779話 大司教ザルード -2
「な……ッ!?」
修道女の顔が驚愕に染まった。
俺は彼女の前で、見せびらかすように金貨を持つ。
「し、少々お待ちください!」
「ああ」
彼女は慌てて、教会の奥へと消えていく。
おそらくは、上司に報告しに行ったのだろう。
しばらく待っていると、先ほどの彼女が戻ってきた。
「ザルード大司教がお会いになるそうです。どうぞ、こちらへ」
「ああ」
俺は彼女に連れられ、教会の奥へと向かう。
そして――
「寄付を行ってくださる信徒の方をお連れしました」
「……入れなさい」
「はい!」
とある扉の前で立ち止まると、修道女がノックをする。
中からの返事を受け取ると、俺を部屋の中に招き入れた。
(ここがこの教会の最高権力者の部屋か)
室内には執務机があり、そこに初老の男性が座っていた。
彼は俺の姿を認めると、厳かな態度で口を開く。
「ようこそおいで下さいました。私が当教会の最高責任者を務めさせていただいております、ザルードと申します」
口調こそ丁寧だが、その眼差しには鋭さが宿っている。
彼の威圧感は相当なものだった。
(……これは、一筋縄ではいかないかもな)
だが、彼と懇意にできれば、教会の関係者を開拓事業に巻き込めるかもしれない。
ここが正念場だ。




