780話 寄付という名の賄賂-1
俺は王都の教会にやって来た。
多額の寄付を匂わせ、上層部との面会を求める。
すると、大司教と個室で面会できることになった。
ザルードと名乗った男は、俺のことを値踏みするような目で見ている。
「ようこそおいで下さいました。私が当教会の最高責任者を務めさせていただいております、ザルードと申します」
口調こそ丁重だが、その眼光は鋭い。
宗教組織のトップともなれば、当然の態度と言えるだろう。
俺は彼に微笑みかける。
「はじめましてだな。俺はコウタ・エウロスだ」
「エウロスと言えば……あの新貴族の……。それにAランク冒険者でもありましたか」
「そうだ。『テツザン杯優勝者』『ドラゴンスレイヤー』『エルカ迷宮踏破者』『毒蛇団掃討者』のコウタとして、ちょっとした有名人になっているはずだ」
俺は自分の実績をアピールする。
美少女相手ならともかく、本来はこんな老人にアピールする趣味はないのだが……。
これからの交渉を有利にするためには必要なことだった。
「数々の偉業を成し遂げられていること、存じております。男爵から子爵へ陞爵されたこと、そしてリーダーを務められている『悠久の風』がSランクとなったことも」
「ほう……。さすがに耳が早いな」
Sランクパーティ『悠久の風』――。
俺がリーダーを務めるパーティの名だ。
しかし、ほんの少し前まではAランクパーティだった。
ウルゴ陛下との謁見した際にSランク昇格が内定し、その数日後に正式に昇格を果たしたのだ。




