781話 寄付という名の賄賂-2
「そのように優秀な方が、どのような御用件でしょうか?」
ザルードの視線が、より一層鋭くなる。
警戒されているようだ。
それはそうか。
貴族家、冒険者ギルド、商業ギルド、教会……。
この世界には様々な権力や組織が存在する。
だが、教会の大司教を務めるザルードから見て、他の組織と直接の上下関係は存在しない。
単なる子爵家の当主であれば、丁重に相手して終わりだ。
同じく、Sランクパーティのリーダーであっても、機嫌を損ねない程度に応対すればいい。
(しかし、目の前の男――この俺コウタは違うってわけだ)
平民から男爵、男爵から子爵へと成り上がると同時に、Eランクパーティ『悠久の風』をSランクまで押し上げた男だ。
それも、わずか1年ほどの短期間で。
自分で言うのもなんだが、この功績は異常と言っていいレベルだろう。
そんな男が自分に何を求めているのか?
警戒する気持ちは理解できる。
「その前に、まずはこれを納めておこう」
「これは……」
「寄付金だ。額は……まぁ、そこそこだな」
俺は懐から金貨が入った袋を取り出すと、それをテーブルの上に置いた。
ジャラッと音が鳴る。
「…………そこそこなんて、とんでもありません。かなりの額があるようですが……本当にいただいても?」
「もちろんだ。最近、神について思うところがあってな。信仰心を込めて、寄付させて貰った」
俺は真剣な顔つきで答えた。
概ね本当のことだ。
エルカの町で風邪を引いたとき、俺は夢の中で女神様と出会った。
激しい戦いの末に破れてしまったが、得たものもあった。
称号『神と交わりかけし者』『神の天敵』だ。
それにそもそも、彼女と戦闘になったのは俺の下心が原因である。
彼女の本来の目的は、コマである俺にアドバイスをすること。
助言がなければ、俺は金玉を爆発させて死んでいたかもしれない。




