784話 人材斡旋の依頼-2
「……魔物を排除するだけでは、開拓したことにはなりませんが?」
「それは当然だな。幸い、俺のパーティには開拓事業に役立ちそうなジョブの持ち主が多い。鍛冶師、料理人、斧士、結界魔法使い、森人、治療魔法使い、貴族、調合士、受付嬢、メイド、騎士とかな……。それぞれの分野で、一定の働きはできるだろう。不足している人材は、各人が募集をかけるなりして補っている最中だ」
「それは結構なことですな。エウロス卿は優秀な方だと噂で聞いております。おそらく、開拓は成功に終わるでしょう」
ザルードの顔が言う。
だが、その割には声のトーンが低めだ。
開拓が成功すると、あまり本気では思っていないようにも見える。
「俺たちは多種多様で強力なジョブを持っているが、聖職者系統のジョブは持っていなくてね。『司教』や『司祭』とまでは言わなくとも、『神官』『僧侶』『巫女』あたりを開拓事業に採用してみたいと考えている」
「……そうですか」
「しかし当然、教会の信徒以外でそういったジョブを持つ者は限りなく少ない。そこで、ザルード大司教には人材を斡旋してほしいのだ」
俺がそう言うと、ザルードの表情が険しくなった。
これは、俺が予想していた反応のひとつだ。
「……申し訳ありませんが、当教会ではその要望に応えることはできかねます」
「なぜだ?」
「エルカ西方の未開拓地域には、多数の強大な魔物が生息しています。他の地方とは大山脈によって隔たれ、数少ない現実的なルートはエルカから至る谷底の道のみ。開拓事業のために深入りしたが最後、まともな支援も受けられない過酷な環境下で生きていくことになります」




