたのはうれしいのだろう。


 俺もおいしい料理をみんなと食べられて幸せだ。

 それに加えて、もう1ついいニュースがある。


 無事に『料理人』のジョブを取得したのだ。

 俺、シルヴィ、ユヅキ、ミナの4人ともだ。

 魔法使い系統のジョブはやや取得が難しい傾向があるが、『料理人』のような生産系統のジョブの取得難易度はそれほどでもないのだ。


 『料理人』は戦闘向けのジョブではないので、今すぐに設定することはない。

 しかし、いざというときのために選択肢は多いほうがいい。

 今後の冒険者活動において、役立つこともあるだろう。

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